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さよなら神様 [読書・ミステリ]


さよなら神様 (文春文庫)

さよなら神様 (文春文庫)

  • 作者: 麻耶 雄嵩
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/07/06
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

自称 ”神様” である小学生・鈴木太郎が登場する
「神様探偵」シリーズ第2弾。

主人公兼語り手は、久遠小学校の5年生・桑町淳。
幼なじみの市部始たちが結成した ”久遠小探偵団” のメンバーだ。
そこへ転校してきたのが鈴木太郎。

本当に神様なのかはともかく、彼の言葉は絶対的に正しい。
事件が起こるたびに「犯人は○○だよ」これで決まり。
しかし、彼は「結論」しか言わない。
しかもその内容は、突拍子もないくらい意外なもの。

かくして、淳たち探偵団のメンバーは困惑し、迷い、疑い、
そして「なぜそうなるのか」を知ろうとして右往左往する。
・・・というパターンの短編集。

「少年探偵団と神様」
隣の小学校の教師が殺され、淳たちの担任教師に容疑がかけられる。
しかし鈴木が告げた犯人は、同級生の父親だった。

「アリバイ崩し」
隣の近所に住む年配の女性が殺される。
鈴木は淳の同級生の母親が犯人だと告げる。

「ダムからの遠い道」
隣町の若いOLが殺された。
鈴木はなんと、淳たちの担任教師が犯人だという。

「バレンタイン昔語り」
去年のバレンタインデーの日、淳のクラスメイトだった河合高夫が
池で溺れて死んだ。事故死として扱われたその事件を鈴木に聞いた淳。
彼の告げた犯人の名前は「依那古(いなこ)朝美」。
淳の全く知らない名だったが、
間もなくして久遠小に「依那古雄一」という生徒が転校してくる。
淳が抱える ”ある事情” も明らかになる一編。

「比土との対決」
「さよなら、神様」
この2編は、物語的にもつながっていて前後編ともとれる構成。
淳のクラスのマドンナ的存在の新藤小夜子が殺される。
鈴木の告げた犯人は、これも同級生の比土(ひど)優子だった。


ミステリとしては各編独立しているのだけど
各キャラクター(とくに淳)を巡る物語としては
冒頭の「少年-」から最後の「さよなら-」まで、
一連の流れをもって展開していくので
緩いつながりの長編と思った方がいいかもしれない。

どの短編も、最後に淳がたどり着く ”真実” は
辛く悲しく、やるせないものばかり。
本書は、主人公・桑町淳が陰惨な事件を通して
”人生の苦い真実” と出会いながら葛藤し成長していく物語でもある。

いわゆる ”イヤミス” ともみることができるだろう。
(前作なんかモロにそうだったよなぁ。)

「神様探偵」シリーズはこれ以後発表されてないみたいだけど
「いいアイデアが浮かべば続きを書く」って
作者がどこかで書いていた記憶があるので
いつかまた鈴木太郎君に再会できるのかも知れません。

nice!(6)  コメント(5) 
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コメント 5

mojo

コースケさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-11-03 00:48) 

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-11-03 00:49) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-11-03 00:49) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-11-03 00:49) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2019-11-03 22:06) 

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