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盲目の理髪師 [読書・ミステリ]


盲目の理髪師【新訳版】 (創元推理文庫)

盲目の理髪師【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 作者: ジョン・ディクスン・カー
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/05/31
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

大西洋を東に向けて航行する豪華客船クィーン・ビクトリア号。
その航海の途中で起こった盗難と殺人が語られる。

主な登場人物は、探偵小説作家のモーガン、
有名な政治家をおじに持つ外交官ウォーレン、
ノルウェー人の元船長ヴァルヴィック、
そして操り人形師フォータンブラの姪・ペギー。

ウォーレンが持ち込んだ映画フィルムが盗まれる。
それには、彼のおじが晩餐会で行った、
本音丸出しの爆弾発言が収められていた。

盗難犯が、残ったフィルムも盗みに来ることを期待して
彼らは現場となったウォーレンの部屋の隣室で待ち伏せをする。

しかし、彼の部屋に侵入する気配を感じた一行が
そこで見たのは、何者かに頭を殴られて意識を失った女性だった。

さらに、一行が現場から逃げる人影を追いかけるうちに
女性は姿を消してしまい、さらには彼らが引き起こした騒ぎのせいで
乗客であるスタートン子爵所有の
”エメラルドの象” が行方不明になってしまう・・・

タイトルの「盲目の理髪師」とは、
被害者の女性が姿を消した後に、犯人のものと思われる
遺留品の剃刀が残されていて、その柄(え)に
〈盲目の理髪師〉がデザインされていたことに由来する。
(表紙イラストに描かれているのがそれ)


冒頭の「緒言」で、本書は「茶番狂言である」って断ってあるとおり
全編にわたって、喜劇的な展開が続く。

たしかに物語を追っていけば喜劇以外の何物でもないのだが
読んでいて笑えるか、といえば私は笑えなかったなあ。

まあその理由の大部分は「私が翻訳文が苦手」ってことなのだろうけど。

 ここは間違いなく爆笑シーンだろうな、
 ってことは分かるんだけど、笑えないんだよねえ・・・

ミステリとしても、よく分からない。
殺人はあったのか、なかったのか。それすらも分からない。
船長が乗員乗客を調べても行方不明な人物はいない。
それには何らかの欺瞞があるはずなのだけど。

起こっている事態はコミカルなんだが、雰囲気は不穏。
そんなよく分からないモヤモヤを抱えたまま解決編に至る。


解説にもあるけど、本書は
「物語の背後で、実際には何が起こっていたのか」
を突き止める作品だ。

終盤、フェル博士が滔滔と謎解きをしてくれる。
しかも、その手がかりとなった伏線を事細かに、
なんとそれが書かれていたページまで挙げて、丁寧に(笑)。
いやはや、言われてみればそうなんだけどねぇ・・・


ずっと昔、たぶん20代の頃に、同じくカーの
「連続殺人事件」を読んだときは、爆笑した記憶があるんだけどねぇ。
私のアタマの働きが鈍ったんでしょうか・・・

 


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コメント 5

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-01-27 00:35) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-01-27 00:35) 

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-01-27 00:35) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-01-27 00:36) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-01-29 22:59) 

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