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バチカン奇跡調査官 原罪無き使徒達 [読書・ミステリ]


バチカン奇跡調査官 原罪無き使徒達 (角川ホラー文庫)

バチカン奇跡調査官 原罪無き使徒達 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 藤木 稟
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/03/25
  • メディア: 文庫
評価:★★★

カソリックの総本山、バチカン市国。
世界中から寄せられてくる "奇跡" 発見の報に対して
その真偽を判別する調査機関『聖徒の座』。

そこに所属する「奇跡調査官」である
天才科学者の平賀と、その相棒で
古文書の読解と暗号解読の達人・ロベルト。
この神父二人の活躍を描くシリーズの第10弾。
長編としては9作目になる。


今度の舞台は日本、九州は天草だ。

海洋冒険家ロビンソンの乗るヨットは
太平洋を黒潮に乗って北上し、日本へ向かっていた。
しかしフィリピン沖で突如発生した巨大台風に巻き込まれて
ヨットは沈み、彼は海に投げ出される。
陸に向かって泳ぎながらも死を覚悟した彼の前に奇跡が現れる。
漆黒の海上にキリストの姿が現れたのだ。
奇跡に導かれて陸地にたどり着いた彼は
気を失う直前、黒髪をなびかせた天使を目撃する・・・

その二日後、ロビンソンのたどり着いた無人島に
大雪が降り、天空に巨大な十字架が浮かび上がった。
季節は7月、現地は30度近い気温だったにもかかわらず。

奇跡の報告を受けたバチカンは平賀とロベルトを九州・熊本へ派遣した。
地元イエズス会の神父たちと合流した二人は調査を開始するが
奇跡が起こったとされる無人島・神島には、
それ以外にも様々な怪異が目撃されていることが判明する。

この地には隠れキシリタンの信仰が
人知れず今なお生き残っており、さらには
"キリシタンの財宝" の在りかを示す暗号までも伝えられているという。


今回もなかなか壮大な "奇跡" を設定したものだ。
闇に光るキリスト像、天空に浮かぶ十字架、真夏に降る大雪・・・

ラストではもちろん "謎解き" があるのだが
いささか強引かつ無理がありそうな解釈も。
"大雪" なんてかなり偶然の要素が大きいし。

でもそれがあまり気にならなくなってきたのは
ここまでシリーズを読んできたせいか。

ま、この程度で腹を立てるような人は
そもそもここまでついてこない(笑)だろうし、
作者がどんどんぶち込んでくる意外な "仕掛け" を
笑いながら「すごいすごい」って楽しめる人が残ってるんだろう。

本シリーズを読むときはアタマを柔らかくして臨みましょう。
壮大かつスーパー伝奇なホラ話を楽しんだもの勝ちです。

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