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ナイト&シャドウ [読書・ミステリ]

ナイト&シャドウ (講談社文庫)

ナイト&シャドウ (講談社文庫)

  • 作者: 柳 広司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/06/12
  • メディア: 文庫



評価:★★★

長編『キング&クイーン』は、元SPのヒロインが
事件に巻き込まれ、チェスの世界チャンピオンを
護衛する羽目になる話だった。

『キング-』には、彼女のかつての上司として
首藤武紀(しゅとう・たけのり)という男が登場したが、
本作では彼が主役を務める。


アメリカ秘密検察局警備調査部、
一般には「シークレット・サービス」の名で知られる
世界最強の警護官集団。
そこでの2ヶ月の研修を命じられた首藤はワシントンへ赴く。

着任早々、街頭デモの中で凶器を振り回す暴漢が出現するが、
首藤は軽々と彼を取り押さえてしまい、
バディを組むことになった相棒・バーン特別捜査官を唸らせる。

しかし、暴漢が所持していた写真に
大統領暗殺計画を匂わせる "あるもの" が写っていたことから
物語は動き始める。

首藤は、暴漢逮捕の際にジャーナリスト・山岸美和子と知り合い、
親交を深めていくことになる。
しかし、ホワイトハウス宛に大統領暗殺を予告する手紙が届き、
研修中の首藤まで大統領警護に駆り出されていく事態になる。

そんな中、美和子が何者かに誘拐される。
暗殺者たちの仕業とみた首藤は彼女を救出すべく、
相棒のバーンとともにワシントンの夜を駆ける・・・


『キング&クイーン』では脇役だった首藤だが、
大統領暗殺を狙うテロリストを追ううちに、
自らの過去との意外な因縁が明らかになったりと、
本作では堂々のセンターを占めている。

並外れた体格と膂力、ストイックなプロフェッショナルぶり。
表紙のイラストのせいもあると思うのだが
首藤のキャラには「ゴルゴ13」と「五郎丸歩選手」を
足して2で割ったようなイメージが湧いてくる。
ただまあ、ゴルゴみたいな "お盛ん" ぶりはないけどね。
その点も実にストイック。

美和子との関係も、必要以上に踏み込まないのだが
それが彼なりの深謀遠慮によるものなのが後になって明かされる。


全体としてはサスペンスタッチで、
終盤になると伏線になっていたミステリ的な仕掛けが
いくつか発動して盛り上げてくれる。

『キング&クイーン』では冷酷非情な上司ぶりを見せたが、
本作ではもう少し人間的な部分もかいま見せる。

できれば、首藤の登場する続編が読みたいなあ。
そのときには、美和子さんにもぜひ再登場していただきたい。


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