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はやく名探偵になりたい [読書・ミステリ]

はやく名探偵になりたい (光文社文庫)

はやく名探偵になりたい (光文社文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/01/09
  • メディア: 文庫



評価:★★★

人気ユーモア・ミステリの「烏賊川市シリーズ」、初の短編集。
私立探偵・鵜飼杜夫とその助手・戸村流平が活躍するんだが
今回は、朱美さんと砂川警部の出番はナシ。ちょっと残念。

「藤枝邸の完全なる密室」
 藤枝修作は、遺産目当てで資産家の叔父・喜一郎を殺害するが、
 現場を密室にする工作を行った直後、鵜飼が屋敷にやってくる。
 修作と鵜飼の頓珍漢な会話が笑える。でもラストの一行はなあ。
 仮にも探偵たるもの、あんなことを言ってはいけないよなあ。
 まあそれでこそ鵜飼なのだろうけど。

「時速四十キロの密室」
 資産家・小山田幸助の妻・恭子の浮気現場を押さえた流平。
 浮気相手の男は軽トラックの荷台に隠れて逃げ出した。
 バイクで追跡した流平だが、10分ほど走って赤信号で停車したとき、
 男はトラックの荷台で、のどをかき切られて殺されていた。
 うーん、ものすごくあり得ないような真相なんだけど
 それが笑って許せてしまうのがこのシリーズの良さ?

「七つのビールケースの問題」
 ペット探しの依頼人・田川のもとを訪れた鵜飼と流平。
 その帰りに近所の丸吉酒店の娘・沙耶香から、
 昨日の夜にビールケースが7つ、盗まれたことを聞く。
 披露されるトリックがまた、大胆かつバカバカしいのも
 このシリーズならでは。
 ○○○の○○○が実在するのかどうかなんてことも、
 だんだんどうでもよくなってくる。それも作者の筆力か。
 ちなみに表紙の絵はこの作品内のワンシーン。

「雀の森の異常な夜」
 老舗の和菓子店「雀屋」の孫娘・絵里に呼び出された流平。
 深夜の道をそぞろ歩く二人が目撃したのは、
 車椅子に乗った絵里の祖父・庄三と、それを押す謎の男。
 そしてその夜から庄三は行方不明となる。
 ミステリ的には、本書中いちばんの作品のような気もするのだが
 相変わらずトボけた雰囲気で笑わせる。

「宝石泥棒と母の悲しみ」
 鵜飼の高校時代の恩師、花見小路一馬の屋敷でルビーが盗まれる。
 折しもその夜は雪で、屋敷の内外に出入りした足跡はない。
 一馬に依頼された鵜飼が捜査に乗り出すが・・・
 なぜか本作品は、花見小路家のペット "マー君" の一人称で語られる。
 終盤まで読むとその理由が分かるのだが、そこで終わらず
 さらにもうひと捻り。うーん、良くできてる。


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