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エウレカセブン ハイエボリューション 三部作 [アニメーション]

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 まず始めに断っておくが、私はこの三部作のよい観客ではない。

 私とこの作品との関わりは、過去にTVシリーズ「交響詩篇エウレカセブン」を観た、ということだけ。それもリアルタイムではなく、放送後数年経ってから配信で観たものだ。

 それでも、この作品に人気が出たのは分かる。
 エウレカのキャラは数ある日本のアニメの中でもトップクラスに入るくらい可愛いと思うし、第26話「モーニング・グローリー」はよくできてると思うし、第48話「バレエ・メカニック」はまさに神回だった。

 ただ、見返すには全50話は長い(笑)。半分の話数だったら何回か見返しただろうし、円盤も買ったかも知れない(おいおい)。

 さて、今回の「ハイエボリューション」シリーズについて。

 三部作というのは最初にアナウンスされてたから、1作目と2作目の公開時は映画館には行かずに配信で済ませ、3作目が公開されたら映画館に行くつもりだった。このへんも、私が熱心なファンではないのが分かってしまうね(笑)。

 内容については期待していた。
 現在の技術でリメイクされているはずだから、格段に作画のクオリティは上がってるだろう。
 ストーリーもよくできていて、ハッピーエンドで終わっていれば(ここ大事)、円盤を購入するのもいいかな、って思ってた。

 ところが1作目『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』を観た段階で、テンションが一気に下がってしまった。

 序盤の25分間の新規作画の「サマー・オブ・ラブ」の戦闘シーンはスゴい。このレベルで全編描いてくれたなら素晴らしかったのだが・・・
 ところが中盤から終盤にかけては、TVシリーズの切り貼り。しかも時系列が頻繁に前後し、見通しが悪いこと夥しい。はっきり言って、見続けるのが苦痛だとまで感じたよ。
 それでも、私はTVシリーズを観ているので辛うじてついていけたが(それでも時々迷子になって「今、画面の中で描かれてるのは何なのだ?」って悩むことしばし)、この映画が初見の人は完全に置いてきぼり、放置プレイだろう。

 描かれるのもレントンが主体で、エウレカの登場シーンは非常に少ない。
 3部作を見終わってみると、1作目はレントンの視点で、2作目はアネモネの視点で、3作目はエウレカの視点で、世界と物語を描いていくという意図があったのは分かるのだが・・・

 2作目『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』はちょっと持ち直した。時系列の前後もほとんどなく、TVシリーズのエキセントリックさがなくなったアネモネはさらに魅力を増したし、彼女が主体となったストーリーはそれなりに分かりやすかった。ネットでの評価も悪くないらしいが、それは納得できる。
 問題は、エウレカの行動理由が理解できないこと。
 「レントンが生存している世界を創る」ことらしいのだが、そもそもレントンがどんな状況で死亡したのかが描かれないのだから、彼女の必死さに感情移入しようにも無理があるように思う。
 それでもラスト近くで、ワンシーンだけ生存しているレントンが描かれるので、3作目で二人は再会できるのだろうという期待を持たせて終わる。

 そして3作目の『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』。時間軸は2作目の10年後に飛び、24歳になったアネモネと、同じく大人へ成長したエウレカの物語が展開する。

 前半は、かつての自分と同じ力を持つ少女・アイリスを守って、不死身の暗殺者となったデューイの追跡から必死の逃避行を続けるエウレカの姿が描かれる。
 シチュエーションはほとんど『ターミネーター』だし(実際、それを彷彿とさせるカットもある)、エウレカのキャラや戦闘シーンは草彅素子かと見紛うばかり。

 3作目で登場するKLFはモビルスーツみたいなデザイン。大河原邦夫氏に依頼している時点で、あえてそこを狙ってるんだろうと思われる。
 映画の後半のストーリーは『逆襲のシャア』みたいになるし、ニルヴァーシュはエヴァンゲリオンみたいだし、ついでに言えばアイリスの食事シーンはジブリだし(笑)。

 キャラの行動原理が理解できないのは相変わらずで、デューイがターミネーターになってしまった理由も背景もよく分からない。終盤になってなにやらゴチャゴチャ言うけど、納得できるものではないし、だから頭の中にも入ってこない。
 ホランド率いるゲッコーステイトも登場するけど、いつの間にかみんないなくなって、ホランド1人だけが・・・

 「いったい、私は何を見せられてるんだろう?」
 「制作陣は、観客に何を見せたいのだろう?」
 そんな疑問が頭の中を渦巻く2時間でした。

 作品内容を100%観客に理解させる必要はないと思うし、理解できなくても楽しめる作品もある。
 けど、この三部作は観客に対する理解のハードルが高すぎないかい?

 制作陣だけが内容を全て理解していて、スゴいストーリーでしょ? スゴい映像でしょ? って胸を張ってるかも知れないけど、大多数の観客は置いてきぼりなんじゃないの?

 ストーリーについても、(たぶん観客の多数派を占めるであろう)TVシリーズのファンはどうだろう。
 こういう物語を期待していたのだろうか?
 こういう結末を望んでいたのだろうか?

 少なくとも、この『ハイエボリューション三部作』は、私の期待する物語ではありませんでした。

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