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機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ [アニメーション]

原作は「ガンダム」の生みの親、富野由悠季氏が
1989~90年に発表した小説。私もリアルタイムで読んでいる。
そのことは後で述べるとして、この映画のことについて書いていく。

最初に断っておくけど、肯定的な文章ではない。

ファンの方なら不愉快に思うかも知れないので、いちおう念のタメ。
気を悪くしたくないのなら、以下の文章は読まないことを推奨します。
hathaway_gundam_poster.jpg

まずはざっくりと内容の紹介から。

時代は「逆襲のシャア」から12年、宇宙世紀0105。
地球連邦政府の腐敗はさらに進行し、非人道的な政策を進めていた。

それに抵抗しているのが反地球連邦政府運動「マフティー」。
そのリーダー「マフティー・ナビーユ・エリン」の正体こそ、
連邦軍大佐ブライト・ノアの息子、ハサウェイ・ノアであった・・・

というわけで(ほんとにざっくりだね)。

上映時間は95分ほどなのだけど、自分でもびっくりするくらい
心が動かなかった。いや、映像はスゴいし、
声優さんたちも達者な人ばかりで、そういう面での不満は全くない。
ただ、私の心には「作品」として響いてはこなかったんだな・・・

以下に、感じたことを思いつくままに書いてみよう。

いちばん大きな理由は、主役たるハサウェイに魅力を感じないこと。

「逆襲のシャア」では紅顔の少年であったハサウェイも
本作時点では25歳になっており、反体制グループの首領だ。
そして、やっていることはテロ行為。

「逆シャア」で初恋の少女クェスを失い、チェーンを手にかけ、
アムロとシャアが閃光の中に消えていくのを目の当たりにする。
そんなトラウマを抱えた少年が真っ当に育つのが難しかろう。
どこかで道を踏み違えればテロリストになってしまうこともあろう。

だが、そういう人間を主役に据えるのはどうなのか。

原作小説を読んだときも、いちばん違和感を感じたのはそこだった。

主人公というものは、ストーリー上の様々な困難を
頑張って乗り越えていくものなのだけど、
ハサウェイが「頑張る」ということは「テロ行為を頑張る」ということ。

作中、「マフティー」はハサウェイの逗留するホテルを襲うが
関係ない民間人だってたくさん宿泊していただろう。
その後、市街戦に移行するが、
そこでも無辜の市民が大勢死んだことだろう。

どんな理想を掲げようとも、所詮はテロ、
やっていることは無差別大量殺人だ。

 でも、ネットでの映画評をちょっとのぞいてみたんだが
 ハサウェイ(マフティー)のテロ行動を
 容認する意見がけっこう多いのに驚いた。
 これはショックだったねぇ・・・
 今の人はそういう感性なんだ・・・

対する連邦軍だって似たようなものだ。
「マフティー」のモビルスーツが市街地を背にしていても、
かまわず攻撃を加える。
「市民を守る」という軍隊の存在理由を自ら否定している。

私の目には、どうしてもハサウェイが魅力的に映らない。
そして、ケネスに代表される連邦軍にも肩入れすることができない。
結果、主要登場人物ことごとくに感情移入ができない。

ハサウェイ、ギギ、そしてケネスの会話は、いわゆる富野節が全開だ。
30年前の私だったら「大人だなぁ」とか「洒落てるなぁ」とか
感じたのかも知れないが、今の私には
言葉遊びに終始しているような空疎なものに感じられる。
それに90分間をつきあうのは、いささか苦痛だった。

 それは私が年を取ったというだけのことなのかも知れないが。

私は、小説にしろ映像にしろ、キャラに入れ込んでいくタイプなので
この作品はそういう意味でも「私向き」ではないのでしょう。

でもねぇ、原作小説の発表から30年も映像化されなかったのはなぜか。
いろいろ事情はあったのかも知れないけど、
一番大きな理由は主人公がテロリストだったからじゃないのか?

原作でも、富野氏だって決して彼の行動を認めるようには語ってない。
最終的にハサウェイの行為は否定されてる。
だからこその小説版の結末だと、私は思っているのだけどね。

それとも、今回の映像化では物語が大幅に改変されるのでしょうか。

原作小説の発表時は、米ソ冷戦の最末期。
曲がりなりにも、二大国の支配下でそれなりの秩序があった時代。
しかしそれから30年が経ち、現代世界は当時と比較にならないほど
テロの嵐が吹きあれるようになってしまった。

そんな現代だからこそ、暴力によって問題が解決してしまうような展開は、
やってはいけないことなのではないか・・・?

まだ第一部しか公開されていない段階で、
ゴチャゴチャと文句をつけるのは如何なものかとは思うのだけど
現時点で思ったことを書いてみた。
まだ完結編の影も形もない時点であれこれ言うのはどうかとも思うが
昭和生まれの頭の固いオジさんの戯言と思って
聞き流し(読み流し?)てください。

最後に、登場するモビルスーツについてもちょっと。

Ξ(クシィ)ガンダムは全高26m超えだそうな。
初代ガンダムが18mだったことを考えたら、恐竜的な進化。
MS単体で飛行ができるとか、高性能になったのはいいとして、
やたらパーツがゴチャゴチャついていて・・・

ライバルとなるペーネロペーはもうドラゴンですね。
「Gガンダム」とか「SEED」みたいにアナザー系の作品ならともかく
宇宙世紀のメカとしてはどうなんでしょう。

両者とも、私にはかなり奇をてらったものに感じる。
いままで数多くの「ガンダム」が産み出されてきて、
デザインのバリエーションが出尽くしてしまったのかなとも思ったり。

でも、ガンプラ好きには堪らないデザインなのでしょうね。
プラモデルが売れることも大事なことですから、
バンダイさんもここは譲れないところなのでしょう(笑)。

いろいろ文句を書いてきてしまいましたが
「ガンダム」という作品が嫌いなわけではないので
(今回の「ハサウェイ」はアレでしたが、好きな作品も数多いので)
とりあえず、第二部と第三部も観にいくつもりです。
それによっては私の感想も変わっていくかも知れないけど・・・

完結するのはかなり先になりそう。
物語の終わりに、ハサウェイに救いは訪れるのでしょうか・・・


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