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小説・震災後 [読書・その他]

小説・震災後 (小学館文庫)

小説・震災後 (小学館文庫)

  • 作者: 福井 晴敏
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2012/03/06
  • メディア: 文庫



評価:★★★

震災の3ヶ月後に連載が始まり、7ヶ月後に単行本化、
そしてちょうど1年後に文庫化された作品。
作品には、読むべき時、読まれるべき時、
というものがあるのだなあ・・・と思わされた。


2011年3月11日。東日本大震災が発生した。
原子力発電所の事故、放射能汚染、メルトダウンの危機。
日本人すべてがこの国の将来に対して巨大な不安を感じた日々。
平凡なサラリーマン・野田圭介の中学生の息子・弘人もまた、
日本の未来、自らの未来に絶望して、ある "事件" を引き起こす。
弘人を闇からすくい上げるための言葉を持てない圭介。
父親として苦悩する圭介に、指針を示してくれたのは
死病に冒され、余命幾ばくもない祖父・輝夫だった。

放射能汚染によって生活の場たる国土を失い、
原発を失ったことによる電力の不足から企業は競争力を失い、
余力のある企業は、生き延びるためにどんどん海外へ逃げていく。
国内に残った者は、生きる場所も生活の糧を得る方法も乏しくなる。
やがて日本は先進国から脱落し、
緩慢な "滅び" を迎えていくのではないか?
もう "より良い未来" なんぞというものは
永久にやって来ないのではないか?
それもこれも、世界最大の地震国にも関わらず、
原発を大量に建設してきた報いなのではないか?

確かにあの当時、弘人のような思いに捕らわれた人は
少なくなかっただろうと思う。
若い人ほど、「こんな日本にした大人たち」に対して
恨み言の一つも言いたくなったのではないか。

それを弘人からぶつけられて戸惑う圭介の姿は、
まさに私たち "大人" の姿でもある。


震災後3~6ヶ月後という時機に書かれた本書は、
基本的に上記のような辛く、重苦しいトーンのもとに書かれている。


では、震災から4年4ヶ月経った現在はどうか。

廃炉まで何十年かかるか分からないが
福島原発の解体工事も始まりつつある。
いったんはすべて止まった原発の中にも、
再稼働にこぎ着けたものが現れた。
国内経済も、アベノミクスのおかげか持ち直しつつあるように見える。

震災直後の絶望的な雰囲気は、
少なくとも表面的には無くなった、とまでは言わないが
かなり薄まってきているようにも思える。

そういう時機に、本書を読んだのは良かったのか悪かったのか。
少なくとも、発表直後に読んだほうが
弘人の抱いた想いへの共感はより深くなっただろうとは思う。


原発を廃止するか、使い続けるか。
これは難しい問題で、未だに国内世論は二分されている。
しかし物語の中では、圭介は父・輝夫の導きで
ある "結論" に辿り着くことになる。

本書のクライマックスは、弘人の通う中学校での全校集会。
圭介はマイクの前に立ち、語り始める。
「こんな時だけど、そろそろ未来の話をしようか」
全生徒と全保護者に向かってはいるが、語る相手はただ一人。
息子・弘人に届くことを願って、一世一代の熱弁を振るう。

楽観でもなく悲観でもなく、人間というものの善意、
よりよき世界を目指す力を信じて描かれる未来像。
おそらく作者の想いを代弁しているのであろう圭介の話は
受け取り方は人それぞれだろう。
理想論に過ぎる、という人も多いと思う。

だけど、私はこれを "是" としたい。


以下は蛇足。

本書はいままでの福井作品とも同一世界の物語になっている。

圭介の父にして弘人の祖父・輝夫がとにかく物語の要で、
迷い悩む圭介や弘人に、しばしば行くべき道を示す。
肝の据わったキャラクターで「スゴい人だなあ」と思っていたら
なんと防衛省情報局を定年退職していて
要するに福井作品でお馴染みDAISの元職員。
退職前のポストは局長で、「亡国のイージス」にも出演していた(!)。

同じく「亡国-」で内事本部長だった渥美大輔も
いくつかのシーンに登場する。
実は今、「人類資金」を読んでいるんだけど、そこでは渥美は
局長に昇進していて、「還暦まであと2年」となっている。
いやあ時の経つのは早いもんだねえ(笑)。

どうやら「人類資金」を企画・構想している時機に
震災が起こって本書が書かれ、そして「人類-」の内容もまた
震災を受けて一部変更されたらしい。
実際、「人類-」も本書と共通の "作者の思い" がテーマになっている。

それについては「人類-」の感想で書こうと思うんだけど
これがまたものすごく長いんだよねえ・・・
何せ文庫で全7巻、合わせて2000ページくらいある。
今日の段階であと600ページ残ってる。
はぁ・・・ガンバロウ。


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英国パラソル綺譚 アレクシア女史、飛行船で人狼城を訪う [読書・ファンタジー]

アレクシア女史、飛行船で人狼城を訪う (英国パラソル奇譚)

アレクシア女史、飛行船で人狼城を訪う (英国パラソル奇譚)

  • 作者: ゲイル・キャリガー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2011/06/30
  • メディア: 文庫



評価:★★★

吸血鬼や人狼やゴーストなどの<異界族>と、人間とが共存している
パラレルワールドの19世紀イギリスを舞台に、
<異界族>の力を封じることができる
<反異界族>の女性・アレクシアの冒険を描いたシリーズの第2作。

前作のラストで異界管理局捜査官・マコン卿とめでたく結婚して
伯爵夫人となったアレクシアだが
新婚の熱もさめやらぬうちに次なる事件が勃発する。

ロンドンで、突如吸血鬼や人狼がその能力を失い、
ゴーストが消滅していくという現象が発生する。

原因は疫病か、新型の兵器か、はたまた<反異界族>の陰謀か。
というわけで<反異界族>の長たるアレクシアにも容疑が降りかかる。

 とは言っても<反異界族>自体、非常に珍しい存在らしく、
 女性はさらに少ないらしい。物語の中にも、
 現在のところアレクシア1人しか登場していない。

そうこうするうちに、謎の現象が起こる "範囲" が
北へ向かって移動していることが判明する。

アレクシアもまたそれを追って、飛行船でスコットランドへ向かう。
目指すは、かつてマコン卿が城主を務めていたキングエア城。

マコン卿はキングエア城の人狼団から離れ、
ロンドンのウールジー人狼団の長になったのだが、
その理由も物語の進行とともに次第に明らかになっていく。


シリーズタイトルにもなっている「パラソル」だが、
本書ではアレクシアはマコン卿特注によるパラソルを手にする。

帽子店を営むマダム・ルフォーなる人物がそのパラソルの製作者で
実は「007シリーズ」におけるQみたいな人・・・といえば
どんなパラソルになっているのか想像がつくと思う。
マダム・ルフォー自身も、今回の物語のキーパーソンの一人。

この "秘密道具" の活躍も、本書の楽しみの一つだろう。


アレクシアとマコン卿の仲も、痴話喧嘩から夫婦喧嘩へと "昇格"(笑)。
しかしこの二人、結婚しても "落ち着く" という言葉とは無縁である。

主要登場人物の半分以上は人間ではないし、
最初は人間でも、途中から "人間をやめて" しまう人もいたりして(笑)
脇役の方々も主役二人に負けず劣らず "個性" 豊かである。


ラストでは、もちろん謎の "現象" の正体も判明するのだけど
それがまた先の展開につながりそう・・・
って思ってたら、おおっと、そう来ましたか。
ここで終わったら、いやでも続きが気になるじゃないか。

というわけで、近々第3巻も読む予定。


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うさぎ幻化行 [読書・ミステリ]

うさぎ幻化行 (創元推理文庫)

うさぎ幻化行 (創元推理文庫)

  • 作者: 北森 鴻
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2014/04/21
  • メディア: 文庫



評価:★★☆

美月リツ子は、父親の再婚によって最上圭一と義兄妹となった。
圭一はリツ子のことを「うさぎ」という愛称で呼び、
とてもよく可愛がってくれた。
リツ子は大学卒業後、就職を機に家を出て一人暮らしを始めたが
圭一は乗っていた航空機の事故で亡くなってしまう。
その2ヶ月後、圭一の同業者・澤木から連絡が入る。
圭一の遺品として譲り受けた音響機器の中に、
意味不明な音源データがあること、
そしてそのデータフォルダの名が「うさぎ」であること。
リツ子は圭一の足跡を追って、音源の収録場所を巡る旅に出る。


「第一話」~「第九話」と名付けられた章で構成されていて
音源にまつわる謎を解く一話完結形式のミステリ風になってるけど
(もちろん全体を貫く伏線も張ってあるが)
終盤は連続したストーリーを追っていく。

圭一を巡る謎は最終話で明らかになるのだけど、これはかなり驚く。
思い返してみれば、もう冒頭から伏線が
張りまくりだったことも分かって、さらにビックリ。
この真相はまず見抜ける人はいないだろう。

ただ、終盤のリツ子の行動がいまひとつ理解できないように思う。
そのことも相まって、この幕切れも正直言って後味が良くない。
これじゃあリツ子が救われないよなあ・・・
評価が低いのもそれが理由。

西上心太氏の解説によると、本書は、生前の北森鴻が
自ら校正した最後の本にあたるらしい。
かなりの体調不良の下での作業だったので、
終盤の書き込みも不十分だったのだろう、と西上氏は推測している。
私もそれには全面的に同意する。

心ゆくまで加筆された完全版を読みたかったと思うのだけど
それはもう叶わぬことなんだよねぇ・・・


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紳士ならざる者の心理学 天才・龍之介がゆく! [読書・ミステリ]

紳士ならざるものの心理学 (祥伝社文庫)

紳士ならざるものの心理学 (祥伝社文庫)

  • 作者: 柄刀 一
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2012/02/04
  • メディア: 文庫



評価:★★★

体験学習型プレイランドの建設を夢見る天才・天地龍之介の
活躍するシリーズの一冊。

秋田県仁賀保に建設場所を定めた龍之介は、
建設業者との打ち合わせや施設で働いてもらう人材のスカウトやらで
多忙な日々を送っているが、そんな中でも事件はやってくる(笑)。


「召されてからのメッセージ」
 建設会社社長・谷口が心筋梗塞で倒れ、入院の後に死亡した。
 以前に作成した遺言書では、再婚予定だった女性秘書・桑畑に対し、
 かなりの財産分与を示していたが、死亡する直前に、
 新しい遺言書を作成していた。
 しかし谷口は娘にさえ遺言書の保管場所を告げていなかった。
 東京との間の電話連絡のみで推理し、場所を特定するという
 龍之介の "安楽椅子探偵" ぶりが見事。

「紳士ならざる者の心理学」
 人材のスカウトのために訪れた大学は、学園祭で賑わっていた。
 折しも、開発された新型ゲーム機の盗難事件が起こるが、
 現場の研究室からはゲーム機が持ち出せない状況にあった。
 さらに学生の一人が感電死する・・・
 不可能状況下の盗難がメインなんだけど
 それを可能にするための仕掛けやらがややこしくて
 途中でついていけなくなってしまった(アタマ悪いねぇ私)。
 でも、「そんなにうまくいくかなあ」とは思った。
 ま、うまくいくのが前提なのがミステリのトリックなんだけど。

「ウォール・ウィスパー」
 他のアンソロジーに収録されていたので、既読。
 プレイランド用に改装が決まった銭湯で、
 工事現場に立ち入った中年女性が40年前の記憶を甦らせ、
 それが時の彼方に埋もれた殺人事件に光を当てる。
 田舎のことで、関係者がたくさん現地近くに残っているのは
 まあ納得できるけど、みんな40年前のことをよくまあ覚えてること。
 私自身の40年前なんて、深い霧の向こうだよ・・・

「見られていた密室」
 冒頭40ページほどは、犯人から見た犯行の様子、そして
 被害者が密室に追い込まれ、何とか犯人を示すメッセージを
 残そうとする様子が延々と綴られる。
 犯人も被害者も頭の切れる人間で、お互いに相手の行動を
 読み合う様子がチェスの名人同士の対戦のようである。
 しかし奮闘むなしく被害者は倒れ、龍之介の登場となる。
 ミステリ濃度は本書中一番。
 これ、倒叙ものにして書いても面白いんじゃないかなあ。
 刑事コロンボみたいに。

「少女の淡き消失点」
 プレイランドの落成式当日。参加者の記念写真には、
 そこにいないはずの謎の少女が写っていた。
 龍之介が解き明かすのは、大人の事情に振り回される子供たちの姿。
 血なまぐさい犯罪ではなく、日常の謎に近い話。
 後味が悪くないのは救い。


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宵待草夜情 新装版 [読書・ミステリ]

【新装版】宵待草夜情 (ハルキ文庫 れ 1-10)

【新装版】宵待草夜情 (ハルキ文庫 れ 1-10)

  • 作者: 連城三紀彦
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2015/05/15
  • メディア: 文庫



評価:★★★★

1987年に新潮文庫に入り、1998年にハルキ文庫で再刊、
そして今年になって「新装版」として版を重ねることになった。
何度も再刊されているが、それにふさわしい "高密度" の短編集だ。

収録作にはそれぞれ、ヒロインの女性の名前が
副題みたいに付されてる。
ただ、内容的はみな独立した短編になっているので
どれから読んでも問題ない。


「能師の妻」<第一話・篠>
 能師の娘に産まれた篠は、父から厳しく芸を仕込まれた。
 長じて後、篠の芸に惚れ込んだ藤生流の能師・信雅の愛人となり、
 やがて信雅の正妻が亡くなると後妻となった。
 しかし信雅は間もなく他界、後に残されたのは正妻の息子・貢。
 信雅の遺志に従い、貢に対して稽古をつける篠。
 しかしそれは次第にエスカレートし、虐待の様相を呈していくが・・・
 ミステリと言うよりは、凄まじい情念に満ちた愛憎の物語。
 しかし、ラストでしっかり驚かされるのも連城作品。

「野辺の露」<第二話・杉乃>
 兄・暁一郎の浮気に悩む兄嫁・杉乃の境遇に同情した順吉は、
 暁一郎が落馬で入院していた間に杉乃と関係を持ち、
 兄嫁は妊娠、生まれた子は暁介と名付けられた。
 事実関係を知った暁一郎は、その後20年にわたって
 暁介と杉乃を蔑ろにし続けるが、ある晩、
 暁一郎が暁介に殺されるという事件が起こる。
 物語は、順吉から杉乃へ宛てた手紙文の形式で進行する。
 不幸な兄嫁を20年に渡って慕い続けた順吉の思いが
 切々と綴られていくのだけど、ラストでぶん投げられてしまう。
 それもまた快感。

「宵待草夜情」<第三話・鈴子>
 結核を患った元美術学生・古宮は3年ぶりに東京へ舞い戻る。
 カフェ「入船亭」で知り合った女給・鈴子と深い仲になるが
 鈴子の同僚の女給・照代が殺される。
 古宮は犯行時刻に、血まみれの鈴子が犯行現場から
 外に出てくるところを目撃していた・・・
 それぞれに辛く哀しい過去を持つ古宮と鈴子が、
 身を寄せるように過ごしていく日々の描写が切ない。
 それでいてしっかりミステリをしていて、ラストまで来ると
 今までの何気ないやりとりや行動がきれいな伏線になっている。
 連城作品には珍しく、ちょっぴり希望が見えるラストも心地よい。

「花虐の賦」<第四話・鴇子>
 劇作家・絹川幹蔵に見いだされた女優・川治鴇子(ときこ)は、
 病床の夫と子を捨てて絹川の劇団に参加、一気に才能を開花させる。
 やがて幹蔵と愛人関係になった鴇子だが、
 人気絶頂の公演の最中、絹川が謎の自殺を遂げる。
 そして絹川の四十九日法要の夜、鴇子もまた自ら命を絶った・・・
 この二人の自死に秘められた、凄まじいまでの執念というか何というか
 男女の愛憎というものは、無限の深淵を伴っているんですねえ。
 「なぜこの日に死ななければならなかったのか」
 この理由に思い至る人はまずいないだろう。

「未完の盛装」<第五話・葉子>
 昭和22年。戦死したはずの夫が復員してきたが、
 葉子は既に闇物資の仲買人・吉野の情婦になっていた。
 吉野と共謀して夫を死に至らしめた葉子だったが・・・
 昭和37年になり、弁護士・赤松の元を訪れた吉野は、
 この15年間、葉子の夫を殺害した件で吉野と葉子の二人を
 脅迫しつつづける人物がいること、そして
 殺害事件の時効が成立したことを告げる・・・
 いやあ、"二転三転" とは、まさにこのこと。
 単純な殺人事件かと思いきや、二重三重に仕組まれた "からくり" に
 圧倒される。文庫で70ページほどの作品なんだけど
 その気になれば長編にも仕立てられそうなネタ。
 連城作品につきものの "情念" テイストはやや希薄だが、
 そのぶん、"本格" テイストは濃厚か。


以上五編、粒ぞろいのトリッキーな作品ばかり。
やっぱり連城三紀彦はスゴい。


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BORDER 善と悪の境界 [読書・ミステリ]

BORDER 善と悪の境界 ミステリー傑作選 (講談社文庫)

BORDER 善と悪の境界 ミステリー傑作選 (講談社文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/11/15
  • メディア: 文庫



評価:★★★

2009年に発表された短編ミステリから選ばれた "傑作選"。
その後半分。

「随監」(安東能明)
 随監とは "随時監査" の略だそうで、
 要するに抜き打ちで入る監査のこと。
 主人公・柴崎が勤務する綾瀬署に随監が入り、
 管内の交番に出された傷害の被害届が放置されていることが
 発覚し、柴崎はその事情を探り始める。
 第63回日本推理作家協会賞短編部門受賞作とのことだが
 私は好きになれないなあ。
 広松という刑事の行動が受け入れられるかどうかが
 この作品の評価を決めると思うんだけど、私は受容できないなあ。
 確かに世の中、理屈だけじゃあ回らないけどね・・・

「夏の光」(道尾秀介)
 小学4年生の利一たちがかわいがっていた犬が姿を消す。
 仲間の一人・宏樹は、同級生の清孝が殺したと主張するが・・・
 利一を主人公とした連作の一編とのこと。
 "証拠" となる写真が撮られた "状況" なんだが、
 そんなにうまく映るものかなぁ、との疑問も湧く。
 でもまあ、この子らの話をもっと読みたくなった。

「雨が降る頃」(結城充孝)
 4WD車とFR車、2台の自動車が衝突、炎上する。
 駆けつけた交通機動隊のツジは、4WD車が加害車両と判断するが
 女性警官・クロハはそれに異を唱える。
 理路整然と証拠の解釈を組み上げ、意外な真相を引き出してみせる
 クロハがとてもカッコよくて魅力的だなあ・・・って思ってたら、
 彼女を主役とする連作の一編だった。
 クロハはこの後、機動捜査隊に異動になってさらに活躍するらしい。
 このシリーズ、読んでみたくなったよ。

「ドロッピング・ゲーム」(石持浅海)
 資本主義ではあるが、一党独裁の全体主義国家となった、
 パラレルワールドの日本を舞台にした連作の一編。
 連作短編集「この国。」に収められていて、既読だった。
 この国では、小学6年生の卒業時点で進学先を振り分けられ、
 その後の人生が決定してしまう。
 クラスでトップの成績を誇る2人の生徒、啓介と翔一。
 啓介は最優秀のエリート校へ進学が決まったが、
 翔一はそれより一段下の学校へ進むことになる。
 一時は落ち込んだ翔一だったが、次第に明るさを取り戻し、
 啓介とともに卒業式の準備に取りかかっていた。
 しかし準備の最中に校舎の屋上から投身自殺を遂げてしまう。
 この世界だからこそ起こる事件、
 "世界のありよう" が作り出すミステリである。

「波形の声」(長岡弘樹)
 臨時採用の小学校教員・谷村梢は、来週には任期が終わり
 学校を去ることになっていた。
 そんな中、クラス内でいじめに遭っていた生徒・文吾が
 自宅で襲われ、意識不明の重傷を負うという事件が起こる。
 文吾が自宅内で「たにむらせんせい」と話す声を聞いた、
 という近隣住民の証言から、梢は容疑者となってしまう・・・
 タイトルにも関わる、ある "仕掛け" が本作のキモなんだけど
 正直言って「そんなにうまくいくかなあ」と思わないでもない。
 でも、それ以外の部分はミステリとしてとても良く出来ている。

「老友」(曽根圭介)
 過疎の村で診療所を営む老医師・道夫。
 道夫の幼い頃からの友人・源治には、良太という息子がいるのだが、
 箸にも棒にもかからない道楽息子で、
 しょっちゅう問題を起こしては道夫に庇ってもらっていた。
 そんな良太に強盗強姦事件の容疑がかかるが・・・
 意表を突くラストで驚かされる。
 この結末が予想できる人はかなり少ないだろう。
 ただ、後味はあまり(というか、かなり)良くない。

「眼の池」(鳥飼否宇)
 バーで飲んでいた写真家・猫田夏海とその先輩・鳶山久志。
 一緒にいた客が「私の兄は河童にさらわれた」と言いだし、
 かつて出会った怪奇な出来事について語り出す。
 鳶山を探偵役とするシリーズの一編。
 不思議な現象を合理的に解明していくくだりは良く出来ている。
 ちなみに "眼" の正体は私にも分かったよ。
 当てずっぽうだったけど。

「師匠」(永瀬隼介)
 暴力団担当の刑事・津川は、
 配属された新人刑事・大木にうんざりしていた。
 体重120kgにして、すぐに休みたがる問題児だったのだ。
 そんな津川に、別れた妻から連絡が入る。
 息子の隆平の様子がおかしい、と。
 ミステリと言うよりはコメディタッチの人情話かなあ。


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Logic 真相への回廊 [読書・ミステリ]

Logic 真相への回廊~ミステリー傑作選 (講談社文庫)

Logic 真相への回廊~ミステリー傑作選 (講談社文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/04/12
  • メディア: 平装-文库



評価:★★★

2009年に発表された短編ミステリから選ばれた "傑作選"。
今回は、私の好みに合う作品が少なめ。


「休日」(薬丸岳)
 14歳になる息子・隆太の様子が最近おかしい。
 夜遅くまで不良少年と過ごし、小遣いまでもらっているらしい。
 心配になった父親・吉沢は旧友で刑事の夏目に相談するが・・・
 親子の絆を結び直す、ってテーマはドラマとして有りだと思うけど
 ミステリ濃度は希薄。サスペンスも今ひとつの感じ。

「未来の花」(横山秀夫)
 働き盛りの証券マンが自宅で刺殺される。
 容疑者として妻が浮かんでくるが、
 検視補助官の今村は、入院中の鑑識官・倉石に助言を求める。
 倉石が「これが真相」と切り出す根拠がちょっと弱くないかなあ。
 それに "だめ押し" で繰り出す証拠は、
 読者にはちょっと手が届かない処にあると思うし。

「レッド・シグナル」(遠藤武文)
 失業中の主人公・佐久間の眼前で、交通事故が起こった。
 赤信号にもかかわらず交差点にスクーターが突っ込み、
 乗用車と衝突したのだ。しかし、なぜか乗用車の運転手は
 自分が信号無視をしたと言い出す・・・
 何と何がどうなっているのかよく分からないんだけど
 終わってみれば意外なところがつながりあっていて
 それはそれなりに良く出来ているのはわかるんだけど。

「ノビ師」(黒崎視音)
 連続強姦魔が逮捕されるが、証拠となる写真を収めたSDカードが
 犯人の家から何者かに盗まれていた・・・
 心理捜査官・吉村爽子(さわこ)の活躍するシリーズの一編。
 ヒロインは魅力的だけどミステリと言うよりは親子の情愛話かな。

「九のつく歳」(西澤保彦)
 ヒロイン・安河内ミロは、近々マンションから引っ越す予定。
 しかし近所の独居老人が殺害され、そこから意外な事実が明らかに。
 うーん、この手の話は苦手でかつ好きではありません。

「ミスファイア」(伊岡瞬)
 小学校の音楽教師・森島を主人公とするシリーズの一編。
 彼が臨時講師を務める学校の6年生のクラス担任に対し、
 執拗にクレームをつけるモンスターペアレントたち。
 しかしそのモンスターたちの家が次々に放火される。
 容疑は、6年生の担任教師にかかるが・・・
 子供らの描写も達者だし、森島のキャラも好きだ。
 本書では2番目に気に入った作品。

「星風よ、淀みに吹け」(小川一水)
 将来、月面基地に長期間人間が滞在することを念頭に建設された
 完全密閉された訓練施設。この中で5人が8ヶ月を過ごす。
 しかし訓練が終了する直前、メンバーの一人が殺害される。
 設定はSF的ながらSFミステリではなく、でも書いたのはSF作家。
 特異な閉鎖空間の特性を利用したトリックに「その手があったか!」
 作者はプロパーなミステリ作家ではないけど、
 本書中いちばん "ミステリ" を感じた作品。

「生き証人」(末浦弘海)
 海原麗子は、夫・剛造以外の男性と関係し、娘・留美をもうけるが、
 剛造が留美を自分の娘と信じたまま亡くなった8年後、
 剛造の愛人と称する女・恵理子が "隠し子"・詩織をつれて現れ、
 遺産の分割を要求するが・・・
 麗子と恵理子が繰り広げる、相手の真意や思惑を探っての
 あたかもチェスをしているような読み合いが凄まじい。
 いやあ女は恐い。

「この雨が上がる頃」(大門剛明)
 ヒロイン・沙織が帰宅の途中立ち寄ったレンタルビデオ店。
 しかし突然二人組の男が乱入し、店員を人質に立てこもってしまう。
 彼らが要求したのは、ある事件の真犯人に
 "自首" を要求するものだった・・・
 ラストでの意外な展開が鮮やかに決まるサスペンス。
 ストーリーとしては綺麗にまとまってるけど
 今ひとつ私は好きになれないです。ごめんなさい。


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図書館戦争シリーズ 全6巻 [読書・SF]

評価:★★★★☆

この秋、TVでスペシャルドラマになって
さらには続編の映画が公開されるという話題作。

だから読み始めた、という訳ではないんですね。
実は文庫版の本編4巻+別冊2巻の計6巻は
発売と同時に買ってあった。

それが何でいままで放置されてたのかというと特に理由はない。
強いて言えば時機を逸した、かなあ。
文庫発売当時は映画化、アニメ化、コミック化と
メディアミックスでやたら盛り上がってたので
ちょっと間を置いて沈静化してから読もうと思ってたら
そのまま放置してしまった、という感じか。

何せ積ん読状態で放置されてる本が100や200じゃきかない我が家。
その中に埋もれたしまったら、発掘に時間がかかる。
というのは冗談だが、新刊ばかり読んでたら、
昔買った本をいつまでたっても読めないので
自分なりに読む順番というかルールを作っている。
そのルールに従って読んでたら、たまたまこの時期にあたったので。

閑話休題。


図書館戦争 図書館戦争シリーズ (1) (角川文庫)

図書館戦争 図書館戦争シリーズ (1) (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2011/04/23
  • メディア: 文庫




図書館内乱 図書館戦争シリーズ (2) (角川文庫)

図書館内乱 図書館戦争シリーズ (2) (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2011/04/23
  • メディア: 文庫




図書館危機 図書館戦争シリーズ (3) (角川文庫)

図書館危機 図書館戦争シリーズ (3) (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2011/05/25
  • メディア: 文庫




図書館革命 図書館戦争シリーズ (4) (角川文庫)

図書館革命 図書館戦争シリーズ (4) (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2011/06/23
  • メディア: 文庫




舞台はパラレルワールドにして近未来の日本。
時に2019年、元号表記では「正化31年」。

 ちなみに解説によると「正化」とは、「平成」とともに
 「昭和」の次の元号候補だったらしい

"公序良俗" を乱す表現・著作物を取り締まる
「メディア良化法」が成立して30年。

あらゆるメディアへの監視権を持つメディア良化委員会が発足し、
その執行機関である "良化特務機関" (!)により
武力行使も辞さない苛烈な取り締まりが行われていた。

そんな中、公共図書館は「図書館の自由に関する宣言」を元に
「図書館の自由法」制定にこぎつけて
メディア良化法に敢然と抵抗を宣言、
自ら武装した "図書隊" による防衛制度を確立する。

 この「図書館の自由に関する宣言」という文言、
 本書の冒頭に掲げられているのだけど、かなり過激な表現で、
 てっきり架空の文書かと思ったのだけどなんと実在する宣言文。
 「日本図書館協会」のサイト内に詳しく全文が掲載されているので
 一読をお勧めする。
 "図書館" というものに対するイメージが変わる文書である。

「メディア良化法」と「図書館の自由法」という
相矛盾する2つの法律が存在するため、
良化特務機関も図書隊も "合法的武装組織" になっていて
両者の間には一般人を巻き込まないための
戦闘地域や使用火器に厳しい制限が課せられた
"交戦規定" なるものまで存在する。

物語は、国家公務員(特務機関)と地方公務員(図書隊)が
合法的かつ日常茶飯的に、"武力衝突" している世界が舞台となる。


女子高生・笠原郁(いく)は、街角の書店で
大切な本を良化特務隊に没収されそうになったところを
通りかかった図書隊員に救われる。
その日から、その図書隊員は郁の "憧れの王子様" となり、
大学卒業後、彼を追って図書隊に入隊する。

とは言っても、肝心な彼の顔を覚えていなかったのが何とも。
(郁は人の顔を憶えるのが極端に苦手、という設定。)

入隊した郁を待っていたのは、鬼教官・堂上と激しい訓練の日々。
男子顔負けの身体能力を誇る(というかそれしか取り柄が無い)郁は
厳しい訓練を耐え抜き、女性として初めて
図書特殊部隊(ライブラリー・タスクフォース)に配属され、
良化特務部隊との戦いの最前線に立つことになる。


メディア良化法を巡る「検閲」と「表現の自由」の問題。
全4巻に渡って描かれるのは、テーマ的には非常に重いものである。
しかし、有川浩という稀代のストーリー・テラーが生み出す、
これもまたものすごいページ・ターナーぶりはどうだ。

口より先に手が出る直情径行の熱血バカ。
生まれる時代を間違えたかのような昭和っぷり。
そんな新米隊員である郁が、
良化特務機関とのさまざまな抗争の中を突っ走っていく。
それはもう激走で爆走で、たいてい暴走なんだが
そんな彼女の「本を守りたい」という一途な行動が
読み手の半端ではない感情移入を呼び込み、
難しいテーマも等身大の問題として感じさせてくれる。

読者は時に笑い、時に泣き、時にハラハラドキドキしながら
「自由」とは何かを知らず知らずのうちに考えさせられるだろう。

自称 "170cm級戦闘職種大女" しかし実態は "純粋培養純情乙女" 。
そんな郁の成長と恋を、多彩なキャラクターたちが盛り上げていく。

教官から上官になる堂上、その同期の小牧、
やがて小牧の恋人となる中途難聴者の少女・毬江、
郁の同期で成績優秀な手塚光、
その兄にして物語後半のキーパーソンとなる手塚慧、
郁の親友にして驚異の情報収集力を誇る柴崎。
このメンバーについてもいろいろ書きたいんだが
書き出すと切りが無いので涙を呑んで割愛。


王子様の背中を追って入った道だったが、
それは銃声と硝煙に彩られた茨の道だった。

しかしヒロインは持ち前のバネと脚力を全開して
一途な思いを胸に秘め、華も嵐も踏み越えて
(まさに最終巻のクライマックスは嵐だったがw)
波瀾万丈の物語世界を駆け抜けていく。

彼女と図書隊の戦いは、やがて「メディア良化法」の支配に
風穴を開けていくことになるのだが、それは読んでのお楽しみだろう。

そしてもちろん、ラストまで走り通したヒロインが
飛び込むゴールは愛しい人の腕の中。

ミリタリー・アクション・ラブ・コメディ、
図書館戦争4部作、堂々の大団円である。


別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)

別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2011/07/23
  • メディア: 文庫




別冊図書館戦争II (図書館戦争シリーズ 6) (角川文庫)

別冊図書館戦争II (図書館戦争シリーズ 6) (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2011/08/25
  • メディア: 文庫




「別冊」と銘打たれた2冊は、(部分的に過去の回想も入るが)
本編の後日談に相当する。

「I」は、最終巻「図書館革命」の最終章とエピローグの間の話。
「II」はエピローグ後の話になっている。

良化特務部隊との戦いは背景に退き、
図書隊員たちの恋愛模様の描写に特化した内容。
「ベタ甘」と作者自らが語るとおり、
読んでいるこっちが恥ずかしくなるようなラブ・ストーリーだが、
私は嫌いじゃない。むしろ好物だ(おいおい)。

質・量ともに、有川浩の代表作と言える傑作シリーズだ。


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宇宙戦艦ヤマト2199 続編決定 [アニメーション]

昨日の夜、というか午前0時を過ぎたあたり(まさにmidnight)、
例によってアルコールの回った頭でネットをちまちま見ていたら
飛び込んできたこの知らせ。

YAMATO CREWの会報に載っていたらしいですね。

「星巡る方舟」の上映結果がどうだったのかよく分からないけど
DVD/BDの売上が好調だったので
続編製作にGOサインが出たのでしょう。


内容は「さらば/2」がベースになるようなので
アンドロメダが出てくるのはもう決まりですね。
バンダイさんの念願成就というところ?

TVシリーズ26話分で製作し、イベント上映で先行公開とのことなので
「2199」のパターンを踏襲するのですね。


まあ、もし続編を作るならこうなるだろうなあ・・・という
想定の範囲内ではありますが。


ただ、私の気持ちとしてはちょいと複雑です。
ヤマトのリメイクは「星巡る方舟」をもって完結、
でよかったんじゃないかとも思っていたので。

 どうしてもオリジナル・シリーズの続編群の悪夢を
 思い出してしまうのでねぇ・・・

惜しまれる内にスパッと終わるのがみんなの幸福ではないかなあ。


2016年公開らしいのですが間に合うのかな。

「星巡る方舟」だって、第6章(2013年6月)以前に
製作が決まってたらしいけど、
公開時(2014年12月)の作画の出来に問題があったし。
1年半あってもこれなんだからねえ・・・

ストーリー/設定等を含め、クオリティがどうなるのか。
2199の後を受けるのだから、その分ハードルも上がるしね。

私の個人的な予想では、2016年の暮れまでに
"第1章" が公開できるかどうか、じゃないかなあ・・・


ただまあ決定して動き出してしまったのなら
市井の一個人が何を言おうと事態は全く変わらないので
後はただ、祈るのみですね。

古くからのファンを、2199で加わった新しいファンを
裏切らない作品をつくってほしいものです。

これからだんだんと情報が公開されていくのでしょうが
過度の期待は抱かずに、かといって徒に悲観することもなく
淡々と公開までを待つことにしましょう。

今朝、朝食を食べながらかみさんと話をした。
「ゆうべ、ネットで拾った情報なんだけど」
「?」
「ヤマトの続編の製作が決まったらしいよ」
「へえ・・・どんな話になるの?」
「映画と同じく、ガトランティスが出てくるんじゃないかな」
「タランのお兄ちゃんは出るの?」(←そこからですか)
「それはわからない(笑)」
「デスラーは?」(←まあ当然の疑問)
「たぶん出るんじゃないかな。出さなかったらファンが怒りそうだし」
「サーベラーは?」(←「星巡る方舟」いちばんのお気に入りキャラ)
「いやあ、彼女はもちろん出るでしょう」
「そうよねえ。あの人カッコよかったし」(←同感)
「続編製作決定をどう思う?」
「椅子買っといてよかったでしょ」(←そこかい!)


状況がよく分からない人のために書いとくと
かみさんは2199第7章の公開直前に、
ポータブルな折りたたみ椅子を2脚買った。
映画館の前で待つ時のためである。
「いま買ったって、もう使わないんだから」
「そんなことない! 絶対また使うようになるから!」
その時に交わした会話である。

かみさんの熱意(執念?)の勝利であった。


なんだかんだ言っても、いざ公開となったら
いそいそと観に行く私たちの姿が
容易に想像できてしまうところがねえ・・・


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