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青い海の宇宙港 春夏編/秋冬編 [読書・青春小説]


青い海の宇宙港 春夏篇 (ハヤカワ文庫JA)

青い海の宇宙港 春夏篇 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 川端 裕人
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2019/07/04
  • メディア: 文庫
青い海の宇宙港 秋冬篇 (ハヤカワ文庫JA)

青い海の宇宙港 秋冬篇 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 川端 裕人
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2019/07/04
  • メディア: 文庫
評価:★★★★

日本列島の南に位置する多根島は、
豊かな自然と、日本宇宙機関(JSA)の宇宙関連施設が同居する島だ。

 モデルは、言わずと知れた種子島でしょう。JSAはJAXAかな。

この島には「宇宙奨学生」という制度がある。
島外からやってきた小学生は1年間、里親の元で過ごしながら、
党内で催される様々な宇宙関係のイベントに参加する、というもの。

東京から来た天羽駆(あもう・かける)、北海道から来た本郷周太、
橘ルノートル萌奈美(もなみ)はフランスから来たハーフ。
そして地元・多根島の大日向希実(おおひなた・のぞみ)を加えた
4人の小学生が本書の主人公だ。
ちなみに萌奈美が5年生、他の3人は6年生。

自然を楽しむことを目的に島へ来た駆だったが、
周太の熱意に押され、4人でロケットの打ち上げを目指すことになる。
そんな彼らの、島で過ごす1年間を描いた物語だ。


同じ作者の「夏のロケット」の小学生版とも言えるのだけど
時代も20年経ち、何よりIT技術が進歩したことによって
小学生でも機体設計や軌道計算ができるようになっているなど
打ち上げを巡る様相は一変している。

前編である「春夏編」は、駆たち4人が
島の特産品であるサトウキビからとった黒糖を材料にして
固体燃料を作り、それを使った ”キャンディ・ロケット” を
打ち上げようとする話。

そして後編「秋冬編」では、本格的なロケットの打ち上げを目指す。
それも地球の衛星軌道を超え、太陽系を脱出し、
宇宙の彼方まで届くような・・・

もちろん子どもたちだけでできるわけはなく、
さまざまな大人たちの協力が欠かせない。
小学校の先生たち、こどもらの里親たち、
島の人々、そしてJSAの職員たち。

”キャンディ・ロケット” までは笑顔で協力してくれるが
いざ本格的なロケットとなると、途端に慎重になる。
まあその気持ちもわかるが。

そんな頑なな大人たちの ”壁” を、子どもたちの情熱が突き崩していく。
子どもたちの夢を、かつての自分の夢に重ね、
島民の心が一つになって、1本のロケットに結実していく。
このあたりはなかなか感動的。

私は年のせいか、大人たちのほうに感情移入してしまう。

JSAで働いてはいるものの、自分に割り当てられる仕事に
疑問を抱く加勢(かせ)、そしてその同僚で
生物学が専門という異色の経歴の大日向奈々(希実の従妹)は、
読んでいていちばん気になる恋人未満カップルだったりする。

神社の宮司で周太の里親でもある岩室が、
ロケット部品の加工工場を経営してたりと
そのへんにいるおじさんおばさんが、
意外なところでロケットに関わっていたりする。

子どもたちの姿が生き生きと描かれているのはもちろんなんだけど
登場してくる大人たちも、みんな個性的だ。

そして終章は3年後。

成長した子どもたちは、それぞれが自分の未来へ向かって歩んでいる。
そしてロケットの打ち上げは、大人たちにも変化をもたらし、
中には意外な転身を果たしている者も。

そんな子どもたち大人たちの姿、
そして島の現在を描いて物語は幕を閉じる。

明るい未来を感じさせる話は、やっぱり読んでて楽しい。

nice!(3)  コメント(3) 
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コメント 3

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-11-30 21:35) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-11-30 21:35) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-11-30 21:35) 

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