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ステルス潜水艦を奪還せよ・上下 [読書・冒険/サスペンス]


ステルス潜水艦を奪還せよ(上) (新潮文庫)

ステルス潜水艦を奪還せよ(上) (新潮文庫)

  • 作者: クライブ カッスラー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/07/29
  • メディア: 文庫
ステルス潜水艦を奪還せよ(下) (新潮文庫)

ステルス潜水艦を奪還せよ(下) (新潮文庫)

  • 作者: クライブ カッスラー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/07/29
  • メディア: 文庫
評価:★★★

NUMA(アメリカ国立海中海洋機関)の長官という地位にありながら
ひとたび事件が起これば自分から渦中に飛び込んで
様々な世界的陰謀を阻止してきた主人公ダーク・ピット。

息子ジュニアと娘サマーも、ピットの右腕である
アル・ジョルディーノとともにNUMAで働き、
嫁さんであるローレン・スミスは下院議員、
かつての上司サンデッカー提督は副大統領と
<ダーク・ピット・ファミリー>も健在。

シリーズも本作を以て第22作目となる。


アメリカ海軍は、今後20年間の海洋戦術面での優位を確立する
画期的な攻撃型ステルス潜水艦を完成させようとしていた。

既に船体の組み立ては終了し、あとは新駆動システム
(作中の描写から察するに電磁推進の改良型か?)を使ったモーターを
搭載すれば、従来の潜水艦の数倍の水中速度を実現できるという。

しかし時を同じくしてモーター開発担当の科学者ハイランドと
その助手が行方不明となってしまう。

一方、チリの沖合でバカンスを楽しんでいたピット夫妻だったが
二人のモーターボートに向かって巨大な貨物船が突っ込んできた。
辛うじて難を逃れた二人だが、貨物船に乗り込んだピットが見たのは
乗組員たちの異様な変死体だった。

サンデッカー副大統領に呼び出されたピットは、
ハイランドの探索を依頼され、NCIS(海洋犯罪捜査局)の
捜査官アン・ベネットとともに調査を開始するが、
完成したモーター本体や潜水艦の設計図もまた何者かに奪われてしまう。


今回の黒幕はオーストリア人実業家エドゥアルド・ボルク。
世界中のレアアースの流通を牛耳るため、精錬工場をテロで破壊したり
鉱石を積載した輸送船を襲っていた(ピットが遭遇した輸送船もこれ)。

 ちなみにボルクは、対人制圧用に ”謎の新兵器” を繰り出してくるんだが
 その正体は「ガンダムSEED」を観ていた人ならすぐ分かる(笑)。

レアアースは情報通信機器の電子材料として、
そして電池・モーター・合金等の素材としても重要。
つまりハイテク産業には欠かせない資源なのだが、本書に登場する
新駆動システムのモーターの心臓部にも使われている、という設定。

そして今回のボルクの標的は新型潜水艦。
手に入れたモーターの試作品と船体の設計図を、
中国人民解放軍に高く売りつけようと画策するのだが・・・


毎度のことながらストーリーの運びは手慣れたもの。
大海でのアクションのみならず、陸上ではカー・チェイス、
孤島の収容所に捕らわれたピットが強制労働をさせられたり
さらにクライマックスではパナマ運河を舞台にするなど
活劇の目先を変えて飽きさせない工夫はさすが。

払った値段分だけは十分に楽しませてくれるとは思うのだけど
ちょっとだけ苦言を呈させてもらうなら、このタイトルだろう。

「ステルス潜水艦を奪還せよ」なんて掲げられたら
試験航海中の最新鋭潜水艦が何者かに
ハイジャック(シージャック?)されて・・・
なぁんて展開をまず予想してしまうのだけど
実際に奪われたのは部品の一部と設計図なわけで
”看板に偽りあり” とまでは言わないが
ちょっとイメージが違うんじゃないかなぁ・・・

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