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レディ・ヴィクトリア ロンドン日本人村事件 [読書・ミステリ]

レディ・ヴィクトリア ロンドン日本人村事件 (講談社タイガ)

レディ・ヴィクトリア ロンドン日本人村事件 (講談社タイガ)

  • 作者: 篠田真由美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/03/22

評価:★★★

舞台は19世紀のロンドン。ヴィクトリア朝の時代。

女王陛下と同名の貴婦人・ヴィクトリアと、
人種も国籍も様々で、型破りで個性的な使用人たちで構成された
“チーム・ヴィクトリア” のメンバーが
ロンドンに起こる謎の事件に立ち向かう、冒険探偵譚、第3作。

第一章では、ロンドンに留学中の日本人青年のことが語られる。
彼の出自から始まり、留学に至るまでの経過が綴られていくのだが
これが本編にどうつながるのかはこの時点では分からない。

メインのストーリーは第二章から。

ヴィクトリアのもとに日本製と覚しき ”翡翠の香炉” が持ち込まれる。
服飾商の妻メアリ・アンがミスタ・フォックスなる人物から
高価な宝石と引き換えに入手したものだったが、
ヴィクトリアはそれを贋物と見抜く。

折しもハイドパーク(ロンドン中心部にある公園)では
『日本人村』という催し(テーマパークみたいなもの)が開かれており、
ミスタ・フォックスはその興業主とつながりがあるらしい。

ヴィクトリアはミスタ・フォックスの正体を突き止めるため
英国きっての日本通であるミッドフォードに協力を要請、
一方、メイドであるローズとベッツィは『日本人村』を見学に行き、
そこで謎めいた日本人青年と出会う。

その翌日、ローズは家の前で行き倒れていた青年を救う。
彼もまた日本人だったが、記憶を失っていた・・・

ニセ香炉と『日本人村』、そして記憶喪失の日本人、
冒頭の留学生のことも合わせると、けっこうピースがばら撒かれていて
読んでいても、どこがどうつながるのかが判然としない。

もちろん、ヴィクトリアたちの活躍によって
どんどんピースがはまって全体像が見えてくる。
前作はどちらかというとサスペンス調だったが
今回はミステリ度がぐっとアップして、意外な真相が明かされる。

19世紀末という、西洋においてもまだまだ女性が抑圧されている時代を
舞台にしているのだが、本作に登場する女性は実に強い。

 こういう時代だからこそ、その中で強かに生きていく女性を描く、
 というのがこのシリーズのテーマの一つなのかも知れないが

本作でも、終盤になって1人の日本人女性が登場するのだが
彼女も逆境に負けない逞しい人だ。

大方の読者が期待するようなラストではないかも知れないが
これはこれなりに納得できる結末ではある。

エピローグを締めくくる ”彼” には、どこかで再登場してほしいなあ。


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