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大正箱娘 怪人カシオペイヤ [読書・ミステリ]


大正箱娘 怪人カシオペイヤ (講談社タイガ)

大正箱娘 怪人カシオペイヤ (講談社タイガ)

  • 作者: 紅玉 いづき
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/03/22
  • メディア: 文庫
評価:★★★

17歳の新米新聞記者、英田紺(あいだ・こん)と
"神楽坂の箱娘" こと、回向院(えこういん)うらら。
大正の世を舞台に二人が出会う怪事件を描いたシリーズ、第2作。


「第一話 箱薬」
『箱薬』なる怪しげなものが流行っていた。
それは万病に効き、治せぬ病はないという。
『箱薬』の出所を追う紺は、異国の血を引く少年・治太(はるた)、
そして治太が "先生" と慕う老人・沖寛斎と知り合う。

「第二話 薄幸佳人」
怪人カシオペイヤ。義賊とも悪党ともつかない謎の人。
彼が狙うものは金銀財宝ではなく、その場所や人が抱える "秘密"。
標的と新聞社に予告状を送りつけ、秘密を暴き立てることによって
"彼" は世間の人々から熱狂的に迎えられていた。
ある日、紺は降旗公爵家が所有する屋敷・吉祥邸を訪れる。
そこに住む公爵の子息・瑶介が
新聞社の挿絵の仕事を請け負っていたからだ。
そこで出くわしたのは "放蕩子爵" こと時村燕也(えんや)、
そして怪人カシオペイヤから瑶介のもとに
予告状が届いていたことを知る。「吉祥邸の秘密を暴く」と。

「第三話 怪人カシオペイヤ殺人事件」
怪人カシオペイヤから新たな予告状が送られた。
清武製薬の新薬発表会に参上するという。
不本意ながらも、燕也のはからいで発表会に潜入を果たした紺だが
会場のシャンデリヤが突如落下し、清武社長の次男・二郎が死亡する。
そして彼の服の胸元からは、
怪人カシオペイヤの着けている仮面が発見されたという。
殺人容疑が燕也にかけられようとしたとき、
"悪食警部" こと室町希彦が現れる。


三話構成だが、内容的には連続していて
箱薬の話も吉祥邸の話も、すべて第三話の伏線になっている。
そのせいか、第三話はレギュラーキャラ総出演である。

それぞれの登場人物の人となりも深く描写されるようになり、
今回は子爵の三男坊、時村燕也がクローズアップされている。

第1巻での登場時は、画に描いたような
"貴族出身を鼻にかけた傍若無人でイヤな奴" だったのだが
本書「第二話」における瑶介との間の友情描写、
そして「第二話」から「第三話」にかけての
紺との関わりあいを通して、けっこう情に厚く、
骨太な信念も持っている人物であることが分かってくる。
(滅多に見せないが) "優しさ" もないわけではない(笑)。
今後、紺との関係性がどう変化していくのかも興味深い。

怪人カシオペイヤの正体については、これも
いろいろ出てくるのだが、結局の所は判然としない。
これも次作以降に持ち越しだろう。

そしてそして、"箱娘"・回向院うららの正体もまだ不明のまま。
どうやら意外と背後関係は複雑で、この時代の日本における、
"国家の暗部" に繋がるものを持っていそうなんだが・・・
これもまた今後のお楽しみだろう。

何だかんだ言って、次作も買ってしまうのだろうな・・・(笑)。

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