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トッカン the 3rd おばけなんてないさ [読書・その他]


トッカン the3rd おばけなんてないさ (ハヤカワ文庫JA)

トッカン the3rd おばけなんてないさ (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 高殿 円
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2014/03/07
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

京橋中央税務署の新米徴収官・鈴宮深樹(すずみや・みき)。
生来の口下手で、言いたいことも言えずに
グッと口ごもってしまうことから、ついたあだ名が “ぐー子”。

その名付け親にして直属の上司は、“京橋中央署の死神” と恐れられる
特別国税徴収官(略して "トッカン" )の鏡雅愛(かがみ・まさちか)。

“ぐー子” と ”死神“ のコンビが
様々な税金滞納者と対決する、シリーズ第3弾。


ぐー子も徴収官として2年目を迎えたある日。
例によって鏡との間に一悶着起こし、
彼の逆鱗に触れてしまったぐー子は栃木県への出張を命じられる。

調査対象は2つ。
怪しげな水や水晶玉を売りまくる霊感商法を行いながら
税金を滞納している『日光一心修験会』、
そしてもう一社は、
産業廃棄物運搬を請け負う『有限会社 ミツカタ運送』。

事前の下調べのために、ぐー子は両法人の東京事務所を訪れるも
どちらも無人で閉店状態。

そんなとき、鏡が無断欠勤をする。

鏡の住まいは千代田区の高級マンションの最上階。
しかし、過去に ”事件” が頻発、死人まで出たことから
”お化けマンション” とよばれている問題物件。
当然、家賃は激安になっている。

以前から鏡の具合が悪かったことから、
自宅で倒れているかと心配したぐー子は、彼の自宅へ向かうが・・・


徴収官となって1年3ヶ月、いままで鏡の後ろにくっついていたぐー子も
いよいよ一人で滞納者と対決する時を迎える。

後半に至り、栃木での滞納者相手の ”大立ち回り” が
一つのヤマ場になるが、これもまったく彼女らしい
文字通り ”体当たり(笑)の大勝負”。

全編にわたり、ひたすら懸命に頑張るぐー子の姿が描かれるのだが
彼女が必死になればなるほど、読者は頬が緩んでしまうのも
このシリーズの持ち味。いやはや、この作者はホント達者だなあ。


ぐー子と鏡の他にも、多彩なキャラがストーリーを盛り上げる。

レギュラーメンバーである京橋中央税務署の同僚たちも健在だが
その中で、今回スポットが当たる樽井徴収官と、
課税から出向してきた与那嶺のエピソードもいいし、
前作に登場した税務署の ”天敵”・吹雪弁護士もちゃっかり顔を見せ、
栃木でぐー子と行動を共にする地元テレビ局の記者・綿貫も
その印象的な外見と相まって存在感たっぷり。

そして ”悪役側” である滞納者側の人々にもそれぞれドラマがあり、
どの登場人物もしっかりキャラが立っているのが驚き。

終盤で明かされる、鏡が ”お化けマンション” に住む理由。
彼の元妻・華子の動向も目が離せない。
ぐー子を含め、今後この3人の関係がどう変化していくのか。
続編が待ち遠しくなる。

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