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魅入られた瞳 南青山骨董通り探偵社II [読書・冒険/サスペンス]

魅入られた瞳~南青山骨董通り探偵社II~ (光文社文庫)

魅入られた瞳~南青山骨董通り探偵社II~ (光文社文庫)

  • 作者: 五十嵐 貴久
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/12/25

評価:★★★

前作のラストで、大企業の営業ら探偵へと転職した井上雅也。

しかし、与えられる仕事は地味なものばかり。
夜は探偵社の先輩・立木につき合わされて呑み回る日々。

不満が溜まってきたところで新たな仕事が入る。
商社マン・高岩悟の妻を病院に送迎するという依頼だ。

高岩がワーカホリックなせいか、彼の妻・志津恵は体調を崩し、
軽度の鬱病と診断されていた。

広尾にある自宅から、高岩の遠縁で飛永(ひなが)という医師が経営する
三鷹のクリニックまで送り、診察が終了後は家まで送り届ける。

これが探偵の仕事なのかといささか不満ながら雅也は引き受けるが
志津恵の美貌、清楚さ、寂しげな佇まいにすっかり魅了されてしまう。

雅也は嬉々として仕事に励むことになるが、
送迎に遣う高岩所有のワゴン車はなんだか具合が今ひとつ、
飛永のクリニックも造りは古く、ボロボロだ。
送迎中、謎の車が尾行しているような気がする。
はてには、クリニックの駐車場に止めておいたワゴン車が消え、
再び現れるという不可解な事態が。

この仕事の裏には何かがある・・・

序盤は地味な仕事の連続にうんざりする雅也が描かれるが
あとあと、このエピソードに意味があったことがわかる。

中盤では、謎の出来事の連続に不安を感じながらも、
美貌の人妻に横恋慕した雅也のもやもやがユーモラスに綴られる。

そして後半1/3ほどになると、雰囲気は急転、
緊張感が一気に盛り上がり、前作からは想像できないような
デンジャラスな場面が展開していく。

とはいっても、全体的にはコメディタッチで進むので、
肩の凝らない読み物になっている。
文庫で230ページほどで、早い人なら2時間ほどで読み終わるだろう。
手軽に楽しい読書の時間を得るにはちょうどいいかも。


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