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ゴーストハント3 乙女ノ祈リ [読書・その他]

ゴーストハント3 乙女ノ祈リ (角川文庫)

ゴーストハント3 乙女ノ祈リ (角川文庫)

  • 作者: 小野 不由美
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/09/24
  • メディア: 文庫

評価:★★★☆

主人公兼語り手は、16歳の女子高生・谷山麻衣。
彼女がアルバイトをしているのは
心霊現象を専門に調査する「渋谷サイキックリサーチ」(SPR)。

そこの所長である17歳の美少年、通称ナルと
個性的なゴーストバスターたちが繰り広げる
ホラーな冒険を描くシリーズ、第3作。

ある土曜日、SPRに次々と女子高生がやってきた。
相談内容は狐憑き、幽霊騒ぎ、ポルターガイスト・・・
しかもみな、東京近郊にある名門女子校・湯浅高校の生徒だった。

とまどう麻衣たちだったが、やがて湯浅高校の校長・三上が直々に現れ、
「校内で起こっている奇妙なこと」について正式な調査を依頼される。

翌日、ナル・麻衣・僧侶の滝川・助手のリンの4人で現地へ赴くが、
生徒からの怪奇現象に悩む訴えは夥しい数に上り、
さらには生徒だけでなく教師の中にも被害者がいるという。

生徒に起こっている謎の現象は多岐にわたり、ナルは増援を呼ぶことに。
すなわち巫女の松崎綾子、霊媒師の原真砂子、エクソシストのジョンと
レギュラーメンバー総出演となる。

彼らの調査が進む中、怪現象と関わりがあるのではないかと噂される
生徒の存在が浮上する。

3年生の笠井千秋は、TVで見た超能力番組がきっかけで
”スプーン曲げ” ができるようになり、周囲に披露していたが
それを知った学校側が全校朝礼の場で
彼女のことを「まやかしだ」と吊し上げたのだという。

昔、ユリ・ゲラーが ”超能力” でスプーンを曲げるTVを
見ていた人の中に、自分もスプーン曲げの能力に目覚めた人が出てきて、
彼ら彼女らは「ゲラリーニ」と呼ばれているという。

千秋もまたそのゲラリーニの一人ではないかとナルは判断するが
怪異現象はいっこうに止まず、
より大きな悪意を伴ってナルや麻衣たちに襲いかかってくる・・・

高校内で起こるオカルト現象を扱っているんだが、
本書のメインテーマは「超能力」だろう。

”超能力に目覚めた” ことによって自分の、そして周囲の人々の
生活を歪め、不幸をもたらしてしまった千秋。

しかし、一連の事件の背後には ”黒幕” がいる。
本作はミステリではないし、犯人当てがメインでもないので、
作者もさほど隠す気はないみたいで
読んでいればなんとなく見当はつくのだけれど、
それによって本書の面白さが損なわれることもなく、充分に面白い。

例によって、レギュラーキャラ同士の掛け合いが
無類に楽しいのは前回と同様だが、ラストに至り、
麻衣に関してある ”事実” が明らかになる。
これは何だろうね・・・次作以降への伏線ですかね(笑)。

最後に余計なことをちょっと。

本書の中で「ユリ・ゲラー」という懐かしい名前が出てきたけど、
これは ”自称・超能力者” として一世を風靡したイスラエル人のこと。

彼の日本での ”全盛期” は1980年代後半あたり。
本書の原型が書かれた1989年~92年頃は、
彼の ”活躍” の記憶も冷めやらぬ頃だったんだろう

ユリ・ゲラーで思い出した話がある。早稲田大学の大槻義彦教授
(いまもご存命で、現在は客員教授になってるらしい)が書いた本、
「超能力は果たしてあるか」(講談社ブルー・バックス、1993)。
この中に、ユリ・ゲラーを扱った章がある。

彼がTV画面を通じて日本全国の家庭に ”念力” を送り、
(故障や電池切れとかで)止まってしまっている時計を
動かしてみせる、という企画の番組があって、
実際、放送中にTV局へ「ホントにうちの時計が動き出しました!」って
電話が何十本もかかってきたのだという。

この ”現象” について、大槻先生は理詰めできっちりと解明してみせた。
中学生でも理解できるようなごく当たり前の理屈を積み上げていくと
この不可思議な現象も合理的な説明がついてしまう。
当時、読んでいてとても驚き、かつ感心した記憶がある。

28年も昔に読んだ本の内容を覚えているのにねぇ。
最近のことを覚えていられないのは困ったものだ(おいおい)。


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