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旅猫リポート [読書・その他]


旅猫リポート (講談社文庫)

旅猫リポート (講談社文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/02/15
  • メディア: 文庫

評価:★★★☆


「Pre-Report 僕たちが旅に出る前のこと」
野良猫のナナ(雄猫である)は、車に轢かれて瀕死の重傷を負うが、
サトルという青年に助けられ、彼の飼い猫となる。
しかし5年後、サトルはある事情からナナを手放さざるを得なくなり、
"彼" の飼い主になってくれる人を捜して旅に出ることになった。
それは、サトルの人生を振り返る旅でもあった。
この物語はナナの一人称で綴られていく。

「Report-01 コースケ」
小学校時代の幼なじみ、コースケを訪れ、旧交を温めるサトル。
30年前、二人が拾った子猫のこと。
小学6年生の修学旅行の最中に、サトルの身に降りかかった不幸のこと。

「Report-02 ヨシミネ」
中学時代の同級生、ヨシミネを訪ねるサトル。
かつて、転校生としてやってきたヨシミネとともに
一緒に園芸部を復活させたサトル。
お互い家庭に事情を抱えた中で親友となる二人。
そしてサトルは修学旅行中に "脱走" を企てる。

「Report-03 スギとチカコ」
高校時代からの友人、スギとチカコは大学卒業後に結婚した。
やがてスギは脱サラし、チカコの実家近くでペンションを開業した。
学生時代、チカコはサトルが好きだったのではないか?
スギはそんな心の葛藤を抱えてサトルとつきあっていた。
ナナを連れて現れたサトルに、スギの心は穏やかではない・・・


ここまでの3つの章は、サトル本人よりも、彼が会いにいった
コースケ、ヨシミネ、スギとチカコが主役である。
サトルと再会することにより、彼らは過去の自分とも再会する。
そして自分の人生を振りかえり、新たな一歩を踏み出すことになる。
サトルはそのきっかけをもたらす役回り。

結局、誰もナナを引き取ってはくれないのだが(笑)。

「Report-3.5 最後の旅」
「Report-04 ノリコ」
この2章はサトルの物語。結局、彼はナナを連れたまま、
育ての親ともいえる叔母・ノリコの住む札幌へと向かう。

読んでいけば、サトルがナナを手放さざるを得なくなった理由が
なんとなく見当がついてくるのだが・・・

「Last-Report」
ノリコを含め、今回の旅で出会った人々が一堂に会する〆の回。
しかしなんて切ない幕切れなのだろう。


これは悲しい話だ。有川浩にしては、という前提がつくが。

以前『ストーリー・セラー』という、
これも悲しい話を読ませてもらった。
まあ作者としても、いつもいつもラブコメばかり書いていたら
たまには違う話を書きたくなるのだろうとは思う。
でも、こういう話は苦手だなあ。

有川浩の作品はたいてい★4つつくんだけど今回は3つ半。
切なさの分だけ減点だ・・・

それにしても有川さん、私生活で何かあったんすかねぇ・・・?

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