SSブログ

天空の少年探偵団 [読書・ミステリ]

天空の少年探偵団 (創元推理文庫)

天空の少年探偵団 (創元推理文庫)

  • 作者: 秋梨 惟喬
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2012/08/11
  • メディア: 文庫



評価:★★

東京都の西部に位置する桃霞市の5人の小学生が結成した
「少年探偵団」シリーズ第二弾。今度は長編である。


6年生の夏休み。

資産家・西大寺剛に招かれた少年探偵団一行は、
桃霞市の西の山奥にある "天空館" に招かれる。
5階建てほどの高さのある塔を持つその館に、
西大寺夫妻は探偵団と5人の友人たちを呼び寄せ、
夏の休暇を過ごそうとしていた。

しかしその夜、西大寺の友人の一人、建築家の下津井が
塔の最上部にある展望台で遺体となって発見される。

100キロ超の体重で、足が不自由なために車椅子だった被害者を、
階段もエレベーターもない塔の展望台までどうやって運んだのか。
屋敷全体は厳重にロックされ、外部から人が侵入した形跡はない。

不可能状況下の殺人事件に巻き込まれた探偵団だったが
名探偵のはずの月岡くんは、去年の事件のトラウマを引きずっていて
話すことも出来ないほどふさぎ込んでしまっていた・・・


この作品で一番ミステリ的興味を惹くのは、
人間移動のトリックだろう。
実際、かなり思い切った大仕掛けが用意されている。
しかし読んでいくと、このトリック自体が
本作のメインではないことに驚く。
移動方法が明らかになった後に、
ミステリとしてのヤマ場が設定してあるのだ。

事件全体もなかなか手の込んだつくりになっているし、
犯人の正体も、その意図も実に意外なもので
実際かなり驚かされる。

ただ、ねえ・・・

よっぽどひねくれた人ならともかく、
普通の人なら、読み始めたらやっぱり一番気になるし期待するのは
やはり被害者をどうやって移動させたか、だと思う。

私も読みながらああだこうだ考えて、一つ思いついたのがあって
これならいけるかも、なんて思ってた。
かなり荒唐無稽な部類だけど、そもそも本作品は
「少年探偵団」なのだから、ちょっとばかり無理があっても
この世界ならOKなんじゃないかなあ・・・なんて思ってた。

で、結末近くで明かされるトリックなんだが・・・
いやあ、予想の斜め上どころではない。
遙か彼方へ跳んで行ってしまったような気分である。
まあ好き嫌いはあると思うのだけど、
私は正直言ってがっかり、かなあ。

 私の予想が外れたからではなく、
 「いくらなんでもこれはないだろう」って思ったから。
 もちろん「いや、これもアリだよ」って思う人も
 いるとは思うけどね、少なくとも私的にはアウト。

ここで一気にテンションが下がってしまって
作者が一番力を入れたであろう "犯人像" の解明部分も、
ちょっと斜に構えて読んでしまった。

 おそらく作者がいちばん、して欲しくない読み方を
 してしまったのだろう・・・とは思う。
 でもまあ、作品をどう読むかは
 基本的には読者に任されてるはずだからねぇ・・・

まあ、普通なら誰も使おうとは思わないトリックを
堂々と披露してみせるその度胸はスゴイし
トリック以上に犯人の設定も凝っていて、
ものすごく力が入っているとは思うのだけど。

 このトリックを使うなら、もっと外連味たっぷりに
 不可能性を強調する展開をたくさん盛り込んでも
 面白くなったんじゃないかなぁ・・・なんて思うが
 そんなことしたらこの2倍の長さが必要になるね。


なんだかさんざん文句を言ってしまったが、
それは小説だからかも知れない。
例えばこれが「名探偵コナン」とか「ルパン三世」みたいな
映像作品で使われていて、クライマックスでそれが明かされたら
「おお、すごい!」って感動してしまうかも知れない。
ビジュアル的にはすごく面白いとは思うから。


nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 2

mojo

makimakiさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2015-02-21 20:15) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! よろしくお願いします。
by mojo (2015-02-22 20:40) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0