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ロマンス [読書・ミステリ]

ロマンス (文春文庫)

ロマンス (文春文庫)

  • 作者: 柳 広司
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/11/08
  • メディア: 文庫



評価:★★

時は昭和の初め。具体的な年号は描写されずに進むのだが
太平洋戦争開始までさほど遠くない時代と思われる。

実はラストでこの物語が何年の出来事なのかは分かるのだけど。

主人公・麻倉清彬子爵は、ロシア人の血を引くクォーター。
家族でパリに暮らしていたが、両親が交通事故で客死、
大伯父・周防に引き取られて帰国し、麻倉子爵家を継いだ。
しかし27歳になった今も結婚もせずに遊び歩いていた。

ある日、清彬は親友の多岐川嘉人に呼び出されて
上野のカフェーへ出向く。
見知らぬ男の刺殺死体と出くわして、
殺人容疑をかけられていた嘉人を機転を利かせて救うが
反体制活動を取り締まる特高(特別高等警察)の刑事・黒崎が現れ、
捜査への協力要請をしてくる。

さらに、男子のいない今上天皇に側室を持たせる動きがあり、
嘉人の妹・万里子がその候補に挙がっているという・・・

清彬はかつて万里子への求婚を思い立ったが、
彼女の父である多岐川伯爵に拒絶されたことがあった。

折しも、共産主義活動に参加した容疑で、
女子学習院に通う良家の子女たちが大量に摘発されるが
その中に万里子の姿もあった・・・


基本的には男を刺殺した犯人を巡るミステリではあるのだけど
華族に生まれながらも外国の血を引くが故に
日本の貴族社会に受け入れてもらえない、
清彬の孤独が物語のメイン部分を占めている。

庶民の暮らしにも軍隊にも入ることができず、
日本の中に身の置き所を持たない彼は、
終盤になって、ある "行動" を決意するのだが・・・

タイトルこそ「ロマンス」だが、
ロマンティックな雰囲気は欠片もない。
ラストに明らかになる万里子の "真意" も含めて。

事件の真相はたしかに意外なもので、
ミステリとしてはとてもよくできていると思う。

でも、私がつけた星の数を見てもらえばわかるのだけど
とにかく重くて暗くて救いのない話で、
どうにも好きになれませんでした。


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mojo

kk.malayさん、はじめまして。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2016-04-14 23:56) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2016-04-17 20:52) 

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