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使用人探偵シズカ -横濱異人館殺人事件- [読書・ミステリ]


使用人探偵シズカ: 横濱異人館殺人事件 (新潮文庫nex)

使用人探偵シズカ: 横濱異人館殺人事件 (新潮文庫nex)

  • 作者: 月原 渉
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/09/28
  • メディア: 文庫
評価:★★★★

時代は明治。
没落士族の息子・秋月和美(あきづき・かずみ)は
困窮した家計の足しにするため、倉の中にあった洋画を売りに出した。
絵は傷みが激しく、海の風景を描いた表層が剥落していて、
その下には不気味な死者たちと、縊れ死んだ男の姿が現れていた。
描き手の署名は〈久住正隆〉。

しかしなぜかその絵を高価で買い取るという者が現れ、
和美はその絵を買い手の家まで送り届けることになる。

彼は絵を持って横浜にやってくるが、そこで出会ったのが
異国の血を引くと思われる女性・栗花落静(つゆり・しずか)。
彼女は絵の買い手である氷上公一(ひがみ・こういち)の住む
「名残館」(なごりかん)でメイドを務めていた。

その屋敷は海岸の突端から離れて、周囲を崖で囲まれた
大きな岩の上にあり、本土とは吊り橋で結ばれている。

屋敷には、和美を含めて6人の男女が集められており、
その中の一人は、なぜか和美が持ってきた絵に描かれた
「縊れた男」とそっくりな顔をしていた。

そしてその夜、彼は ”縊り殺されている姿” で発見される・・・

さらに、屋敷と本土をつなぐ吊り橋が切り落とされてしまい、
外部との人の出入りはもちろん、連絡手段も断たれてしまう。
その閉鎖状況下で、連続殺人が起こっていく・・・


文庫で280ページしかないのだから、かなりコンパクト。
しかし内容はかなり濃厚だ。

登場人物は全部で8人。そしてその中で、
絵に描かれた人物に ”見立て” た殺人が連続して起こり、
登場人物たちはどんどんお亡くなりになっていく。
まさに「そして誰もいなくなった」路線まっしぐら(笑)。

ページを開くと最初に目次があるのだけど(あたりまえだ)、
読者はまず、その章題にぶっ飛んでしまうだろう。

全部で22章構成なんだけど、たとえば
「第10章 見立て破り」
「第11章 見立て破り返し」
「第12章 見立て論理の崩壊」
「第13章 逆襲の見立て返し」
「第14章 逆襲の見立て返し崩し」・・・以下略

なんだかガンダム映画かゴジラ映画の題名みたいにみえてくるが(笑)
こんな章題があと6章続くのだ。しかも後半はもっと過激(おいおい)。

内容もこれに負けていない。
タイトルこそ、シズカさんが探偵役みたいだが
作中では、そのシズカさんも立派な(?)容疑者の一人。
そして最後に明かされる意外な真相、意外な真犯人。

「新潮文庫nex」というレーベルは、
比較的 ”軽めの話” を収めたものと思ってたんだけど
こんなガチガチの本格ミステリが読めるとは意外でした。

「講談社タイガ」もだけど、侮れないレーベルが増えてきました。

nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-12-27 00:47) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-12-27 00:47) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-12-27 00:48) 

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-12-27 00:49) 

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