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高座のホームズみたび 昭和稲荷町らくご探偵 [読書・ミステリ]

高座のホームズみたび 昭和稲荷町らくご探偵 (中公文庫)

高座のホームズみたび 昭和稲荷町らくご探偵 (中公文庫)

  • 作者: 愛川晶
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2019/10/31
  • メディア: 文庫
評価:★★★

『高座のホームズ』『黄金餅殺人事件』に続き、
昭和の落語界の重鎮にして名人、八代目林家正蔵が探偵役を務める
ミステリ・シリーズ、その第3巻。

時代は昭和の終わり頃。今回の主人公は佃家梅臓(つくだや・うめぞう)。
現在32歳、3年前に真打ちに昇進したが師匠・佃家傳藏(でんぞう)からは
なぜか疎まれていて改名を許されなかった。

兄弟子の傳朝(でんちょう)とも不仲、
弟弟子の花臓(はなぞう)は人気と実力で梅臓を追い越す勢いで、
入門8年めにして異例の真打ち昇進を決めるなど順風満帆、
そんな兄弟弟子2人に挟まれて、なかなか辛い環境にいる。

前半部の「二眼国」では、真打ち昇進披露を控えた花臓が
高座で『犬の目』を演じているさなか、
酔った客に左眼を殴打されるという事件が語られる。

左眼は失明の恐れもある重傷で、廃業の可能性も。
梅臓は傳朝と仲直りし、危機に陥った弟弟子の支援に乗り出すが
その矢先、酔った傳朝が夜道で襲われるという事件が起こる。
同道していた梅臓が傳朝に犯人の特徴を問うが、
傳朝はなぜか、落語『一眼国』のサゲの台詞をつぶやくのだった・・・

梅臓から話を持ち込まれた林家正蔵師匠は
殴打事件の真相と、襲撃事件の犯人を見抜く。

後半部の「ホームズの企み」では、殴打事件発生の背景が明らかになる。

なぜか襲撃事件の犯人と関わりを持ってしまう梅臓、
そこから傳藏師匠の娘・洋子を巡るラブコメ展開に巻き込まれる。

そして終盤、梅臓は落語家人生最大の危機を迎える。
正蔵師匠が介入し、事態は丸く収まるかと見えたが・・・

シリーズ既刊と同様、本書にも「プロローグ」「幕間」「エピローグ」と
現代のエピソードが挿入される。

落語がテーマだけに、基本的にはコメディ調の物語なのだけど
失明に至るような負傷が描かれたり、亡くなる人も出たりと
いささか暗鬱な雰囲気も感じられる。

しかし「エピローグ」に至り、事件に関係した人々のその後が語られる。

気がかりだったキャラたちが、後半生において
不遇や不運を跳ね返して意外な転身を遂げていることに驚いたり、
納まるべきところに納まっていて安心したり。
ほっこりとした気分で本を閉じられる。


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mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-19 20:34) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-19 20:34) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-19 20:35) 

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