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つめたい転校生 [読書・ミステリ]

つめたい転校生 (角川文庫)

つめたい転校生 (角川文庫)

  • 作者: 北山 猛邦
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/03/25
  • メディア: 文庫



評価:★★★

読書録によると、この本を読んだのは7月中旬。
感想をupするのに2ヶ月近く間が空いてしまったが
前の記事に書いたように、8月はもう
記事を書く暇も惜しんで活字を追ってたからねえ・・・

在庫を少しでも減らせるよう、ぼちぼち書いていきましょう。

さて。

本書は、人と、"人でないもの"との間に芽生えた
切ないロマンスを描いた短編6作を収録した作品集である。
全般的にミステリというよりはファンタジーな雰囲気。
まあテーマからしたら、そうならざるを得ないのだろうけど。


「かわいい狙撃手」
 女子大生の"わたし"が一目惚れした彼は、
 いつも大きな手提げケースをさげていた。
 そしてビルの屋上で何かしている。
 ひょっとして、ケースの中身は銃?
 彼は凄腕のスナイパー?
 いやあ、"人ならざるもの"とはこういう意味か、
 ってよくわかる作品です。

「つめたい転校生」
 隣のクラスに転校してきた女の子。
 "僕" は、彼女の姿に数年前に出会った女の子の面影をみる。
 そんな中、彼女は衆人環視の倉庫から忽然と姿を消してしまうが・・・
 ミステリのようで実はホラー?
 ラストは実に切ない。

「うるさい双子」
 女子大生の弓子は、夏休みに東北の旅館・睡蓮荘で
 泊まり込みのバイトをすることに。
 しかし初日に出会ったバイトの先輩・シオネは
 何ともいけ好かない若者。
 そして、旅館の離れにはシオネによく似た青年・ハルが住んでいた。
 本書では珍しくハッピーエンドっぽい?

「いとしいくねくね」
 スランプに陥った漫画家の "私"。
 そんなとき、同じマンションの住人が変死する。
 死ぬ前に、"異様なもの" を見たらしい。
 "私" は、少年の頃に見た、人に死をもたらす
 『くねくね』の記憶をたどり始めるが・・・
 ラストは、ちょっと驚きと切なさと。

「はかない薔薇」
 大学教授が殺害された事件の目撃者はなんと薔薇だった。
 『アンブリッジ』と名付けられた薔薇を刑事の車井が
 手に取ったとき、彼の眼前に事件の光景が浮かんだ・・・
 これもいがいなところで切ない話だ。
 いやあ、たしかにこれも人外ではあるな。

「ちいさいピアニスト」
 森の中にある、住む人もない古ぼけた洋館。
 しかしいつからか、洋館から夜な夜な
 ピアノの音が響いてくるようになった。
 好奇心に駆られて洋館を調べていた "私" は、
 洋館の中に青年の姿を見つけるが・・・
 これもある意味ハッピーエンドなのかもしれないが、
 人外との恋がみのることって果たして幸福なのかどうなのか。