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トワイライト博物館(ミュージアム) [読書・ミステリ]

トワイライト博物館 (講談社文庫)

トワイライト博物館 (講談社文庫)

  • 作者: 初野 晴
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/12/13
  • メディア: 文庫



評価:★★★

養護施設で暮らしていた天涯孤独な少年、勇介。
14歳になったばかりのある日、彼の運命は激変する。
大伯父が現れ、彼の元に引き取られることになったのだ。
しかし喜びもつかの間、その3日後に大伯父は事故死してしまう。

勇介に残された遺産は、地上三階、地下二階の建物を改造した
「暁埜(あかつきの)博物館」。そこは学芸課長の牧村や、
謎めいた青い瞳をもつ女性・枇杷(びわ)をはじめ
一風変わった学芸員6人が集う不思議な場所だった。

そんなある日、養護施設で勇介を慕っていた6歳の少女・ナナが
交通事故に遭い、脳死状態に陥ってしまう。

絶望する勇介に向かい、牧村は意外な事実を告げる。
ナナの "意識" は遥か時空を超え、中世のイギリスへ跳んでいると。

そして勇介は、枇杷とともに、
"ナナを連れ戻す" ために、時を超える旅に出る・・・


タイムトラベルSFとも読めるんだけど、
制限時間つきのタイムリミット・サスペンスでもあり、
歴史小説の要素もあり、少年の成長を描く冒険物語でもある。
でも一番大きな要素はミステリだろう。

ナナが跳ばされたのは、魔女狩りの嵐が吹き荒れた時代。
彼女を救うために、勇介と枇杷は "三つの謎" に挑むことになる。

 この "謎" はこの時代ならではのもので、私が愚考するに
 この "謎" を描きたくて舞台をこの時代に設定し、
 それを解くためには現代の人間が必要となり、
 そこからこのストーリーを紡ぎ出したのかも知れない。

そうは言っても、勇介と枇杷のミッションは過酷だ。
読んでる私の方が挫けそうになるくらい絶望感があふれてる。
ほとんど「無理ゲー」じゃないか・・・なんて思ってしまう。

でも勇介と枇杷さんは挫けない。
まあそれでこそ主人公なんだけど。


ストーリーは本書で完結しているけれど、できれば続編が読みたいな。
本文中で言及されている、枇杷のお姉さんのことも描いてほしいし、
何と言っても、ひと回り大きく成長した勇介くんにもまた逢ってみたい。


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