SSブログ

ふたりの距離の概算 [読書・ミステリ]

ふたりの距離の概算 (角川文庫)

ふたりの距離の概算 (角川文庫)

  • 作者: 米澤 穂信
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/06/22
  • メディア: 文庫



評価:★★★

作者の出世作である<古典部>シリーズ、第5巻。
もっと巻数が出ていたような気もしてたけど、まだ5冊なんだね。

神山高校古典部のメンバーである
奉太郎、える、里志、摩耶花の4人は無事2年生に進級、
物語は5月末に行われる長距離走大会が舞台となる。

そのコースは、学校を出発して周囲20kmをぐるりと廻るもの。
奉太郎もクラスメイトと共に走るが、彼にはもう一つ目的があった。

古典部に仮入部した新入生の大日向友子。
えるたち2年生ともすぐに馴染んだように見えたのだが
ある日、意味不明の言葉とともに、入部はしないと宣言する。

この長距離走大会の日が、新入部締め切り日にもなっている。
何としても今日中に、大日向の入部拒否の理由をつきとめたい。

渋滞を避けるべく、クラスごとに時間をあけて出発する。
そのため、先頭から最後尾までが非情に長い。

奉太郎の後方に摩耶花、その後にえる。
1年生の大日向はさらにその後。
運営を司る総務委員の里志は、
自転車でコースのあちこちを走り回っている。

摩耶花・える・大日向に話を聞くため、奉太郎はわざと
ゆっくり走る(もともと奉太郎は速く走る気は無いがwww)。
そうすれば、後ろの三人が
次々に奉太郎に追いついてくるというわけだ。

表題『ふたりの距離の概算』は、奉太郎が、
後ろから来る3人との距離を頭の中で暗算するところから来ている。

長距離走大会での奉太郎の走りっぷり(さぼりっぷり?)と、
大日向の仮入部から今までの経緯が交互に描かれながら
ストーリーは進行していく。


もちろん最後には大日向の入部しない理由が明らかになるのだが、
ネタとしては短編でも充分なような気もする。

でも、それぞれ個性的な古典部のキャラの面白さと、
マラソンを走りながら関係者に事情を聞いて
謎を解いていくというシチュエーションの斬新さで
最後までダレずに読めてしまう。
このあたりはとても達者です。さすが。

「このミステリーがスゴい!」で二年連続1位になったりと
最近評価が高まってきていて、
たぶん執筆依頼も増えてるんだろうと推測する。
でもそのせいか、このシリーズや<小市民>シリーズなどの
ライト(必ずしもそうでないところもあるけど)な学園ミステリの
新作にとんとご無沙汰である。

一般向けのミステリも好きなんだけど、
こちらの方も忘れずにお願いしたいものだ。


nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 2

mojo

コースケさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2016-04-17 20:53) 

mojo

31さん、こんにちは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2016-05-08 13:23) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0