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幽世の薬剤師5 / 6 [読書・ファンタジー]


幽世の薬剤師5(新潮文庫nex)

幽世の薬剤師5(新潮文庫nex)

  • 作者: 紺野天龍
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2023/10/30
幽世の薬剤師6(新潮文庫nex)

幽世の薬剤師6(新潮文庫nex)

  • 作者: 紺野天龍
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2024/02/28

評価:★★★☆


 異世界・幽世(かくりよ)へとやって来た薬剤師・空洞淵霧瑚(うろぶち・きりこ)と、怪異を祓う巫女・御巫綺翠(みかなぎ・きすい)を主人公としたファンタジー。
 幽世を創り出した「国生みの賢者」・金糸雀(カナリヤ)が原因不明の病に倒れた。空洞淵と綺翠は人魚の伝説が残る村へ赴く。そこでは、人魚の肉を口にして不老不死を得たはずの一家が次々と怪死していた・・・

* * * * * * * * * *

 第5巻と第6巻は、物語が連続しているのでまとめて記事にする。


『幽世の薬剤師5』

 幽世を創り出した「国生みの賢者」・金糸雀(カナリヤ)は、不老不死の八百比丘尼(やおびくに)だった。しかし彼女は原因不明の病に倒れてしまう。

 そのとき、薬剤師・空洞淵霧瑚(うろぶち・きりこ)と巫女・御巫綺翠(みかなぎ・きすい)の前に現れた「白銀の愚者」・月詠(つくよみ)は、"東の漁村" へ向かえという。金糸雀を治療するヒントがそこにあると。

 二人が赴いた琵国(びくに)村に暮らす青蓮(せいれん)家は、かつて人魚の肉を口にして不老不死となり、300年の時を生きてきた一族だった。しかし半年ほど前から、彼らの中で次々と怪死する者が出ているという。

 青蓮家を訪れた二人は、現当主の重吾(じゅうご)は既に人事不省状態、さらにその妹の茉奈(まな)も、一人では歩けないほど衰弱していることを知る。

 一家の過去や村の調査を進めていった空洞淵は、やがてある "結論" にたどりつく。彼の推理と医学の知識は、青蓮家の人々に起こった症状を合理的に説明していく。
 このあたりの展開は、いささか専門的な内容を含むのだが、一般人にも充分に理解できるように語られていく。その当たりは流石に上手い。

 しかしその結論は「空洞淵の手には負えない」ことをも意味していた。だが、彼の目前で、あり得ないことが起こってしまう。
 そして空洞淵と綺翠の前に現れた月詠は、意外なことを告げる・・・


『幽世の薬剤師6』

 このシリーズに於いて、さまざまな怪異・謎の病が登場してきたが、その裏には月詠の暗躍があった。いわばすべての事件の "黒幕" 的存在だったのだが、ここにきて彼女の目的が明かされる。

 彼女のいままでの行動は、姉・金糸雀を救うためにあったこと、そのために空洞淵を幽世に連れてきたこと。そして今、すべての準備が整い、月詠の目論見通りに金糸雀は救われることになったのだが・・・


 この後の展開はネタバレになるので書かないけど、これくらいはいいかな。
 6巻の終盤では、過去の巻に登場した様々なキャラクターが総登場する。みな、"ある願い" を胸にして。さながらカーテンコール状態である。


 そして本巻を以て「第一部完結」となる。つまりストーリーにひと区切りはつくが、物語としてはまだ続いていく。
 今夏には第二部開始とアナウンスされてるので、あまり待つことなく、また二人に会えそうだ。



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