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キョウカンカク 美しき夜に [読書・ミステリ]

キョウカンカク 美しき夜に (講談社文庫)

キョウカンカク 美しき夜に (講談社文庫)

  • 作者: 天祢 涼
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/07/12
  • メディア: 文庫



評価:★★☆

文字に色を感じたり、音に色を感じたり、形に味を感じたりと、
通常の感覚に連動して他の感覚が生じることを「共感覚」と言うらしい。
wikiにも載ってて、実際に共感覚をもっている実在の人物の一覧まで
あるんだから、本当なんでしょう。
(本書では「10万人に1人の割合で存在」って書いてある。)

殺した遺体を必ず燃やすという殺人鬼・"フレイム" 。
フレイムに妹を殺された高校生・天弥山紫郎(あまや・さんしろう)は、
謎の女性・音宮美夜(おとみや・みや)と出会う。

彼女は、「自殺願望」や「殺意」などの感情を、
その人間の声に "色" として見ることのできる共感覚者だった。
彼女はその "感覚" を使って独自ルートで犯罪の捜査を行っていた。

山紫郎を助手としてフレイム探索を開始した美夜は、
ある人物の "声を見て"、 フレイムであると直感するのだが・・・


物語があまり進んでいない段階で「フレイムはこいつだ!」って
美夜が言い出すんだが、当然ながら証拠は何もないわけで
美夜の直感が正しかったのか間違いだったのかも含めて
最後までフレイムの正体は分からない。

そういう意味では通常のWho done it ? ミステリでもあるんだが、
この物語のキモは「なぜ死体を燃やしたのか」という
Why done it ? にあるのだろう。
ラストで明かされる理由は、たしかに意外極まるものではあるが・・・

サイコパス気味のシリアルキラーってのが、私はあまり好きではないし
探偵役の美夜サンの "不思議ちゃん" ぶりもちょっとついて行けない。

 まあ、本格ミステリの探偵役では、
 奇人変人でないのを探す方が大変なんだけど・・・

美夜が、かなり不幸な過去を背負っていて、
エキセントリックな振る舞いもそこに原因があるのが
作中で示されてはいるんだけどね・・・

「共感覚」という素材、「音宮美夜」というユニークな探偵役と
新人さんらしい意欲的な作品ではあるのだけど
今ひとつ私の好みに合わないかなあ・・・

というわけで、ロジカルなミステリ部分だけなら★3つなんだが、
好みと合わない分だけ★半分減点してしまいました。
スミマセン。