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魔性納言 妖草師 [読書・ファンタジー]

魔性納言: 妖草師 (徳間時代小説文庫)

魔性納言: 妖草師 (徳間時代小説文庫)

  • 作者: 武内 涼
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2016/02/05
  • メディア: 文庫



評価:★★★

この世に現れ、人に仇をなす"異界の凶草"を
人知れず刈り取ることを生業とする
"妖草師"・庭田重奈雄の活躍を描く、シリーズ第3作。

第1作が長編、前作は短編集。
そして本書は再び長編となり、
文庫で500ページを越える最大のボリュームとなった。

幼なじみの滝坊椿(たきのぼう・つばき)、
友人で絵師の池大雅、曾我蕭泊など
レギュラーメンバーとともに、
シリーズ最強の敵との戦いが描かれる。


重奈雄たちは、竜安寺の鏡容池で
人の生き血を吸う妖草・"水虎藻" を発見する。

"水虎藻" は重奈雄によって退治されるが、
妖草は人の心を苗床に生じることから、
強烈な野心と貪欲を持つ者が
京の町のどこかに存在することを感じ取る。
同じ頃、見目麗しい娘が神隠しに遭うという事件が続発していた。

椿の父にして将軍家華道指南役・滝坊舜海は、
椿に婿をとらせて滝坊家の後継者するべく、
紙問屋の若旦那との見合いの席を設ける。

しかしその場に、酒に酔った侍が乱入する。
一時は騒然となるが、それを鎮めたのは美しき青年公家、
中納言・茶山寺時康(さざんじ・ときやす)。

若手の公家に対して幕府への不満を焚きつけ、
倒幕の動きに繋げようという陰謀が密やかに進行していた。
そして、その企みの中核にいたのは他ならぬ時康であった。

自らも妖草を操る彼は、倒幕を越えた先に、
さらなる途方もない野望を抱いていた・・・


はっきりとは書かれてないけど、読み終わってみると
なんとなく「これで完結」という雰囲気で
続巻は書かれないような気がしてる。

重奈雄と椿の恋愛模様にも決着がつくので、
そのあたりが気になる人は必読ですね。


解説によると、この<妖草師>シリーズは
「この時代小説がすごい! 2016年版」で第1位を獲得したとのこと。

うーん、そのことについてとやかく言うつもりはないけど
時代小説のファンの方々と私とでは
小説の評価基準がずいぶん違うんだなぁ、というのは感じた。