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SF作家 山本弘さん ご逝去 [日々の生活と雑感]



 去る3月29日、SF作家の山本弘さんがお亡くなりになりました。享年68。
 作家として小説を書かれていたのはもちろん、漫画原作やアンソロジー編集、ゲームデザイナーとして幅広く活躍しておられました。

 なかでもオカルトや疑似科学、陰謀論などを扱った、いわゆる「トンデモ本」を研究する「と学会」初代会長を務めていたのが印象に残ります。
 その手の本を正面切って大真面目に批判するのではなく、軽快に笑い飛ばしてしまおうという「トンデモ本の世界」シリーズは、一時期私の愛読書でした。


 SF作家としても多くの傑作を残されました。私にとってのベスト3を挙げるなら、『アイの物語』、『MM9』シリーズ、『地球移動作戦』。次点で『プロジェクトぴあの』かな。

『アイの物語』は、アイザック・アシモフとは異なったアプローチで人類とロボットの関わりを描いた連作短編集で、その中の一編「詩音が来た日」は、涙腺が崩壊してしまう感動作。

『MM9』シリーズは、「怪獣」が実在し、"自然災害" 化している世界での、人間たちの戦いを描いた連作集。特に第3作『MM9 -destruction-』では、ゴ○ラ(を模した怪獣)とガ○ラ(を模した怪獣)がタッグを組み、それにウ○ト○マン(を模した生命体)が加わって、侵略者が差し向ける宇宙怪獣軍団を迎え撃つという、特撮ファンなら鼻血を流して狂喜乱舞するようなドリームマッチが展開する。

『地球移動作戦』は、往年の東宝特撮SF映画の傑作『妖星ゴラス』を未来世界に置き換え、ハードSFとしてリメイクしたもの。
『プロジェクトぴあの』は、この作品で地球を動かす方法として登場する超光速粒子タキオンを用いた推進システム ”ピアノ・ドライブ” を開発した天才科学者・結城ぴあのの少女時代の物語。

短編にも傑作はあるけど、ピカイチは「奥歯のスイッチを入れろ」(『シュレディンガーのチョコパフェ』収録)だね。「600万ドルの男」と「エイトマン」と「サイボーグ009」を合わせたような作品。「誰がために」(1979年のアニメ『サイボーグ009』主題歌)を脳内BGMにして読むと、これも泣ける泣ける。


 6年前に脳梗塞を患い、リハビリをされていたのは知っていましたが、まさかこうなるとは。私と3歳しか違わない。あまりにも若すぎるとしか云えない。

 私も還暦を迎えたあたりから、同世代の友人・知人の訃報を聞くようになったけど、これが「トシをとる」ってことなんだね。哀しいけれど。

山本弘さん、いままで多くの作品で楽しませてくれてありがとうございました。
合掌。


タグ:SF
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