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冒険王<2> 北京潜入 [読書・冒険/サスペンス]

冒険王 2 北京潜入 (ハルキ文庫 あ 24-3)

冒険王 2 北京潜入 (ハルキ文庫 あ 24-3)

  • 作者: 赤城毅
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2015/06/13
  • メディア: 文庫



評価:★★★

元陸軍中尉・志村一心は、堪能な語学力と
その武芸を買われ、間諜として生きていくことになった。

舞台は前巻から4年後、1900年の中国。
義和団が北京を占領、列国公使館は包囲されて、
救援のために日本を含む8カ国連合軍が北京へ向かっていた。

特務機関長・佐久間大佐が一心に与えた任務は
北京へ潜入し、現地の状況を探ること。

特務機関に協力する中国人女性・玉藻(たまも)と
夫婦を装い、物資を輸送する水夫となって北京を目指す。

しかし行く手には、義和団のみならず、
一心を不倶戴天の敵とつけ狙う諏訪雷四郎もまた待ち受けていた。


ヨーロッパの都市や鉄道などが舞台で、
"和製007" 的にスマートな雰囲気だった前作と比べると
主な舞台が荒野だったり、移動が帆船や馬だったり、
使う武器も銃よりも剣がメインだったりと、より泥臭くなって、
こちらは "和製インディ・ジョーンズ" という趣向。

文庫で200ページちょっとしかないんだが、
主人公を襲う危機また危機、ライバルの登場、
愛と友情と裏切り、そして意外な幕切れと
この手の話では "お約束" ともいうべき展開が
しっかり盛り込まれているのは、流石の出来というべきだろう。

これはこれでとてもおもしろいと思うんだけど
日露戦争直前の中国という舞台もあり、
荒唐無稽さよりは、ややリアル志向のつくりになってるかな。
そのせいか、読んでいてなんとなく窮屈さを感じたりもした。

リアル志向が悪いわけでは全然無いんだが、
デビュー作「魔大陸の鷹」に始まる初期作品の自由奔放さ、
ぶっ飛んだ想像力全開ぶりを知ってるだけにねえ。
まあ、あんなものはそうそう量産できるものでもないんだろうけど
またいつか "ぶっ飛んだ話" を書いて欲しいなあ。


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