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先生、大事なものが盗まれました [読書・ミステリ]

先生、大事なものが盗まれました (講談社タイガ)

先生、大事なものが盗まれました (講談社タイガ)

  • 作者: 北山 猛邦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/04/19
  • メディア: 文庫



評価:★★☆

このミステリはかなり世界設定が特殊だ。

まず、舞台となるのは凪島(なぎのしま)。
4万人ほどの人が住む島だ。
場所は明示されていないが、(たぶん)日本のどこかにある(笑)。

島の形はほぼ正三角形をしていて、
それぞれの頂点にあたる場所には3つの高校がある。

北の端にあるのが灯台守(とうだいもり)高校。
ヒロインの神灯(しんとう)雪子が通う学校である。

西南の端には御盾(みたて)高校。
島のエリートが集う学校で、警察や法務官僚を輩出し、さらには
多くの卒業生が諜報員や私立探偵として働いているという。
人呼んで「探偵高校」。
ここには、雪子の幼なじみの男の子、千歳圭(ちとせ・けい)が通う。

そして東南の端には黒印(こくいん)高校。
かつて流刑島だった凪島には、今でもその末裔が多く暮らしている。
彼らには、なぜか体のどこかに黒い痣があるという共通した特徴がある。
島の人口の1/3を占める彼らは大きな勢力であり、
また伝統的に(?)「盗む」技術に長けていて
時の権力者たちにとっては "重宝" な存在として利用されてきた。
黒印高校にはその「黒印を持つ末裔たち」が入学し、
「盗む技術」を磨いているという。
そしてここにも、やはり雪子の幼なじみの
小舟獅子丸(こぶね・ししまる)が入学していた。

本書では、この3人組が出会う3つ事件の顛末を描いている。


ここまで書いてきて思ったけど、かなりむちゃくちゃな設定だなあ。
たぶん「架空の世界のファンタジック・ミステリ」へと
振り切ってしまうためなのだろうけど、
この島の存在自体にものすごい "仕掛け" が
仕込んであるような気もしないでもない(笑)。

そのあたりは現時点では不明だ。

ただ本書の最後では「つづく」とあるので、続巻の予定があるのだろう。
物語が進むとまたいろいろなことが明らかになってくるのかもしれない。


なんだか設定を紹介するだけで疲れてしまった(笑)。


本書には3編を収録している。

「第一話 先生、記念に一枚いいですか」
 灯台守高校の入学式の朝、新入生の雪子は
 遅刻しそうになるところを親切なバスの運転手に救われる。
 しかしその運転手がなぜか雪子の教室に現れる。
 彼こそ雪子のクラス担任・夜去廻(ヨサリ・メグル)だったのだ。
 入学式後に集まった雪子たち3人組。
 雪子とシシマルは、チトセから
 御盾高校への入学早々に与えられた課題について相談される。
 それは「未解決事件を解決せよ」というもの。
 その事件とは、島唯一のアートギャラリーに展示されている
 彫刻・『招きライオン』に関するもの。
 ある日、ギャラリーの床に一枚の紙が置かれ、そこには
 「あなたのだいじなものをいただきました 怪盗フェレス」
 と書かれていた。しかし『招きライオン』はそのままそこにある。
 いったい怪盗フェレスは "何" を盗んだのか?
 調査を始めた3人だったが・・・
 終盤の展開はミステリというよりはSF。
 まあ、ここまで読んでくればなんとなく
 "普通の" ミステリじゃないんだろうなぁとは思っていたけど(笑)。
 そしてその中で、雪子はヨサリ先生こそ怪盗フェレスではないか、
 という疑いを抱いていく・・・

うう、事件を一つ紹介するだけでまたすごく疲れてしまったよ。
あとの2編は題名だけ紹介しておこう。

「第二話 先生、待ち合わせはこちらです」
「第三話 先生、なくしたものはなんですか」

この2編も、ミステリのつもりで読んでいると肩すかしを喰う。
(もっとも、第一話を読めばそういう意識はなくなると思うがwww)
上にも書いたけれども、SFかファンタジーを読むつもりで
取りかかった方がいいだろう。

続巻ではヨサリ先生の過去なども明らかになりそうなんだが
読むかどうかは微妙だなあ・・・


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