Doubt きりのない疑惑 ミステリー傑作選 [読書・ミステリ]
Doubt きりのない疑惑 ミステリー傑作選 (講談社文庫)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/11/15
- メディア: 文庫
評価:★★★
2007年に発表された作品から選ばれた
短編ミステリのアンソロジー。
文庫化に際して二分冊になり、本書は後半の8編を収録。
「黒い履歴」(薬丸岳)
デビュー作の「天使のナイフ」にも通じるテーマの作品。
ソフトタッチの夏目という刑事が登場する。
彼を主役とする「刑事のまなざし」というシリーズの一編だそうだ。
登場するキャラはみんな善人なのにラストは切ない。
「堂場警部補とこぼれたミルク」(蒼井上鷹)
うーん、ミステリとしては良くできているのかも知れないが
この手の作品は私の好みではありません。
「選挙トトカルチョ」(佐野洋)
佐野洋さんってまだ存命だったんですね(←失礼)、って思ったら、
昨年(2013年)にお亡くなりになってましたね(←ますます失礼)
この作品は78歳のときに書かれたもの。
そのお歳でこれだけのモノが書けるなんて素直にスゴイです。
作中に登場する若い女性がとても魅力的に描かれてるのもスゴイ。
「その日まで」(新津きよみ)
ミステリと言うよりはサスペンス。
ラストはもっとドロドロするかと思ったんだけど
意外とあっさり。
「点と円」(西村健)
博多の私立探偵が放火事件の解明協力に駆り出される話。
作中に登場する経営コンサルタント・羽村しのぶ嬢が最高。
「傍聞き」(長岡弘樹)
警察小説と "日常の謎" の絶妙なハイブリッド、という感じかな。
第61回日本推理作家協会賞短編部門受賞作というのも納得。
読後、ちょっとほのぼのするのもポイント高し。
「辛い飴 永見緋太郎の事件簿」(田中啓文)
短編集で既読だったんだけど今回再読。
ジャズ・ミュージシャンの
永見緋太郎が探偵役となるシリーズの一編。
本作はとにかく、"いい話" なんだなあ。
前回読んだときも思ったが、この連作を読んでると
無性にジャズが聴いてみたくなる。
私は素人で全然詳しくないんだけど、
YouTubeとかニコ動とかに行っちゃうんだよねえ・・・
「悪い手」(逢坂剛)
サイコ・サスペンスですね。
読んでるときはそれなりに面白かったけど後味が良くない。
まあ、こういうのが好きな人もいるんだろうけど・・・
この中で好みの3作を挙げるなら
「辛い飴」「傍聞き」「選挙トトカルチョ」かなあ・・・。