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Question 謎解きの最高峰 ミステリー傑作選 [読書・ミステリ]

Question  謎解きの最高峰 ミステリー傑作選 (講談社文庫)

Question  謎解きの最高峰 ミステリー傑作選 (講談社文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/11/13
  • メディア: 文庫



評価:★★★

日本推理作家協会編纂によるベスト短編ミステリ集。
2012年版(2011年発表の作品)を文庫二分冊で刊行した、その2。
ちなみに「その1」は以前記事をupした『Junction 運命の分岐点』。

「足塚不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦』(鶴書房)」三上延
 ベストセラー『ビブリア古書店の事件手帖』シリーズの一編。
 題名からしてアヤシげだが、実在する本らしい。
 某巨匠漫画家が若い頃に別名義で発表した作品とのこと。
 須崎という男がビブリア古書店に現れ、
 店主・栞子に表題の本の買い取りを依頼するが
 なぜかその途中、須崎は立ち去ってしまう。
 しかし栞子は、ホームズばりの推理で須崎の家の条件を絞り込み、
 店員の大輔とともに捜し当てることに成功する。
 しかし彼の家で問題の本を見た彼女は意外な事実にぶち当たる・・・
 栞子さんの魅力、そして彼女の母の秘密、
 語り手である大輔が彼女に抱く 切ない恋心、
 そして古書にまつわる謎解き。
 たしかにベストセラーになるのもうなずける。
 このシリーズは未読だったんだけど読んでみようかなあ・・・

「三階に止まる」石持浅海
 短編集で既読。
 "僕" の住むマンションのエレベーターが、
 誰もいないのに、必ず三階で止まる。
 業者が点検しても異常はないという。
 主人公は、同僚・小泉とともにさまざまな解釈を試みるが・・・
 ミステリというよりはSF、それもホラーに近いかな。

「新陰流 "月影"」高井忍
 短編集で既読。
 12人の盗賊を斬り殺した柳生十兵衛。
 しかしそのうちの一人・中村平太夫の娘・千織は
 父が盗賊だったとは信じられず、十兵衛に対して仇討ちを企てる。
 そして武者修行中の毛利玄達もまた、助力を申し出るのだったが・・・
 シリーズものならではの意外な展開。

「言うな地蔵」大門剛明
 政治家であった妻の父から地盤を引き継いだ白崎は
 代議士として順調に当選を重ねていた。
 しかし彼には、30年前に農夫・野路(のじ)を
 猟銃で撃ち殺した過去があった。
 総選挙が迫る中、地盤を走り回る彼の元に
 30年前の殺人を告発する手紙が届く。
 大半の読者が想定するだろう展開そのままに進行するのだが・・・
 いやあ、この作者、上手いです。
 本書収録7編中のトップ2のひとつ。

「現場の見取り図 大癋見(おおべしみ)警部の事件簿」深水黎一郎
 マンションの一室で起こった殺人事件に出動した大癋見警部。
 しかし、被害者は危険人物として公安からマークされており、
 現場の隣の部屋には公安部の刑事が詰めていて
 立ち入りはすべて監視されていたという実質的な密室状況にあった。
 タイトル通り現場の見取り図が載っている。
 (この手の図を見てトリックが分かった試しがないのだがwww)
 確かに超意外な真相なんだが、結果として脱力系のバカミス。
 これを「ベストミステリー」に入れるのはいかがなものか。
 (バカミス自体は好きだよ。でもねえ・・・)

「ダークルーム」近藤史恵
 デザイン系の専門学校で写真を学ぶ琢巳(たくみ)は
 母と妹から逃れるように一人暮らしをしている。
 同級生の榊と恋仲になるが、ある日彼女は失踪してしまう。
 人の悪意を描くのがミステリではあるのだけど・・・
 こういう話は私の好みではありません。

「原罪SHOW」長江俊和
 人の死ぬところを見せるツアーがあるという噂が出回る。
 TVの報道局に勤務する "私" は、ネットをたぐって
 このツアーに潜り込むことに成功する。
 マイクロバスに集った "客" を乗せ、向かった先は山奥の峠道。
 止まった車から見えたのは、一人の男が
 金属バットで滅多打ちされ、灯油をかけて焼き殺されるシーンだった。
 "私" はツアーの背後関係を探り始めるが・・・
 終盤は読者の予想を上回る展開。いやあこれも上手い。
 本書収録7編中のトップ2の、もうひとつ。


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