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『宇宙戦艦ヤマト2』と『終戦のローレライ』 [アニメーション]

※長文注意!

先日の『ヤマト2202』関連の記事の中で、
『終戦のローレライ』の伊507と、
『ヤマト2』でのヤマトが
ダブって見えた、って書いたんだが、
つらつら考えてみるにこの2つの作品、
意外と共通点がありそうな気がしてきたので
ちょっと思いつくままにずらずら書いてみた。

まとまらない文章なんだけど(それはいつものことだ)
とりあえず載せてみる。
ご用とお急ぎでない方は、ヒマな時にでもご笑覧下さい。

こんなに長く書くつもりは毛頭なかったんだけど
・・・どうしてこうなった?


いちおう断っておくと、『さらば宇宙戦艦ヤマト』以降、
私は「ヤマト」という作品に対して
やや屈折した見方をするようになってしまった。
(このあたりも4年前くらいの記事に書いたような気がする。)

『ヤマト2』もリアルタイムで全話視聴したけれど、
Part.1ほどの熱意を持って観たとは言い難い。
まあ簡単に言えば思い入れの度合いが
かなり小さくなったのは否定しない。

だからというわけではないが、
作品についての記憶違いや勘違いも多いと思うので
そのあたりはご勘弁願いたい。なにぶん昔のことなので。

『ヤマト2202』のシリーズ構成・脚本を担当する、
福井晴敏氏が書いた長編小説『終戦のローレライ』。
出版は2002年なので、読んだのはもう14年近い昔になる。
原稿用紙2800枚、単行本で上下巻、文庫で全4巻という
大長編なので、それ以後は部分的に読み返したところはあっても、
全編を通して再読したことはない。
したがって、こちらの記憶もあやふやなので間違い等もあるかと思う。

以下の文章では、『ヤマト2』の終盤の展開はもちろん、
『終戦のローレライ』のネタも盛大にバラしていることを
予めお断りしておく。

これから『ヤマト2』を見ようと思っている方、
これから『終戦のローレライ』を読もうと思っている方は
以下の文章は読まないことを推奨する。


では、両者に共通する要素を挙げていってみよう。

以下の文章では、『ヤマト2』は「2」、
『終戦のローレライ』は「終戦」と表記する。


(1)出航目的は「探索」

「2」では、宇宙の彼方からの謎のメッセージに応え、
その発信源に向けてヤマトは出発した。その目的は
発信者と接触して、メッセージの真意を問うため。

「終戦」では、ナチスドイツが開発したものの、
日本に向かう途中で海中に投棄された "新兵器"、
ローレライ・システムを見つけ出し、回収するため。


(2)見つけたものは "女性"、しかも超能力者

ヤマトが発見したのは、惑星テレザートの唯一の生存者・テレサ。
彼女は、惑星ひとつを滅亡に追い込むほどの "力" を持っていた。
劇中では "反物質を操る力" と称されているだけで
具体的な説明はなかったが、私は個人的には
「物質・反物質を相互に変換する能力」と解釈している。

伊507が発見したのは、ローレライ・システムの中枢である
小型特殊潜航艇ナーバル。そしてその中にいたのは
システムの "核" となる少女・パウラ。
彼女はナチスが行った投薬による人種改造実験の結果、
水を媒介にした強力な感知能力を得ていた。


(3)世話係と恋仲に(笑)

「2」では、テレサは事前に彼女と通信を通じて
接触を保っていた島と次第に惹かれあうようになっていく。

「終戦」では、パウラを発見した少年兵・折笠征人が
そのまま彼女の世話係となり、次第に心を通わせていく。


(4)自己犠牲

テレサは、彗星帝国との戦いにおいて2度、身を挺している。
一度目はテレザート星ごと自爆して白色彗星の足止めをし、
二度目は ヤマトvs都市帝国 の最終決戦において、
自らの命をもって超巨大戦艦を葬り去った。

パウラもまた、自らすすんでその身を犠牲にしようとした。
一度目は伊507が2隻の米国潜水艦に追撃された時、
二度目はテニアン島での最終決戦へ赴く途中で。
彼女の場合は肉体的な死ではなく、"精神的な死" を選ぶことによって
ローレライ・システムを "完璧" なものとすることを目論んだのだが、
いずれも折笠が反対し、また絹見艦長の同意も得られなかったため
実現せずに終わるが、誰よりも
彼女の兄であるフリッツ少尉がそれを許さなかっただろう。


(5)単艦での突入

「2」終盤で、ヤマトは単艦で彗星帝国の都市帝国に挑む。
地球防衛艦隊は、それ以前に白色彗星およびその前衛艦隊との戦いで
全滅しており、戦闘可能なのはヤマトのみであった。

「終戦」では、伊507が単艦で敵地へ突入する。
時に昭和20年8月12日。連合艦隊は既に壊滅し、
原爆を搭載したB29が発進するタイムリミットまでに、
飛行場があるテニアン島へ到着可能な戦闘艦艇は、
伊507のみだった。

ちなみに、都市帝国には超巨大戦艦という "奥の手" があったわけだが、
40隻におよぶ大艦隊で伊507を待ち受けていた米国海軍もまた
"幽霊艦隊"(ゴースト・フリート)という "奥の手" を隠し持っていた。

ヤマトは超巨大戦艦相手になすすべがなかったが、
伊507は全く怯むことなく果敢に戦い抜き、これを突破していく。


(6)命令違反

彗星帝国よりの降伏勧告を受諾した地球連邦政府に叛旗を翻し、
徹底抗戦を選択したヤマトはもちろん「反逆者」である。
ヤマト世界の軍規がどうなっているかは不明だが、
普通に考えればヤマトの乗組員たちは反逆罪に問われ、
最悪の場合は極刑もあり得たのではないだろうか。
最終的に彗星帝国の脅威が去ったことでうやむやになったみたいで
続編の「新たなる旅立ち」でも彼らが罪に問われた描写はないけど。

伊507もまた、テニアン島への攻撃は司令部からの命令ではなく、
あくまで有志による行動だと絹見艦長は乗組員たちに明言する。
あわせて「諸君は艦を下りる自由を有している」と告げ、
実際に少なくない数の乗組員が下艦している。

「2」にはこのようなシーンはない。正式な命令がないままに、
およそ生還が期しがたい死地へ赴くわけだから、
乗組員に選択の機会を与えて然るべきだと思っていた。
それがなかったことも「2」に対する不満の一つだったので
「終戦」でしっかりこれを描いてくれたことは嬉しかった。


(7)生還

「終戦」での決戦の終盤、折笠とパウラは
戦場から脱出し、生還するよう絹見艦長より命令される。
二人は当初それを拒否するが、
艦長、そしてフリッツの説得を受け、戦場を離脱していく。
そして伊507は、原爆搭載機の発進阻止に向けた
最後の戦いへ向かうことになる。

「2」では、自らの命とヤマトをもって
彗星帝国の超巨大戦艦と差し違えることを選んだ古代だが、
テレサの説得を受けて思いとどまる。
これによって主要キャラは生き残ったものの、
テレサ一人が犠牲になることによって救われるという結末となった。


長々と書いてきてしまったが、要するに
福井晴敏氏が書いた『終戦のローレライ』という作品には、
"ヤマト2成分" がかなりの濃度で含まれているような気がする、
ということ。

最初は「これだけ共通点がある」ってつもりで書いてたんだけど
できあがったものを読み返してみると、
同じようなシチュエーションでもかなり違う展開をしているようで、
思ったほど似ていないようだ(笑)。


福井晴敏氏は、ヤマト世代ではなくガンダム世代で、
富野由悠季監督の熱烈なファンであることは周知の事実だ。
彼の作品には随所にガンダムの影響あるいはオマージュが散見される。

「終戦」でも、"ガンダム要素" はいくつか散見される。

メインのネタであるローレライ・システム、
あるいはその "核" たるパウラの感知能力に、
ガンダムのニュータイプを想起する人は多いだろうし、
物語の黒幕であり、日本をいっぺん根底から破壊し尽くし、
焦土からの再興を目指す浅倉大佐に
「アクシズ落とし」を図ったシャアの面影を見る人もいるだろう。

「終戦」の4年後に出版された「op.ローズダスト」では、
"ガンダム要素" はさらに顕著だ。

以前、このブログの記事にも書いたけど
主要キャラである丹波朋希・入江一功・堀部三佳の3人の関係は
アムロ・シャア・ララァの相似形だし、
ラストで倒壊する高層ビルから朋希が脱出するシーンに
ファースト・ガンダムの最終回を重ねた人も多いだろう。


そんな作品を書いてきた福井氏が、
「ヤマト2」&「さらば」のリメイクである
『ヤマト2202』において脚本・シリーズ構成を担当する。

最初は驚いたけど、こうやって書いてきてみると
案外ハマっているような気もしてきた。
ガンダム世代の彼が "ヤマト" という素材をどう料理するかも
興味深いところではある。


「2199」の時にも書いたけど、
100人のヤマトファンがいれば、100の「俺ヤマト」がある。
誰がどうリメイクしようと、
100人全員の支持が得られるなんてことはありえない。
必ず誰かがどこかに文句を言うことだろう。

ましてや「2」そして「さらば」である。
ハードルの高さは「イスカンダル編」の比ではないだろう。
たぶん私も文句を言うだろうし(笑)。

ならば、変におもねることなく、
「福井ヤマト」なり、「羽原ヤマト」なりを
ぶれずに最後まで押し通していただきたいと思う。

「2199」だって、最後まで「出渕ヤマト」を貫いたんだから。


まあ、実際にフタを開けてみないと何とも言えないのだけど、
(ここのところ毎回書いてるが)
過度の期待はせず、かといって悲観もせず、
淡々と公開を待ちましょう。


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