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バチカン奇跡調査官 王の中の王 [読書・ミステリ]

バチカン奇跡調査官 王の中の王 (角川ホラー文庫)

バチカン奇跡調査官 王の中の王 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 藤木 稟
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/08/25
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

カソリックの総本山、バチカン市国。
世界中から寄せられてくる "奇跡" 発見の報に対して
その真偽を判別する調査機関『聖徒の座』。

そこに所属する天才科学者の平賀と、
その相棒で古文書の解析と暗号解読の達人・ロベルト。
「奇跡調査官」である神父二人の活躍を描く第20弾。
長編としては16作目になる。

オランダ第4の都市ユトレヒトにある聖ファン・クーレン教会から
奇跡の申請がなされた。

ある朝、キリスト像のある祭壇前の床に、金色に輝く足跡が現れたのだ。
調べたところ、それは本物の黄金でできていることが判明する。

聖ファン・クーレン教会には、”聖遺物” が所蔵されている。
それは「十字架にかけられたキリストの体に打ち込まれた」と伝わる
鉄釘で、「聖釘(せいてい)」と呼ばれている。

 もっとも、「聖釘」なるものは世界各地に存在していて
 その総数は30本を超えるという。
 もし「聖釘」が実在するとしても、実際に十字架に打たれた
 「釘」の総数はせいぜい3~4本のはずだよねぇ・・・

”黄金の足跡” に加え、さらに ”奇跡” が発現する。
「聖釘」を祀る儀式のさなか、礼拝堂の中空に輝く複数の球体が現れ、
参列していた人々は不思議な体験をする。
燃え上がるユトレヒトの街並みを幻視する者、
天啓を授かった者、病気が快癒した者、
認知症患者は記憶を取り戻し、
さらには天使に邂逅したと称する者まで・・・

儀式を執り行っていた司祭たちを含めて
総勢42名もの人間に起こった ”奇跡体験” を調査すべく、
平賀とロベルトはユトレヒトに向かう。

長編も16作目となり、いままでさまざまな ”奇跡” が語られてきた。
ロベルトと平賀はそれらを科学的な証拠と合理的な論理で解明してきた。
二人の掛け合いや日常生活の様子もすっかりお馴染みで、
毎回彼らと再会できるのはとても楽しみでもある。

奇跡の解明に関しても、読んでいるこちらとしては
毎回程度の差はあるけど驚かされたり感心させられたり。
そのカラクリも、最新の科学的なトピックスを織り込んだりして
ホントに良く調べてるし、アンテナも広く張ってるんだろうと思う。

では今回の ”ネタ” はどうかというと、
奇跡の ”理屈づけ” としてはちょっと弱いかなあ・・・と思う。
まあ、”それ” が起こる周辺の条件をかなり整えていて
成立する可能性が高くなるように工夫してるのだろうと思う。

でも ”それ” ってホントにこんな風に見えるのかなぁ。
私も見たことないので、YouTubeを検索してみた。
挙がってるいくつかの動画を見た感じでは
ちょっと都合よく使いすぎじゃないかなあとも思う。

そして参列者が体験した不思議体験を可能にするには、
上に書いた ”それ” が成立しなければならない。
仮定の上に仮定を重ねていかなければならないわけで。

その不思議体験を引き出した原因についても、
扱いがちょっと万能すぎる気も。

かなり前に読んだミステリでも同様のネタが使われてたけど
これがOKなら、もう「何でもあり」になっちゃうよなあ。

奇跡にまつわる話以外の要素も書き込んであって、
物語を補強してるのもわかるけど、それはやっぱり
作者自身もメインの謎がいまひとつ、って感じてるのかなぁ、
なんて思ったり。

文句ばっかり書いてしまったけど、
キャラたちの日常生活の様子とかも描かれていて
シリーズのファンとしては楽しい作品になってる。
私もその点では楽しませてもらいました。


nice!(4)  コメント(4) 

nice! 4

コメント 4

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-11 01:34) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-11 01:35) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-11 01:35) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-11 01:35) 

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