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扼殺のロンド [読書・ミステリ]

扼殺のロンド (双葉文庫)

扼殺のロンド (双葉文庫)

  • 作者: 小島 正樹
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2014/04/10
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

「十三回忌」でデビューを飾った素人名探偵・海老原浩一くんが
再び登場し、連続密室殺人事件に挑む。

資産家・姉川家の次女・信子と、その従兄弟・清人が乗った車が
廃工場の壁に激突し、二人は死体で発見される。

しかし信子は腹を割かれて胃と腸を抜き取られ、
清人は高山病としか思えない症状で死んでいた。
(ちなみに現場の標高は600m)

しかも衝撃で車体が歪んでドアが開かなくなっており、
事故の直後に工場の入り口には外部から施錠されていたことが判明する。
たとえ他殺としても犯人は脱出できないわけで、
現場は "二重の密室" となっていた。

その後も信子と清人の親族が次々に殺されていく。

隠れ場所の全くないアトリエに突然現れた死体、
床から生える二本の手、そして包帯で巻かれた首が宙に舞い、
それをなぞるかのように、包帯を巻かれた死体が密室で発見される。

前作でもそうだったが、これでもかとばかりの
ミステリのガジェットがてんこ盛りで、もうお腹いっぱいになる。
本格ミステリ好きにはたまらないだろう。

まあ、前回も書いたがトリックについては、
若干 "苦しい" かなぁ・・・ってものもある。
冒頭の二重密室にしても、死体とか現場を調べれば
何らかのトリックの痕跡が見つかるんじゃないかなあ・・・
日本の警察や鑑識はそんなに無能じゃなかろう・・・
なぁんて思わなくもないんだが、
これも前回通り、そんな野暮なことは脇に置いといて、
「よくまあこんなこと考えたな~」って感心しながら
作者の仕掛けた壮大な "ホラ" を素直に楽しむべきだろう。

前回とは打って変わって、海老原くんの中にも
自分が "名探偵になった" って自負が出来たみたいで
すっかり押しが強くなり、前回から犬猿の仲であるところの
刑事の小沢くんとも堂々と張り合って見せて
このあたり、二人の掛けあいが本当に面白くなってる。

巻末の解説によると、「十三回忌」と本書を含めると
もう9作も発表しているらしい。ということは、
これから続々と文庫化されるということだよね。
とっても楽しみである。


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