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ポケットに地球儀 探偵作家アマンと謎の密室魔 [読書・ミステリ]

ポケットに地球儀  探偵作家アマンと謎の密室魔

ポケットに地球儀  探偵作家アマンと謎の密室魔

  • 作者: 安萬 純一
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

出版社の編集者・鹿堀(しかぼり)は、
一般の読者から身の回りに起こった謎を投稿してもらい、
それを探偵作家アマンに解かせる、という企画を立てる。

アマンと深堀のもとには次々と4つの謎の事件が持ち込まれるが、
解明に乗り出した2人は、なぜか毎回、何者かに拉致されて
”密室”(正確に言えば密閉された建造物)の中に閉じ込められる・・・
という展開の連作短篇集。

サブタイトルの「密室魔」とは、この密室を用意して
アマンと鹿堀に ”挑戦” してくる謎の人物を指すのだが、
建物ひとつ作るのも、けっこうな手間と金がかかってるわけで
いったい密室魔の目的は何なのか?

「パンク少女と三日月の密室」
女子大生・キリナが通学に使っている電車で
毎日一緒になる女性は、謎の行動をくり返していた。
決まって同じ駅で下り、次の電車に乗る。
しかし降りた電車も乗る電車もどちらも各駅停車だ。
彼女の行動の意味は何なのか・・・

「ノイズの母と回転する密室」
5階建てマンションの1階に住む安芸田(あきた)雅美。
ここ1週間の間に、彼女の部屋のベランダに
大量の砂が降ってきたことが2回もあったのだという・・・

「DJルリカと四角い密室」
DJルリカがかつて通っていた中学校が廃校になり、
それを惜しんでクラス会が開かれた。
ルリカも呼ばれて現地へ向かったのだが、到着した時には
集まっていたはずの人たちは誰もいなかった。
しかし会場には菓子や飲み物が残されており、
ついさっきまで人がいた痕跡があった・・・

「メロデス美女とドアのない密室」
雑誌ライターの茜は売れないカメラマンである浩一と同棲している。
最近、茜の持ち物が姿を消してしまう事態が頻発する。
どうやら浩一が金に換えているらしいのだが、
彼が部屋の外へモノを持ち出した形跡がない・・・

「密室魔と空中の密室」
これまでの4つの事件で、鹿堀とアマンは
謎の建造物(それも、毎回新設される)に拉致されているのだが、
その土地の所有者が判明する。
鹿堀とアマンはその人物こそ ”密室魔” だと睨む。
これまでの事件で依頼人として現れた女性陣も総登場して
一連の事件も大詰めを迎える。

ミステリなのだけど、探偵役はアマンでもなく鹿堀でもない。
2人が毎回密室に閉じ込められて、脱出に苦労している間に
なんとなく謎は解かれて事件は解決してしまう(おいおい)。
そしてその真相もけっこう脱力系だったりする。

本書のミステリとしての興味はもう一つあって、
それは閉じ込められた密室から2人がいかにして脱出するかということ。

さらに、主役2人が交わすミステリに関する馬鹿話にも
けっこう枚数が割かれている。
その内容は、人によって好き嫌いが別れるかも知れないが
私はけっこう楽しんで読ませてもらったよ。

典型的な ”バカミス” と割り切れば、これはこれでオモシロい。


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