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烏百花 蛍の章 [読書・ファンタジー]

八咫烏外伝 烏百花 蛍の章 (文春文庫)

八咫烏外伝 烏百花 蛍の章 (文春文庫)

  • 作者: 阿部 智里
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/09/02
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

烏への転身能力を持つ人々が住まう異世界・山内(やまうち)を舞台にした
大河ファンタジー「八咫烏シリーズ」、その外伝。
長編連作の形で続いているのだが
その中に納まらなかった6つのエピソードが語られる。

「しのぶひと」
山内一の美女との誉れも高い真赭の薄(ますほのすすき)。
かつては若宮の正室候補の1人だったが、いまは出家して
正室・浜木綿(はまゆう)付きの筆頭女房を務めている。
しかしその真赭の薄に縁談が持ち上がる。
相手は山内を統べる四大貴族のひとつである北家当主の孫・雪哉。
しかし彼女の弟・明留(あける)は、素直に喜べない・・・
第一部までを読み終わって思うのだが、私も彼女には
幸せになって欲しいな。雪哉が相手でなくてもいいが。

「すみのさくら」
南家の姫として生まれた墨子(すみこ)は
5歳の時に青嵐(せいらん)と名乗る女に屋敷から連れ出され、
そのまま南本家の菩提寺に預けられる。
やがて、南家当主だった両親が叔父によって殺されたと知るのだが・・・
本編を読んでる人なら成長後の墨子のことを知ってるが
(全くいないか、ごく少数だとは思うが)こちらを先に読んだ人は
かなり印象が異なるだろうなあ。

「まつばちりて」
谷間の女郎屋で、娼婦の娘として生まれた少女・まつ。
しかし生来の学問好きで、特に書に才能を発揮した。9歳になったとき、
金烏代の正室(皇后)・大紫の御前(おおむらさきのおまえ)に見出されて
名も松韻(しょういん)と改めて宮中へ上がることになる。
身分は奉籍(ほうせき)。女としての戸籍を捨て、
男として生きることを選んだ者を指す。
21歳になったとき、忍熊(おしくま)という蔵人(くろうど)と出合う。
”女” という一点を以て奉籍たちに対して攻撃的に接する彼と
ことごとく衝突をくり返す松韻だったが・・・
本書の中ではいちばん独立性が高い、言い換えれば
本編とのストーリー上のリンクが最も少ない作品。
そのぶん、松韻と忍熊の物語がどんな着地点を迎えるのかが見えず、
ハラハラさせられる。ラブ・ストーリーとしても秀逸だが、結末は・・・

「ふゆきにおもう」
主人公・梓が侍女として仕えた北家の姫・冬木は
生まれつき体が弱く、長生きはできないだろうと思われていたが
生来の読書好きで、古今の兵法にも通じ、
囲碁・将棋等の盤上競技で彼女に敵う者はいなかった。
そんな彼女が一目惚れした相手は垂氷(たるひ)郷の郷士・雪正。
冬木は彼の正室となったが、5年経っても子に恵まれなかった。
そんなとき、梓を側室として迎え入れたいと雪正からの申し入れが・・・
本伝でのメインキャラの1人、雪哉の出生にまつわるエピソード。
本書の中で、恋愛濃度では「まつばー」と双璧か。

「ゆきやのせみ」
若君の地方順啓に、護衛役の澄尾と共に付き従う雪哉。
しかしある村で食い逃げに間違えられ、山中を逃げ回る羽目に。
本書収録の作品は多かれ少なかれ恋愛要素があるのだが、本作だけ例外。
巻末の「あとがき」によると、若君・雪哉・澄尾の3人組による
”水戸黄門漫遊記” 的なエピソードらしい。
そのうち、これだけで一冊にまとめたものを読んでみたいな。

「わらうひと」
大猿との決戦が終結して半年後のエピソード。
出産を控えた浜木綿に仕える真赭の薄のもとへ
戦いで重傷を負った澄尾が訪ねてくるが・・・
本書の劈頭を飾る「しのぶひと」の後日談でもある。
この2人の仲はどう転んでいくのかな。
第2部では明らかになるんだろうけど。

なにせ文庫で追いかけてるシリーズなので
第2部の第1巻「楽園の烏」が読めるのは3年後かなぁ。
3年後まで生きてるかなぁ。
コロナに負けてたりして(おいおい)。


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mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-19 20:35) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-19 20:36) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-19 20:36) 

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