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緑のカプセルの謎 [読書・ミステリ]


緑のカプセルの謎【新訳版】 (創元推理文庫)

緑のカプセルの謎【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 作者: ジョン・ディクスン・カー
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/10/09
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

小さな町の菓子店で、商品に毒入りチョコレート・ボンボンが混入され、
それを食べた子どもが死亡する。

村の実業家、マーカス・チェズニーの娘マージョリーに
疑いの目が向けられるが、一家はそれから逃れるように
3ヶ月のヨーロッパ旅行にでかける。

マージョリーは旅先で出会った青年ジョージ・ハーディングと婚約し、
一家は帰国するが、相変わらず彼女を疑う声は消えない。

マーカスは疑惑を払拭すべく、自ら提案した心理学的なテストを
マージョリーやジョージをはじめ、親類・知人たちの立ち会いの下で行う。

しかしその中で行われた寸劇の最中、その場に突然登場した謎の人物に
青酸入りの緑色のカプセルを飲まされ、殺害されてしまう。

捜査に乗り出したのはロンドン警視庁のエリオット警部。
しかし彼もまた、チェズニー家と同時期にヨーロッパを旅行しており、
たまたま旅先でみかけたマージョリーに
想いを寄せるようになっていたのだった。

衆人環視の中での犯行なのに目撃者の証言はかみ合わず、
少ない容疑者にも関わらず犯人は杳として知れない。
そして、事件の一部始終を撮影していたフィルムに写っていたのは・・・

捜査と恋の板挟みになって悩む警部と
名探偵ギディオン・フェル博士が難事件に挑む。


複数の目撃者がいる殺人なのに、
一体何が起こったのかが一向に明らかにならず、
容疑者となり得る人物も決して多くないはずなのに
さっぱり真相の見当がつなかい。

そしてカーお得意の登場人物間の恋愛模様によって、
読者をどんどん引っ張って(引っ張り回されて)いく。
いやあ私もエリオットくんを応援してしまいましたよ。

そして、最後に明かされるシンプルな真相と意外な犯人。
だけど読んでいても気がつかないんだよねえ。
まあそれがプロなんだが。

そして、すっきりとすべてが収まるところに収まる。
いつも思うことだが、カーは本当に優れたストーリーテラーだ。

本書は作中で開陳されるフェル博士の「毒殺講義」で有名だけど
ミステリとしてももちろん一級品だ。

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