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コルトM1847羽衣 [読書・冒険/サスペンス]

コルトM1847羽衣 (文春文庫)

コルトM1847羽衣 (文春文庫)

  • 作者: 了衛, 月村
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/11/10
  • メディア: 文庫
評価:★★★★☆

主人公は女渡世人・羽衣お炎(はごろも・おえん)。

江戸でも指折りの侠客の娘として生まれたお炎は
両国川開き祭りの夜、薩摩藩士の三男坊・青峰信三郎と出会う。
ときにお炎11歳、信三郎13歳。

二人の交流は成長しても続き、やがて信三郎は
お炎を妻に迎えることを決意する。

しかしお炎が22になった年、信三郎は藩の御用で
木更津へ出かけたまま失踪してしまう。

傷心のお炎は信三郎の消息を訪ねて諸国を旅していたが
その途中、一人の老人の窮地を救う。
老人は西国の豪商・四海屋幸兵衛(しかいや・こうべえ)であった。

恩義を感じた幸兵衛は信三郎の探索に協力し、やがて新しい情報を掴む。
佐渡の金山に送られた無宿人の中に、信三郎らしき人物がいたという。

タイトルの「コルトM1847」は、南蛮渡来の6連発拳銃。
佐渡に向かおうとするお炎に対し、幸兵衛から贈られたものだ。
彼女は血の滲むような特訓に耐え、百発百中の腕前を誇るまでになる。
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しかし、佐渡島へ潜入したお炎は、その現状に驚愕する。
金山の鉱夫を中心に広まった ”オドロ様” なるものを信仰する
謎の邪教集団 ”オドロ党” が島全体を支配していたのだ。
佐渡金山の奉行までもが ”オドロ党” と結託し、
しかもその背後には脱藩した薩摩浪士たちの姿も見え隠れする。

島全体を敵に回し孤立無援かと思われたお炎だが、心強い味方も現れる。

佐渡に渡って早々に知り合った娘・おみんは、
その軽業師並みの身の軽さと正確な投擲の腕前で大活躍。

さらに四海屋幸兵衛は、お炎のバックアップ部隊として
子飼いの私兵集団ともいうべき〈玄人衆〉を差し向ける。

鉱山の最深奥の闇の底から現れたという ”オドロ様” の正体、
その ”オドロ様” の ”宮司” を名乗る謎の男・蝉麻呂、
そして蝉麻呂と〈玄人衆〉の頭・与四松との意外な因縁、
佐渡を支配下に置いた ”オドロ党” の、真の目的とは・・・

そしてお炎の想い人・信三郎の安否は如何に。

「莫大な黄金と幾多の謎を巡り、女渡世人・羽衣お炎が
 拳銃一挺を手に、血風渦巻く佐渡を駆け抜ける!」
・・・ってキャッチフレーズが書けそうな王道エンタメである。

行く手を阻む非道な奴らに、鉛玉を食らわせて血路を開く、
お炎の壮絶な戦いが全編にわたって描かれていくのだが
彼女を動かすものはただひとつ、信三郎への思慕の情。
一途なまでのお炎の想い、そしてその覚悟に惹きつけられる。

サブキャラも魅力的だ。

おみんは15歳と最年少だが、明朗快活元気溌剌。
ともすれば暗くなりがちな物語の雰囲気を救っている。

〈玄人衆〉もいい。いずれも一騎当千の強者揃いで、
最初は四海屋の命令で動いていたが、
後半になるとお炎の心意気に共鳴・感化され、頭の与四松ともども、
彼女のために一命を賭して ”オドロ党” に挑むようになる。

その与四松と ”ある因縁” で結ばれた ”オドロ様の宮司”・蝉麻呂。
いわゆる ”悪の組織の大幹部” だが、彼にも彼なりの大義があり
自分の行為に意義と矜持を見出している、敵ながら天晴れな存在。

そして ”ラスボス” となる ”オドロ様”。
こちらは読んでのお楽しみだ。

まさに ”王道エンタメ”。間違いなく
楽しい読書の時間を約束してくれるだろう。
「面白い本を紹介してくれ」と言われたら、
今の私は迷わずこの本を薦める。

ラストシーンまでもが王道で、
最後の1ページまで楽しめる傑作だ。


nice!(3)  コメント(3) 
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mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2021-01-27 00:01) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2021-01-27 00:01) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2021-01-27 00:01) 

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