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ルパンの娘 [読書・ミステリ]


ルパンの娘 (講談社文庫)

ルパンの娘 (講談社文庫)

  • 作者: 横関 大
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/08/09
  • メディア: 文庫
評価:★★★★

本書の文庫版が発売されたのは2017年8月、
購入したものの、ずっと積ん読状態になってて
やっと読了したのは今年5月末。
本来なら、この本の読書録を書くのはもっと後になるはずだった。
だって2月に読んだ分さえ、まだ書き終わってないんだもの(^_^;)。

じゃあなんて前倒ししたかというと、
現在、同名のTVドラマが放映されているから。
これを書いてる時点で第1話が放送済み。

放送前に、深田恭子(主役の三雲華を演じる)の出てる
ドラマのCMを見てたかみさんが
「これ、どんな話なの?」って聞いてきたので
「原作なら家にあるよ」って渡したら読み始めて
「すごく面白い!」って感想が返ってきた。
とはいっても、現時点でまだ1/3位しか読んでないんだが(笑)。


図書館司書として働くヒロイン・三雲華(はな)は
”公務員” である桜庭和馬(かずま)と交際中。

華との結婚を考えている和馬は、彼女を家族に引き合わせるが、
桜庭家の職業を知った華は仰天する。

和馬は警視庁捜査一課の刑事、父・典和(のりかず)も警察官、
母・美佐子は鑑識課勤務、妹の香(かおり)は交通課の婦警、
祖父・和一は、かつて捜査一課長まで務めた元鬼刑事、
祖母の伸江は警察犬訓練士、おまけに飼っている犬まで元警察犬という
三代続く警察官一家だったのだ。

そして、華の一家もまた ”特殊” な職業だった。すなわち泥棒である。
父の尊(たける)は美術品専門、母・悦子は装飾品を専門に狙い、
祖母・マツは鍵師、祖父・巌(いわお)は伝説のスリ師として知られ、
兄の渉(わたる)は凄腕ハッカーとしてネットから情報を盗んでくる。

華もまた幼少時から巌に徹底的な ”英才教育” を受け、
10歳を迎えた頃には祖父をも超える ”才能” を示すようになった。

しかし華本人は ”家業” である泥棒を嫌い、
真っ当に生きて堅気な人生を送ることを願っていた。
司書として働いているのもそのためだったし、
”公務員” である和馬との結婚を望んだのもそのためだった。

桜庭家の職業に愕然とする華に、さらに悲報がもたらされる。
荒川の河川敷で、祖父の巌が他殺体で発見されたのだ。

そして和馬は、殺人事件の捜査の中で
華が伝説のスリ師の孫娘であることを知ってしまう・・・


現代版「ロミオとジュリエット」だけれど、
全編を通じてコミカルなラブコメ調で綴られていく。

考え事をしていると、無意識のうちに人の財布をスってしまう(!)という
華さんの設定をはじめ、登場人物みんながぶっとんだキャラ立ち。
警官のプライドと泥棒のプライドがぶつかりあい、
ページをめくるのが楽しくて止まらなくなる。

物語が進むにつれて、和一と巌が顔見知りであったことや、
二人の大学時代にまで遡る、桜庭家と三雲家の間の ”秘密” が
明かされてゆき、ひいてはそれが今回の事件の背景になっていて、
意外な犯人につながることなど、ミステリとしての要素もきっちり。

クライマックスは、豪華ホテルの結婚式場が舞台となる。
(誰と誰の結婚式かは読んでのお楽しみ)
禁断の恋の行方も、殺人事件の真相も、
全部まとめて披露宴の中で解決(!)というとんでもない展開を迎える。

いやあ、読んでるときも思ったけど、
これは連ドラよりは映画向けの素材だよなあ。
文庫で470ページとちょい長めなので、細部を刈り込んで
2時間くらいの映画にしたら面白いと思うんだけど・・・

あと、主役は若い二人なんだが、年長組も見逃せない。
特に祖父母世代の活躍は特筆もの。これを読んだ人はみんな、
こんな老人になりたいと思うんじゃないかな。
高齢者が読むと元気がもらえる(笑)作品だね。


最後にTVドラマ版について。

放映前のCMと第1話の前半しか見なかったので(おいおい)
大きなことはいえないのだけど、かなり原作から改編されてるみたい。

だいたい、華さんはあんなぴっちりスーツを着て
「悔い改めな!」なんて叫びません。もっと控えめな女性です。

 ああいう演出は「キャッツ・アイ」の下手なパロディみたいで
 やらなかった方がいいと思うんだけどなぁ・・・
 でも、派手な演出にしないと観てもらえないのかなあ・・・
 なんて考えてしまった(笑)。

なんで深キョンが主役なのかも考えてみた。
だって原作の華さんは25歳くらいのはずなんだけど
深キョンはそれより10歳くらい上でしょ?

思うに、このドラマ版のヒロインを演じるには次の条件が必要。
(1)連ドラの主役を張れるくらいネームバリューがある。
(2)ぴっちりスーツを着ることを嫌がらない。
(3)体のラインが出ても問題ない、つまりナイスバディ(笑)である。

これらを満たす20代半ばの女優さんがいなかったってことなんだろう。
特に(2)と(3)の条件が難しいかな(笑)。


小説のほうは、続編である「ルパンの帰還」が昨日(12日)刊行された。
なんと文庫書き下ろしである。今日、手に入れてきたんだけど
新キャラとして、今度は探偵一家に育った女性刑事が登場するらしい。
和馬とともに、華さんが巻き込まれた事件の解決に奔走するみたい。

 驚いたことに9月にはシリーズ第3弾が刊行予定とのこと。
 タイトルは「ホームズの娘」。
 新キャラの女性刑事さんが主役になるのかな?

それにしても、「ルパンの娘」のほうはTVドラマ化のおかげで
大々的に宣伝されて書店では大量に平積みになってるのに
続編のほうが見つからない。
本屋を2軒回ってみて、やっと1冊見つけたよ。
(その1冊も私が買っちゃんたんだが)
売れてしまって残ってなかったのか?
それとも、もともと仕入れ数が少なかったのか?

※追記
今日(14日)、某ショッピングモールに買い物に行ったついでに
そこにある書店をのぞいてみたら、
「ルパンの帰還」が6冊ほど平積みになってましたよ。
それなりに売れてるようで、めでたいことです。


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コメント 4

mojo

はじドラさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-14 22:34) 

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-14 22:34) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-14 22:35) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-14 22:35) 

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