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大江戸ミッション・インポッシブル 顔役を消せ/幽霊船を奪え [読書・歴史/時代小説]


大江戸ミッション・インポッシブル 顔役を消せ (講談社文庫)

大江戸ミッション・インポッシブル 顔役を消せ (講談社文庫)

  • 作者: 山田 正紀
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/11/14
  • メディア: 文庫
大江戸ミッション・インポッシブル 幽霊船を奪え (講談社文庫)

大江戸ミッション・インポッシブル 幽霊船を奪え (講談社文庫)

  • 作者: 山田 正紀
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

二巻本でタイトルは別だけど、内容的には連続しているので
実質的には前後編となっている。

「ミッション・インポッシブル」というタイトルがついてるけど
同題のTVドラマや映画みたいな雰囲気はあまりないような。
”人間離れした技量を持つ殺し屋たちが抗争する伝奇アクション”
といったところが実態に近いと思う。

 こう書くと山田風太郎の忍法帖シリーズみたいだが
 さすがにあそこまで突拍子もない魔人妖人の類いは出てこない。
 いちおう、どのキャラも人間の範疇には含まれる。たぶん(笑)。


時は幕末、天保年間。
明治維新のおよそ30年前くらいか。

主人公・川瀬若菜は南町奉行所の同心なのだが
何をやらせてもまともに務まらず、
牢屋見廻りという最底辺の役職に納まっている。

ある日、若菜は筆頭与力・東井庄左衛門(とうい・しょうざえもん)の命で
吉原の格式高い遊女屋「角海老」の
人気花魁・姫雪太夫(ひめゆきだゆう)に会いに行く。

姫雪太夫が、英国捕鯨船の船長・ヘイデンから贈られた指輪が
何者かに盗まれたのだという。

指輪の行方を追う若菜だが、彼を襲う者たちが現れる。

実は若菜は、江戸の街のアンダーグラウンドを二分する
泥棒寄合(どろぼうよりあい)、つまり犯罪者組織のひとつである、
川衆(かわしゅう)の棟梁という素顔を持っていた。

指輪事件には、敵対する陸衆(おかしゅう)が関わっているらしい。

若菜は、太夫が指輪を盗まれたと思われるお座敷に出ていた
幇間(たいこもち)の乱亭七八(らんてい・しっぱち)に目をつけ、
彼の動向を探るのだが・・・


物語が進むにつれて、敵は陸衆のみならず、
幕府転覆を謀る薩摩藩が黒幕にいることが分かってくる。

「顔役を消せ」では、陸衆の最高幹部を倒そうとする
若菜たちの川衆の活躍が描かれ、
「幽霊船を追え」では、新たな敵・”どくろ大名” こと
土黯長門守(つちくろ・ながとのかみ)が登場し、
英国輸送船が江戸へ密かに持ち込もうとする武器弾薬を巡る、
陸衆と川衆の決戦が描かれる。


山田作品らしく、登場人物はみんなユニークだ。

特に主人公・若菜の設定が面白い。
序盤では年齢についての描写がなかったので
てっきり30~40代くらいかなあと思ってたら、
読んでるうちに20代半ばくらいと分かってきた。

実は幼少時に神隠しに遭っており、その間の記憶を失っているが
物語が進むうちに次第にそのときのことを思い出していく。
やがて、姫雪太夫や土黯長門守とも意外な因縁で結ばれていたことも。

ヒーローには珍しく、無双をするほど剣も強くない(笑)。
いや、一般基準からすれば十分に強いのだけど、それを上回るくらい
敵も味方も人間離れした超常の戦闘力を持った連中なのだ。
でもまあ、強すぎないあたりがご愛嬌とも言える。
読者は彼に入れ込んで読むだろう。

殺しの ”かま”、七化けのおこう、怪力の ”丑(うし)” など
サブキャラも多彩だが、なかでも幇間の乱亭七八は意外にも
レギュラーキャラ(笑)になって、終盤まで顔を見せる。

「仮面ライダー」におけるショッカーの戦闘員みたいに(笑)
戦闘シーンでわらわらと湧いて出る(おいおい)、
”蘇鉄喰い”(薩摩藩の武士)たちも、場を盛り上げる存在だ。


小難しい理屈は抜きで、エンターテインメントに徹したつくり。
山田正紀がその気になれば、こんなのも書けるんだよねぇ。
楽しい読書の時間を過ごせました。

nice!(3)  コメント(3) 
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コメント 3

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-01-25 00:22) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-01-25 00:23) 

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-01-25 00:23) 

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