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テーラー 人生の仕立屋 [映画]

以前、「ローズメイカー」というフランス映画を観たときも思ったが
ヨーロッパの映画は、いわゆるハリウッドの大作映画とは
かなり異なる雰囲気のものなのだなあと思った。

 ハリウッドでもその手の映画は作ってるのだろうけど、
 私が見てないだけなのだろう。
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さてギリシャ映画を見たのはおそらく私の人生で最初じゃないかな。

公式サイトからあらすじを引用しながら、
この映画を観ていて思ったことを書いていこう。

アテネで36年間、高級スーツの仕立て屋店を父と営んできた50歳のニコス。
無口で内気な性格で、店の上の屋根裏部屋に一人で住んでいる。
ギリシャを不況が襲うなか、長年大切に保管してきた
お得意様の型紙を整理する日々が続く。

 冒頭はほとんど台詞がなく、映像で見せていくのだが、
 状況は充分に分かるように描かれているのは上手いと思う。

そんな中、銀行から突然店の差し押さえの通知が届き、
ショックで父が倒れてしまう。
父のためにもなんとか店を立て直したいニコスは、
病院で見たキャスター付きの台をヒントにある事を思いつく。
廃材を使って足踏みミシンを乗せた屋台を作り、
なんと移動式の高級スーツの仕立て屋を始めたのだ。

 仕立屋一筋に生きてきた割には、手先が器用なようで
 独力で屋台を創り上げてしまう。DIY関係の仕事に転職しても
 食っていけそうじゃん、なんて思った(笑)

 しかもこの屋台、人力で引っ張るだけでなく、
 ニコスが所有するバイクの後ろにつないで、リヤカーみたいに
 牽引しても大丈夫なくらいの強度を持つ。たいしたもの。

だが思い切って店を飛び出してはみたものの、
値段が高いオーダーメイドスーツは道端では全く売れず、商売は傾く一方。

 生来口下手なこともあるが、安易に値引きもしないなど
 仕立屋としての矜持も感じる。
 とは言っても、背に腹はかえられないわけで・・・

途方に暮れていると、ある女性に声をかけられる。
「娘の結婚式用のウェディングドレスは作れる?」
これまでは紳士服一筋のニコスだったが、父のため、
そして大切な店のため、初めてのウェディングドレス作りに挑むことに。

ニコスは隣に住む親子、心優しいオルガと元気な娘のヴィクトリアに
手伝ってもらい、女性服の仕立てを学び始める。

 紳士服専門のニコスだけど、ウェディングドレスもちゃんと作れる。
 もちろん仕事場にはドレスの写真が散乱するなど、
 かなり研究熱心なところもうかがえる。
 もちろん、オルガとヴィクトリアの協力あればこそだが。

そして3人で力を合わせて、ニコスの屋台には
カラフルなスカートやワンピースが少しずつ増えていくのだった。
はじめはオルガとぎこちない会話しか出来ないニコスだったが、
無邪気なヴィクトリアの助けも借りながら、お互い徐々に心を開いていく。

 こう書かれていると、ニコスとオルガのラブストーリーに移行するかと
 思うかもしれないが、そうは問屋が卸さない。
 なにせオルガには、タクシー運転手を生業としている夫がいるのだ。
 妻が隣家の仕事に傾倒していく状況は、
 旦那としては当然面白くないわけで・・・

世界に1点のニコスのオーダーメイドのウェディングドレスは
次第に評判になり、アテネの女性達の間でたちまち大人気に。
だが昔気質な父は女性服を作るニコスを
なかなか認めようとはしてくれない。
その一方で、青空の下で店を開けば行列が出来るほどになり、
商売は軌道にのったかのように見えたのだが──。

ハリウッド映画なら、オルガは旦那と別れてニコスとともに商売に励み、
やがて借金も返してハッピーエンド、となるところだろうが
この映画はそういう予定調和を目指さない。

そこのところをどう捉えるかで、この映画の評価も決まるかな。

「映画なんだから、やっぱり楽しく終わってほしいな」って
考える人からは不評かも知れないが
「でも、人生ってそういうものだよね」って共感できる人なら
この映画を評価するだろう。

私は基本的に映画については前者の考え。
映画館に行くのは、金を払って ”2時間の夢の時間” を買う行為、
って思ってるから。

”つらい現実” や ”哀しい事実” なんて、金を払わなくったって
身の回りにいくらでも転がってるんだもの。

でも、この作品を観ていて、頭の中の片隅に
「こんな映画があってもいいかな」って感じる部分があったのも事実。

これはあれかね。
やっぱトシを取ったせいなのかなぁ(笑)。


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