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カミングアウト [読書・その他]


カミングアウト (徳間文庫)

カミングアウト (徳間文庫)

  • 作者: 高殿 円
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2011/02/04
  • メディア: 文庫
評価:★★★

誰でも、人に言えない秘密の一つや二つはあるだろう。
(私なんかもっとありそうだがwww)
そして、長い人生の中では、それを明かすべきか明かさざるべきかと
悩む瞬間が訪れることもあるかも知れない。

本書は6つの章とエピローグからなるのだが、
5つめの章までは、登場人物それぞれが
自らの中に秘密を抱えて悶々とする様子が描かれる。


「コインロッカー・クローゼット」では
コインロッカーに複数の高校の制服を用意し、
複数の携帯を使って複数の人格になりきって
男たちの欲望を翻弄しようとする女子高生・さちみ。

「オフィス街の中心で、愛を叫ぶ」では
29歳のお局OLながら、ロリィタ服愛好者をやめられないリョウコ。
結婚を考え始めた相手に、告白すべきか、
それとも趣味を ”卒業” すべきか悩ましい日々。

「恋人と奥さんと母親の三段活用」では
一途な恋愛の末に結ばれたはずのに、子供が生まれてからは
自分を ”女” として扱ってくれない夫に失望し、
ネットで知り合った相手との浮気を考え始める主婦・史緒(しお)。

「骨が水になるとき」
46歳、結婚歴・離婚歴無し。気楽な独身貴族を続けてきたが、
最近、寂しさを感じ始めてきた臣司(しんじ)。
しかし一人の少女との出会いが彼の生活を変えていく。

「老婆は身一つで逃亡する」
時代錯誤な亭主関白ぶりの夫に愛想を尽かし、10年かけて密かに
1000万円のへそくりを貯めた主婦・初恵。
夫の定年退職の日に、”華麗なる復讐” を目論んでいるが・・・


それぞれ異なる主人公なのだが、読み進むにつれて
ある章の登場人物が他の章に登場したりと
彼らの間に意外な関係があることが分かってくる。

そして最終章の「カミングアウト」では、文字通り
それまでの章の主役キャラが次々と秘密を明かしていく。
それはもう小気味いいくらい痛快に、
相手に向かって、周囲に向かって、そして世間に向かってハッキリと。

その ”衝撃の告白” が巻き起こした騒動の顛末が
「エピローグ」で綴られるんだが、
そこはエンターテインメント作品なので、すっきり大団円となる。

 実際はこんなにキレイには収まらないだろうなー、とは思うけど。

読後感はとてもいいので、本来なら★3つ半くらいの作品なんだが
冒頭でさちみさんの陥る窮地は自業自得感が半端なく、
今ひとつ彼女に対して感情移入がしにくいんだよねえ。

 他の4人はすんなり入り込めたんだけど、そこはやっぱり
 私が、アタマの堅いオジサンだからですかねえ・・・

なので★半分、減点してしまいました。
どうもすみません、

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