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菖蒲狂い 若さま侍捕物手帖 ミステリ傑作選 [読書・ミステリ]


菖蒲狂い (若さま侍捕物手帖ミステリ傑作選) (創元推理文庫)

菖蒲狂い (若さま侍捕物手帖ミステリ傑作選) (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/09/24
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

 主人公の ”若さま” は、柳橋の船宿・喜仙(きせん)の奥まった一室に居候していて、宿の一人娘・おいとを相手に毎日酒を飲んで暮らしている。

 名前も出自も不明で、仕事も持っていなさそうなので、どこから部屋代・酒代が出てくるのか不明(笑)。とはいっても、人品卑しからずで、それなりの家に生まれたのではないかと思われる。生活費もそこから出てるのだろう。

 そして時折、南町奉行所与力の佐々島俊蔵や御用聞き(岡っ引き)の遠州屋小吉(こきち)が難事件を持ち込んでくる。俊蔵も、かなり ”若さま” に対して気を遣った物言いをしてるので、裕福な旗本の次男坊か三男坊あたりなのかな。

 そして事情を聞いた ”若さま” は、たちどころに解決してしまう。だって、どの短編も文庫で30ページに満たないから(笑)。

 全部で250編ほど書かれたらしいのだけど、その中から25編が収録されている。

「舞扇(まいおうぎ)の謎」「亡者殺し」「心中歌さばき」「十六剣通し」「菖蒲狂い」「二本傘の秘密」「あやふや人形」「お色検校(けんぎょう)」「天狗矢ごろし」「下手人作り」「命の恋」「女狐ごろし」「無筆の恋文」「生首人形」「友二郎(ともじろう)幽霊」「面妖殺し」

 文庫の惹句には ”伝説の安楽椅子探偵シリーズ” ってあるんだけど、そうでもない。
 俊蔵や小吉から話を聞いたら、ふらりと出かけて事件の関係者に会ったり現場を調べたりと、けっこうアウトドア(笑)な一面もある。
 もっとも、彼のアタマの中では既に解決していて、あくまで証拠固めというか確認のための外出なのかも知れないが。

 上にも書いたように各作品みんな短いんだけど、その中でも興味を引く謎はちゃんと提示される。
 どの作品がどれとは書かないが、誘拐、密室、犯行予告状、凶器の消失、人間消失、不可能殺人、倒叙もの、建物ミステリ、猟奇殺人、毒殺とバラエティに富んだラインナップ。

 あと、現代の目で見たら陳腐なトリックでも、一種の異世界である ”時代ミステリ” の中ではけっこう違和感なく読めるのも面白い。



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