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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第四章」感想・・・のようなもの その2 [アニメーション]


※ネタバレ全開です。未見の方はご注意ください。


▼第11話「デスラーの挑戦!」(後編)


■みんなで背負う

ヤマト艦内では脱出方法についての検討会。
「この空間内で波動エネルギーを解放し
 その際に生じる放射熱を波動エンジンに取り込む」
「輻射誘導か」
このあたりの理屈はさっぱりわかりません(^_^;)

とにかく、空洞構造を利用してワープをする、
一歩間違えれば 船が吹き飛ぶ、
そして島が「俺と機関長責任は五分五分」

ここで古代が割って入る。
「いや、みんなだ」「みんなで背負う」
「こんなところで足踏みはしていられない  」

第13話につなげるための台詞なのだろうけど、唐突感は否めない。
もう少し言いようはあるだろうに・・・なんて思ったりする。

■よく見ておきたまえ

一方、主導権を握ったデスラーは悠然と攻撃準備。

「はじめからそのつもりだった。我らの精神感応を断つために、ここに」
「私は屈辱を忘れん男だ」
「おわかりでしょうね、ここでそんなものを使えばどうなるか」
「空間そのものが燃え上がる。ヤマトも、大帝からお預かりした艦隊も」
「デスラー!」
「よく見ておきたまえ、それが君の仕事だろう?」

デスラー砲発射、吹き飛ぶラスコー級、
そして空洞内を進むデスラー砲のビームがヤマトに迫る。

「余剰次元の爆縮を検知」
「波動エネルギーがこの空間とぶつかり合って衝撃波を生成している」
「古代! 重力アンカーを開放し、衝撃波を受け止めれば
  ヤマトは波動エンジンに頼らずともワープできるはずだ!」
「輻射誘導波接近」

ここでも土方の台詞が都合が良すぎるような。
危機がやってきても謎の理屈で切り抜ける。
もうちょっと言い様はなかったのか?

■イナーシャル・キャンセラー?

ヤマト艦尾から迫る輻射誘導波。

ここで島は(たぶん)「イナーシャル・キャンセラー、最大!」
って言ってる。英語で書けば inertial canceller か。

「艦尾接触、押されています!」
「全吸入バルブ開放」
「全艦ワープに備えよ!」

この「イナーシャル云々」という台詞は
「トップをねらえ!」の第4話のオマージュなのかも知れない。
同じ台詞がでてくるからね。

inertial canceller は、SFでいうところの「慣性中和装置」とか
訳されるものだろう。慣性質量を小さくすることができれば、
物体をより小さな力で加速することができる。a=F/m だからね。

 もし慣性質量を0にできれば加速度を無限大にできる。

「トップ-」では、亜光速で飛行する宇宙怪獣を
ガンバスターが真っ正面から受け止めるシーンで使われた。

今回はヤマトの慣性質量を限りなく小さくすることで、
衝撃波に飲まれず、それに "乗って" 前進することを可能にしている、
という理屈づけなのだろう。

おそらく "重力アンカー" というのはこの真逆のはたらきをするもので
慣性質量を限りなく大きくすることによって、
波動砲の反動を喰らっても船体が後退しないようにしているのだろう。

 たぶんヤマトは、慣性質量を可変させるシステムを積んでいる。

とは言っても、上に書いた内容はBDを何回か見直してみて思ったこと。
しかも私個人の解釈だから、正しい保証はない。
このシーンを観て「よく分からなかった」という感想はごく普通だろう。

製作している側はそれなりに理屈づけをしているんだが
お世辞にも万人にわかりやすいとは言えない。
単に「謎空間に入って、危機が来たけどワープで脱出」って
安易な展開に思われても仕方がない。

「波動エンジンを使わなくてもワープできる云々」を含め、
この異次元空間に関する展開をみていると、
同じことをするのでも、もう少し語りようがあったのではないかなあ。

■ガーレ、デスラー!

「ヤマト ジャンプしました」
「相変わらずの強運」

さして残念そうでもないデスラー。ヤマトが脱出するのは織り込み済み?
この程度で沈んでもらっては困る、くらいは思ってそう。

「コアを失った異空間はじきに消滅するだろう」
「なんのつもりだ」
「ミル君、この空間が崩壊してコスモウェーブが戻れば
 きみはうれしいんじゃないのかね」

そして、ガミラス国家のテーマと共にワープアウトする艦隊。
スクリーンに映るのはなんとタラン弟。

「総統、全員ご帰還をお待ちしておりました」
「変わらぬ忠節、心より感謝する」

ここでタランの表情が一瞬かわるのだが・・・
これはどう解釈すればいいのか。

「ガーレ、デスラー」
「どうかね、これが真のわが艦隊」

ミルに銃を突きつけて
「大帝にはいずれ知れる。まあ、そうあわてるな」

■雪と土方

古代からの艦長就任を断る土方。

「今日は敵の罠にはまった。自分の尻拭いをしただけだ」
「心配はわかるが、いま古代が向き合っているのは
 自分で乗り越えるしかない壁だ。
 おまえは倒れそうになった時に支えてやればいい」
「お前のご両親も信じ合い、支え合っていた。お前たちにだってできる。
 どんなときも人間はそうして生きてきたんだ」

ここでの土方は上官と言うよりは古代に成長を促す指導教官か。
そしてここで始めて出たのが雪の両親の話題。
さて、2202では雪の出自についても触れると聞いているんだが・・・
果たして雪は本当に地球人なのか?

■第一艦橋

「さっきのデータだが通常の三倍の出力でワープに突入しとる」

"通常の三倍" www。

「異空間の崩壊をもたらしたものは何だったんですか?」

真田「おそらく」キーマン「デスラー砲」
古代を見やる島。古代は険しい顔。

南部くんの「デスラー戦法!」はありませんでしたね。
まあ、なくて当たり前なんだが、ないならないで物足りない気も(笑)。

■デスラー復活

いよいよ本格登場となったデスラー。
とにかくこの第11話では、ひたすらカッコいいデスラーを描くのが
目的のひとつのようにも思う。

ただ、狂喜乱舞している全国一千万のデスラーファンの方には
誠に申し訳ないのだが、
私はデスラーというキャラにそんなに思い入れがないんだよねえ。

より正確に言うと、TVシリーズ第1作のデスラーは
実に魅力的だったと思う。
「さらば」での復讐鬼としてのデスラーも、
その潔い最期もあって嫌いではない。

それが、「ヤマト2」においてヤマトに対する恨みを捨て、
宇宙の彼方に旅立っていったあたりから怪しくなる。

そして「新たなる旅立ち」以降、なし崩し的にヤマトに、
そして古代に対して親愛的になるデスラーには、
正直なところ違和感しか感じなかったものだ。

 BDに収録のEDでは、その「新たなる」をなぞるような
 デスラーが描かれている。
 ノイ・デウスーラの甲板に佇み、宇宙の風(!)に髪をなびかせ、
 後ろ姿の古代と対峙する。
 このED、往年のデスラーファンが大喜びしているだろうなあ・・・
 でも上に書いたとおり、私はさほど感慨を覚えないんだよねえ。

さて、2202で復活した新生デスラーはどのような道を歩むのか。

おそらく、第五章ではヤマトとデスラーの再戦が描かれるのだろう。
結果は分からないが、第14話におけるテレサの "預言" によれば
おそらくガトランティスとヤマトの最終決戦では、
デスラーはヤマトと共闘するのだろう。
そこにどうガミラス本国が絡んでくるのかは不明だが・・・

共闘自体を否定はしないが、
願わくば旧作のような "馴れ合い" にならず、
最後まで緊張感を持った関係で描いてほしいものだ。

「私はガトランティスと戦いたいから戦うのだ。
 ヤマト? 地球? そんなものは私の知ったことではないよ」

くらいのことは言ってほしいなあ。

■デスラーの目的

公式サイトの第五章のSTORYに
デスラーが率いるのは旧体制派とあるので
現体制(ヒス&ディッツ&ユリーシャ)はとりあえず健在なんだろう。
まあ、地球に大使だって派遣してるし、
定期便も運行されてるんだからねえ。

ならば、デスラーの目的は現体制を倒してバレラスに帰還することか?
まあいきなりは無理だろうから、手始めは
現体制の "本家" ガミラス帝国に対抗して、
旧体制派の星系を根拠地に "元祖" ガミラス帝国(笑)の樹立か?

■タランの真意

さて、ガミラス現政権内にいたはずのタラン弟がデスラーに合流。
その真意は何か。いくつかのパターンが考えられるんだが

(1)本心からデスラーに忠誠を誓っている場合

a:旧体制崩壊時からデスラー支持だったが、
 それを隠して新政権に参加、デスラー健在を知って離反。
b:旧体制崩壊時には反デスラーであったが、
 植民地の離反を止められないグダグダ政権になったこと
 or 現体制下で冷遇された etc で失望して離反。

(2)内心は反デスラーである場合

a:兄タランを助けるため。
b:現政権から密命を受けて潜入、
  機会を見てデスラーの足を引っ張る(笑)ため。
c:現政権内に潜む旧体制派を引き連れて離脱、
 結果的に現政権が一枚岩になり安定化することを狙う。
 また、旧体制派も一カ所にまとまるので殲滅しやすくなる。

 おお、(2)のc は「装甲騎兵ボトムズ」の
 「クメン編」のパターンですねえ。
 でもこの場合、タラン弟は自分の命は捨てる覚悟が必要だけど。

公式サイトの「愛の宣伝会議⑤」では、
「デスラーに再会できて感激してる」とか言ってたから
普通に考えれば(1)なんだろうけどね。実は(2)のパターンだった、
っていうのもあり得なくはない。でも可能性は薄そうだが。

まあ、デスラーと言えばタラン、
そしてタランと言えば太い方(笑)だからね、
この辺も旧作に寄せてきたんだろう。

■第11話まとめ

脚本にところどころいちゃもんをつけたけど
もうちょっと言い回しに工夫があれば
ずいぶん不自然さが回避できたような気がしてて、
もったいないと感じてる。

 説明が少ないと「わかりにくい」と文句を言われ
 説明が多すぎると「ご都合主義」と叩かれる。
 つくづくSFの描写は加減が難しい。

ストーリー自体は良くできてると思う。
デスラーの視点から見ると、今回は100%目論見通りに
事態が進行したわけで、笑いが止まらないだろう。

まさにデスラーの、デスラーによる、デスラーのための回。

第五章で本格的にヤマトと激突し、
おそらくガトランティスとの最終決戦でも
大きな役割を果たすであろうデスラーを、
充分にアピールできたのではないかな。


(つづく)

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コメント 4

めとろん

mojoさん、こんばんは。

森雪の出自、いよいよ触れてきましたね。ネットではスルーされているか又は敢えて避けられているのか、ほとんど話題になりませんが個人的には2199の時から妄想しているので(笑)、今後が楽しみです。

土方さんは嘘は言わないと思うのですが、「両親」が実の親なのかそれとも育ての親なのか…
むらかわ版コミカライズの様な展開(すぐに電子版から削除)になるとショックですが。

デスラー総統はとてもカッコよく描かれていますね。まあ、2199の終盤がかなりアレだったので(笑)、2202では汚名挽回(?)してもらいたいものです。
私も総統には「新たなる…」やヤマト3の様な立ち振舞いは望みませんが、「私の心ははるかに君たちに近い」の名言は聴いてみたい様な気がします。

タラン弟の総統への謁見、まさかと思いました。まあ、実存する閣僚クラスである程度ネームバリューがあるので適任なのでは。
あの場面でゲール君なんかが出ちゃうと場内は沸騰してそれどころじゃなくなっちゃいますからねえ(笑)

私も初見で観た時は、感激に打ち震えてるのかなとも思いましたが、回りの友人たちは「あまりのサプライズに声も出ないんじゃ」「恐怖のあまり、思いもしないことを言わされている」「怖くて泣きそうだ」とか考察は様々でした。

現政権はヒス君とディッツパパだから、かなりまともに政治をやっている筈なのですが、その上の総督が天然ですからねぇ(笑)
ヒス君が天然総督に振り回されてメンタルをやられていないか心配です(爆)

ありがとうございました。
また楽しみにしております。
by めとろん (2018-02-21 18:49) 

mojo

めとろんさん、こんばんは。

>森雪の出自、いよいよ触れてきましたね。

雪の出自については、けっこうストーリーに
大きく関わってくるような気がしてます。
どう関わるのかは見当もつきませんが・・・

"出自" なんてわざわざ断ってるんですから、
雪が外務次官・森直之夫妻の実子でないのは
ほぼ確定でしょうねえ・・・

でも実際、この夫婦は土方が言うように
とても仲がよかったんだろうと思います。

>「私の心ははるかに君たちに近い」

たしかに、今回のガトランティスはメンタリティが違いすぎます。
逆に、地球とガミラスは瓜二つなくらい感性が共通ですよね。

>あの場面でゲール君なんかが出ちゃうと場内は沸騰して

ああ、すご~く見てみたかった気がするシーンですねえ(笑)。

>私も初見で観た時は、感激に打ち震えてるのかなとも思いましたが、

公式サイトのネタバレ動画で言ってることが
最終的に正しいとは限りませんからねぇ。
まあこのへんもいろいろ想像を巡らす余地がありそうです。

>現政権は・・・(中略)・・・その上の総督が天然ですからねぇ(笑)

ますますヒス君の目が血走ってしまいますね。
胃に穴が空かなければいいのですが(笑)。

ありがとうございました。
また、よろしくお願いします。

by mojo (2018-02-21 21:25) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-02-21 21:25) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-02-21 21:25) 

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