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ラン迷宮 二階堂蘭子探偵集 [読書・ミステリ]


ラン迷宮 二階堂蘭子探偵集 (講談社文庫)

ラン迷宮 二階堂蘭子探偵集 (講談社文庫)

  • 作者: 二階堂 黎人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/08/09
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

名探偵・二階堂蘭子が活躍するシリーズの一編。

「泥具根博士の悪夢」
文庫で160ページ近い中編。
超常現象研究家の泥具根博士が殺され、
助手を務めていた柴崎は蘭子を訪ねて解決を依頼する。
博士が研究用に建設した施設<霊応堂>の中心で殺人は起こった。
しかし、建物の入り口から現場の部屋へ行くには
鍵のかかった扉を4つ通らなければならない。
さらには犯行時刻前には降雪があり、
建物の周囲にの積雪に足跡はない。いわば五重の密室状態。
しかも死体の背中に刺さっていたナイフは、
<霊応堂>とは別棟の建物にあったことがわかる・・・
いやあ、これでもかこれでもかと不可能状況のてんこ盛り。
本格ミステリファン向けのアンソロジーに書かれた作品とは言え、
ここまでサービスするのはやはりスゴイ。
作中には、お約束通り<霊応堂>の見取り図が載っているのだけど
密室トリックの解明にこの手の図面類が役立つ事って滅多にない(笑)。
でも本作では、蘭子嬢の謎解きを読みながら眺めてみると、
「ああ、なるほど」って思える。このへんはよくできてる。
密室以外にも大小様々なトリックが詰め込まれていて
とても贅沢な作品だと思う。
ちなみに「泥具根」っていう、まずあり得ない名字なんだが
巻末の解説によると横山光輝のマンガ「鉄人28号」に登場する
マッド・サイエンティストの「ドラグネット博士」から
採ってるんだそうな。

「蘭の家の殺人」
文庫で200ページ近い中編。
軽井沢で暮らす蘭子の元を訪れたのは伊東香織という若い女性。
彼女の恋人・賀来慎児(がらい・しんじ)は洋蘭の研究家だった。
12年前、慎司の父・賀来レオナは服毒死していた。
パーティー中に青酸カリ入りのコーヒーを飲んだのだ。
警察は自殺との見解を示したが、その数日後、
レオナの妻・里利子が同じ青酸カリで服毒死してしまう。
現場は密室状態だったので、これも自殺として処理された。
そして12年後、香織との結婚を控えた慎児の元へ脅迫状が舞い込んだ。
『12年前の事件の真相をバラされたくなければ指示に従え』
慎児の両親の13回忌法要の日、賀来邸に集まった関係者たちを前にして
蘭子は二つの ”毒殺” 事件の真相を解き明かしていく。
「泥具根ー」は大がかりなイリュージョンみたいな作品だが
こっちはいわばテーブルマジック。
毒殺なんて地味なように見えるがトリックはなかなか意外なもの。
とは言っても、一般人というか素人には
この密室トリックのネタは考えつかないよなぁ。

「青い魔物」
文庫で70ページほどの作品。70ページって、
短編にしては結構長めなんだけど、この作品集の中では短く感じる(笑)。
鎌倉在住の白人男性2人が、噛み殺された死体で見つかる。
さらに2人とも、胃袋を食いちぎられていた。
死体を発見した大学生たちは、現場近くで
青い皮膚をした異形の怪物を目撃したという・・・
『怪奇大作戦』(古くてスミマセン)みたいな話なんだが、
事件解決に乗り出した蘭子嬢によって、合理的な解明が行われる。
しかしこれも、一般人には思いも寄らない事象を持ってくる。
まあ、蘭子嬢と知恵比べをしようというのがそもそも間違いで(笑)
我々読者は、彼女の快刀乱麻を断つ活躍を楽しめばいいのだよね。

nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2019-11-03 22:06) 

mojo

ピストンさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2019-11-03 22:07) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2019-11-03 22:07) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2019-11-03 22:07) 

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