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スノーホワイト [読書・ミステリ]

スノーホワイト (講談社文庫)

スノーホワイト (講談社文庫)

  • 作者: 森川 智喜
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/11/14
  • メディア: 文庫



評価:★★

極悪探偵(笑)・三途川理(さんずのかわ・ことわり)くんの登場する
シリーズ第2弾。

前作「キャットフード」では、「化け猫」という突拍子もないファクターを
導入したミステリという、ある意味斬新な作風で驚かされたが、
今回の "びっくりガジェット" は、なんと「魔法の鏡」である。

「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだーれ?」ってアレである。

質問に対して、"真実を映し出す"。
つまりこの世の中で起こっていることはすべてお見通しになってしまう。

「○○を殺したのはだーれ?」「それは△△です」ってわけで、
これさえあればどんな事件もたちどころに解決してしまう・・・はずだ。

化け猫が孤島の屋敷に誘い込んだ人間を
キャットフードにしてしまおうという、
という前作が「注文の多い料理店」なら、
今回はタイトル通り「白雪姫」がモチーフになっているのだろう。


ヒロインは襟音ママエ(14歳)。
ものすごいネーミングだが本名ではない。
実はさる国の王様のご落胤で、つまり王位継承権第一位。
しかし本人はそれを知らず、巷で普通の中学生として暮らしていたりする。
ただ、彼女が一般市民と違うのは、
母親の形見である「魔法の鏡」を持っていること。そして彼女は、
その鏡を使って「私立探偵」を開業していたりするのである。

本書は、彼女のもとに舞い込む事件を扱った短編3つによる第1部と、
200ページほどの中編からなる第2部との二部構成。

SFやファンタジーの世界におけるミステリでは、
その世界の設定や登場するアイテムの説明が欠かせないが
本書では第1部がその役割を担っているのだろう。
「魔法の鏡」なるものの使用法に始まって、
鏡にわかることとわからないこと、
鏡にできることできないことが明らかにされていく。

またここでは三途川の宿命のライバル(?)ともいうべき
緋山燃(ひやま・もゆる)くんも前作に続いて再登場する。

そしてメインとなる第2部では、
ママエを亡き者にして、玉座を奪わんとする
"悪いお后さま" が登場(彼女もまた「魔法の鏡」を持っている)、
三途川理と組んでママエ暗殺計画を始動させる・・・


というわけで、双方とも不思議アイテム「魔法の鏡」を
持ち合っているわけで、ここからどんな物語を作り出すか、
というのが本書のキモなわけだが・・・


本書は第14回本格ミステリ大賞を受賞したとのこと。
しかもデビュー2作目での受賞は最速らしい。

まあ確かに、「魔法の鏡」が実在することを前提にした犯罪計画や、
敵味方の駆け引きなど、とてもよく考えられていると思う。
(時として論理展開が難しすぎて???なときもあるが)
そういう部分が "本格ミステリ" として評価されたのだろうが・・・

ただ、私の評価はあまり高くない。
評価しないというより、好みでない、と言った方が正しいかな。
本格ミステリというものが虚構性の強いものであるのは
百も承知しているのだけど、
本書の "虚構性" は私にはちょっと "軽すぎ" るように思う。

"ライト感覚のミステリ" ではあるのだろうけど、
いささかライトに過ぎるんじゃないかなあ・・・というのが私の感想。

前作「キャットフード」の感想で私は「パズル」って表現したんだけど
今作は何だろう・・・「ゲーム」かなあ。

「魔法の鏡」というルールに則り、殺人の計画を立てる。
実行する、失敗する、では次の手、見破られた、
これではクリアできない、じゃあ邪魔なやつを先に消して・・・

作者は84年生まれで、26歳でデビューしてる。
本書を書いたのはたぶん29歳くらいだろう。
作者にとっては、本格ミステリもまたゲーム感覚に近いのかなあ。

 いわゆる今風のライトノベルなのかな・・・とも思ったんだが
 現在のラノベのミステリってどんなものなのか、
 ほとんどというか全くといっていいくらい読んでないもんで
 比較しようがないんだなこれが・・・


こういうテイストの作品が大好きな人もいるでしょうし
"お気に入り" ミステリのリストに入れる人もいるでしょう。
でも、私は今ひとつなじめないんだなあ・・・


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