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街角で謎が待っている がまくら市事件 [読書・ミステリ]

街角で謎が待っている がまくら市事件 (創元推理文庫)

街角で謎が待っている がまくら市事件 (創元推理文庫)

  • 作者: 秋月 涼介
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2014/12/22
  • メディア: 文庫



評価:★★★

架空の町「蝦蟇倉市」を舞台にした
連作ミステリ、そのPart.Ⅱ。

「さくら炎上」北山猛邦
 主人公の "私" は、公園でたまたま同級生の陽子を目撃する。
 彼女は同級生の男子と待ち合わせしていた。
 しかし、デートにしては二人の様子がおかしい。
 後をつけた私は、廃墟となった屋敷の庭で
 陽子が男子生徒を殺害する現場を目撃してしまう。
 "私" は、彼女の犯行を隠蔽するべく、
 庭に穴を掘って死体を埋めてしまうが・・・
 犯人当てではなく、動機当て。
 しかしこの動機、予想の斜め上すぎる。

「毒入りローストビーフ事件」桜坂洋
 レストランで一人の男が突然倒れ、死亡する。
 病院では服用していた薬の副作用と診断されるが、
 男と同席していた3人は、男の死因を巡って
 延々とディスカッションを繰り広げる・・・
 うーん桜坂洋ってSF作家ってイメージがあって
 本書も状況はミステリなんだけど
 議論の進行はあんまりミステリっぽくない。
 好き嫌いが分かれる作品かなあ。私はいまいち。

「密室の本」村崎友
 このシリーズの共通キャラクター、
 不可能犯罪課の真知博士が登場する一編。
 大学生の "僕" と、その恋人の藍(あい)は、
 先輩の多智花(たちばな)が
 アパートの自室で死体となっているのに遭遇する。
 そして、押入の中にごっそりとあったはずの蔵書も消えていた。
 死体で発見されるまでのわずかな時間に
 大量の書籍を持ち去ることは不可能のはずだった・・・
 ラストのオチをどうとるかで評価が決まるかなあ。
 それこそ人それぞれの好みか。
 私はあまり好きじゃないかなあ・・・

「観客席からの眺め」越谷オサム
 市営球場で会話する高校生の男女。
 卒業と同時に蝦蟇倉を出る今村、残る智代。
 語る話題は吹奏楽部顧問・勝田が殺された事件。
 二人はそれぞれ、事件に関わる"秘密"を抱えていた・・・
 「日だまりの彼女」以来、
 どうもこの人には今一つ不信感があって・・・(笑)
 あ、「いとみち」シリーズは面白いし好きだよ。
 (あんまりフォローになってないか)
 本作はミステリとしてはよくできてると思うのだけど
 物語としては好きになれない展開。
 そう思うのはやっぱりトシのせいかなあ・・・

「消えた左腕事件」秋月涼介
 真知博士再びの登場。
 美術館を訪れた男が館内で殺される。
 顔はぐちゃぐちゃに潰され、左腕は切断されて。
 しかもその腕は現場か発見されなかった。
 犯人は、密室状態の館内から腕とともに消え失せていたのだ・・・
 ハウダニットものとしてよくできてるけど、犯人も意外。
 でもその背景は・・・
 うーん、蝦蟇倉市だから許される真相なのかも。

「ナイフを失われた思い出の中に」米澤穂信
 作者の出世作となった<ベルーフ>シリーズの一編。
 探偵役は長編「さよなら妖精」にも登場した大刀洗万智。
 イタリア系企業に勤務する "わたし" は、大刀洗に会うために
 蝦蟇倉を訪れるが、彼女はある事件を追っていた。
 それは16歳の少年が3歳になる姪を刺殺したとされるもの。
 二人で事件ゆかりの場所を巡りながら、
 万智は少年の行動に秘められた "真相" に迫っていく。
 明らかにされる少年の心情は、切ないの一言。さすがの米澤穂信。
 このシリーズはまだ未読なんだけど万智さんのキャラは気に入った。
 文庫になる日を、首を長くして待ちます。


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