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グリーンランド ー地球最後の2日間ー [映画]

greenland.jpg

太陽系に侵入してきた彗星が分裂し、生じた無数の破片が地球に降り注ぐ。
各地に甚大な被害が発生するが、それは前哨に過ぎなかった。

かつて恐竜を絶滅に追いやった隕石に匹敵するような巨大な破片が
48時間後に地球に衝突することが判明したのだ。

アメリカ大統領は来るべき破滅が避けられないものとみて、
復興のために必要な人材を選別し、生き残らせることを決定する。

主人公の建築技師、ジョン・ギャリティはその選ばれたメンバーの一人。
突然、彼のスマホに大統領府からの直接指令が入り、
避難シェルターへの移動のために、軍基地への出頭が命じられる。

ジョンと妻・アリソンとの関係は破綻しかかっていたが、
彼は妻子を連れて家を出て、指定された基地へ到着する。
しかし息子・ネイサンに持病(糖尿病)があったために
輸送機への搭乗を拒否されてしまう。

さらに、選ばれなかった人々が暴徒と化して基地に押し寄せる。
滑走路上で軍と争ううちに輸送機が破壊され、そして
その大混乱の中、ジョンは妻子と離ればなれになってしまう・・・

この手の映画では、超大国の首脳部や宇宙飛行士などの
特別な人間にスポットが当たるパターンが多かったが、
本作はあくまで市井の人々に焦点を当てている。

ギリギリのところで地球を救うようなヒーローは現れず、
ひたすら生き延びるために足掻く人間たちが描かれる。

ジョンの一家は、親しかった友人たちを振り捨てて脱出しようとし、
商店街は暴徒の略奪を受け、街には銃声と悲鳴が響き渡る。

善意を寄せてくれる人もいるが、ジョンたちが
”生存権” を持っていると知ると豹変し、牙をむいて襲いかかる。

そんな中でジョン、アリソン、そしてネイサンのサバイバルは続き、
壊れかかっていた夫婦の絆もまた、再生されていく。

後半に入り、3人はついに再会を果たすが、
流石にこのあたりはちょっと感動的だ。

ここで終わりかと思いきや、物語はさらに続く。
ジョンは妻子を連れ、グリーンランドにあるという
シェルターへ向かおうとするのだが・・・

この後は映画の結末に触れる。
盛大にネタバレしているので、未見の方はご注意を。

前半は、パニックものとしてそれなりに面白く観られるのだけど
後半に入ると、疑問点というかツッコミどころがだんだん増えていく。

まず、シェルターがグリーンランドにあるという情報が
けっこう多くの人に知られてるみたいなのは如何なものか。
もともと広く公開されていた情報だとも思えないし、
主人公たちが知るのも、噂というか口コミレベルである。

 しかも、シェルターはホントにグリーンランドにあるんだから・・・
 どこから漏れたんでしょうね?
 これじゃ、世界中から人々が殺到しちゃうんじゃないの?

それに、ジョン一家がシェルターに辿り着いたとしても、
空きがあるかどうかも分からないよね。
仮にあっても、持病があることでいったんは拒絶されてるんだから
入れる保証はない。そうしたらジョンはどうするんだろう。
でも行くんだよね・・・なぁんて心配しながら観てた。

ジョン一家は口伝えで聞いた話を信じてカナダへ行き、
”巨大破片” 落下まであと数時間、というところで飛行場に到着、
グリーンランドへ向かう小型飛行機に乗り込むことができてしまう。
これもちょっと安易なようにも思うが、ここでもたもたしていたら
彼らはここで死んでしまうからね・・・

ならば、さぞかしグリーンランド上空はそんな飛行機で
溢れかえっているんじゃないかと思いきや、そんなこともない。

そして着いたら、シェルターにすんなり入れてしまうのも拍子抜け。
ここでまた一悶着あるんじゃないかと思ってたんだが、
心配して損したよ(笑)。

好意的に解釈すれば、暴徒に襲われるとかのトラブルに巻き込まれて
到着できなかった人々も少なからずいた、ということか。
想定以上に ”定員” が埋まっていなかったのかもしれないし、
それに、到着した時点で ”落下” まで数分だったみたいなので
シェルターの職員もいちいち資格に拘らなかったのかも知れない

そして、迎える運命の時。巨大破片はヨーロッパ中央部に落下する。

よりによって最も人口密度の高そうなところに落ちるのは
”絵” として盛り上がるから・・・なのでしょうなぁ。
普通に考えれば海に落ちる確率の方が高いし、
陸だって、シベリヤや中央アジアやサハラ砂漠やアマゾンとかの
広くて人間の少なそうなところもいっぱいあるのにね。

そして、エピローグは破片落下から9か月後。

事前の試算では、地上の生命の75%が死に絶えるとのことだった。
実際、画面に描かれるのは燃え尽きて廃墟と化した世界中の都市群。

でも、あちこちから無線が飛んでくるんだよね。
(たぶん)わずかに生き残った人々が、仲間を求める呼びかけが。

 一番簡単な答えは、グリーンランド以外にも世界の各地に
 いろんな国が密かにシェルターを作っていた、ってことなのだろう。

ジョンたち生存者が、未来に希望を感じなからエンドマーク・・・
ということなのだろうけど、私としては
9ヶ月の間、グリーンランド以外の人々が
どうやって生き延びてきたのか、どんな人たちが、どこに隠れて、
何を食べてきたのか。あの暴力と混乱をどう乗り切ったのか。
そっちのほうが知りたいなぁ・・・なぁんて思いながら
エンドロールを眺めていました。

余計なことを書けば、恐竜が滅んだ隕石落下で起こった
気候の大変動は、数年にわたって続いたと推定されていたので、
農作物の収穫もゼロでしょう。
映画の中で生き残った人々は、さらに数年間、
サバイバルのために足掻かなければならないはず。

シェルターにどれくらいの備蓄があるのかはわからないけど
ジョンたちの前途はかなり厳しいものであるような気が・・・

なぁんて悲観的なところまで描いてしまったら
エンタメとして成立しないんだろうなぁ・・・

どうもこの映画、観ていて余計な ”邪念” が湧きすぎて、
私はあまり楽しめませんでした。
まあ、もともと ”スカッと爽やか” なテーマじゃないけどね。


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