SSブログ

友達以上探偵未満 [読書・ミステリ]

友達以上探偵未満 (角川文庫)

友達以上探偵未満 (角川文庫)

  • 作者: 麻耶 雄嵩
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/11/21
  • メディア: 文庫
評価:★★★

主人公は三重県立伊賀野高校の女子高生、伊賀ももと上野あお。
2人は放送部所属ながら実はミステリマニアで、
将来は探偵になることを目指している。

直感のままに突っ走るもも、冷静沈着なあおと
タイプの違う探偵コンビが遭遇する3つの事件が綴られる。

「伊賀の里殺人事件」
忍者の里として有名な伊賀を盛り上げようと
『伊賀の里ミステリーツアー』が開催される。
その取材のために、ももとあおは会場となる上野城公園を訪れるが
ツアー参加者の女性が殺害されるという事件が発生、
現場には芭蕉の俳句に見立てたかと思われるような遺留品が・・・
もともとはNHKーBSのミステリドラマの原案として作られた話らしいが
そのせいか登場人物がけっこう多く、しかもツアー中は
それぞれ色分けされた忍者の装束を着るコスプレをしていた、という設定。
映像としてみたら分かりやすいのだろうが、文章だけでアタマの中に
それぞれのキャラの色を思い浮かべるのはけっこうしんどい。
もちろん、容疑者たちの着ていた服やその色が推理のカギになるわけで
これはなかなかハードルが高いなぁ・・・って、そう思うのは私だけ?

「夢うつつ殺人事件」
伊賀野高校美術部の相生初唯(あいおい・うい)は
放課後、校舎の外壁にもたれかかってうたた寝をしていた。
その夢うつつの中、彼女の耳に男女の会話が聞こえてくる。
それは美術部員の愛宕匡司(あたご・きょうじ)の殺害計画だった。
初唯はももとあおに相談するのだが、
その3日後、愛宕の死体が学校の敷地内の堀で発見される・・・
示される真相の中で、○○の意味が明かされる。
でもねえ・・・たしかに作者は嘘は書いてない。
読者が勝手にそう思い込んだだけなのだけどね・・・
うまくダマされたなぁ・・・って褒めるべきなのだろうけど。

「夏の合宿殺人事件」
これは過去編。ももとあおの中学時代の話が語られる。
父親の転勤に伴い、東京から伊賀へ転校してきたあおは
将来探偵になることを目指していた。
同じく探偵を目指すももと知り合うが、
自分のワトソン役に仕立てようと密かに決意する。
そのためには、ももの探偵願望を打ち崩さなくてはならない。
そんなとき、ももとあおが所属する文芸部は
高原の合宿所で夏合宿を行うことになる。
そこではバレー部の夏合宿も同じ時期に行われていたが、
バレー部の女子部員が合宿所内で死体で発見される。
あおはももより先に殺人事件を解決して
探偵能力の違いを見せつけようとするのだが・・・

「伊賀の里ー」「夢うつつー」では ”読者への挑戦” まで挿入されるという
ミステリファンへのサービスまである。

ももとあおは、お互いの欠点を補完し合う探偵コンビなのだが
初めからそうだったわけではなく、
そこにいくまでの紆余曲折が語られるのが「夏の合宿-」。
ワトソン役というのは探偵役にとって何なのか、というテーマについての
作者の ”解答” も示されていてなかなか興味深い。

文庫版の表紙は、制服姿の美少女二人が萌えキャラふうに描かれていて
いかにもライトノベルな雰囲気なのだが、
もちろん麻耶雄嵩のことなので一筋縄ではいかない。
まあそれがこの作者の持ち味だからね(笑)。


nice!(4)  コメント(4) 
共通テーマ:

nice! 4

コメント 4

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2021-01-31 03:05) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2021-01-31 03:05) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2021-01-31 03:06) 

mojo

コースケさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2021-01-31 03:06) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント