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彼女が追ってくる [読書・ミステリ]

彼女が追ってくる (祥伝社文庫)

彼女が追ってくる (祥伝社文庫)

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2014/06/12
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

ネットを使って起業し、小さいながらも会社を経営する中条夏子。
かつての勤務先の社長が主催する、
経営者仲間の親睦パーティー「箱根会」に参加した夏子の目的は
元同僚にして親友の黒羽姫乃を殺すこと。

参加したメンバーは、主催者の山縣とその妻・邦恵、
花村貿易社長の哲子と息子の良太、寺田商会社長の善行、
そして夏子の後輩の堀江比呂美とその友人の火山学者・碓氷優佳。

パーティーがお開きになった後、姫乃と二人きりになった夏子は
首尾良く殺害に成功、証拠隠滅も完璧に行った。
しかし、翌朝発見された姫乃の遺体は、なぜか
良太のカフスボタンを握っていたのだ。

パーティーの間中、良太が姫乃にご執心だったのは
周囲に丸わかりだったので、彼は一気に容疑者筆頭へ躍り出てしまう。
もちろん本人は否定するが(だって殺してないもんね)。

参加者一同が疑心暗鬼に陥り、警察への通報を巡って対立するなか、
比呂美と優佳は "2時間" だけ通報を遅らせ、
その間に事件の検討を行うことを提案する。

姫乃が握っていた良太のカフスボタンの意味がわからない夏子は、
自ら事件の検討に加わりながら姫乃の真意を探ろうとするのだが・・・


カフスボタンの意味については私も読みながら考えていた。
「たぶんこうだろう」って推測も持っていた。
結論から言うと、私の考えは当たっていた。
当たってはいたが、作者はそのさらに上を行っていた。

まあ、素人の考えそうなことは作者はとっくにお見通しで、
それをさらに超える展開を用意していたってことだね。
さすがにプロです。すごいです。

探偵役の優佳さんなんだが、巻を重ねるにつれて
だんだん常人離れしてきた気がする。
前巻でも感じたことだが、彼女が犯人を指摘するのは、
社会正義のためなんかではなく、
ごく単純に自分自身の好奇心のため、
自分の思考の結果が正しいのかどうか知るためのようだ。

でもそれが冷たさや嫌味にならないところが彼女の凄いところかなあ。
知的で妙齢の美女、というのも強みだよねえ。

たぶん事件がなければ、すごく気配りの出来る、
人当たりのいい才女なのだろうけど
ひとたび事件が起こればカミソリみたいな切れ味を示す。
なんともすごい人である。

 ちなみに彼女の婚約者の男性は
 「抜き身の日本刀みたいな人」って言われてる。
 似たもの同士のカップルなんだね。
 っていうかそれくらいの人でないと
 彼女の相手は務まらないんだろう。

本書は碓氷優佳を主役とする "倒叙推理" シリーズの3作目。
たしか作者はこのシリーズは "三部作になる" って言ってた気がする。
それが本当ならこの作品が最終作になるはずだが
読んでて "これが最後" って感じは全くしないので
これ以後も続くのかも知れない。

高校時代の彼女を描いた連作短編集が出ているらしいし、
優佳さん自身、とても魅力的なキャラなので、
もっと続けて欲しいなあ。


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「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」チラシ余話 [アニメーション]

「追憶の航海」の映画館でゲットした「星巡る方舟」のチラシ。
我が家では現在冷蔵庫の扉に貼ってある。

poster2a.jpg 

今朝、食事をしてたら、そのチラシを見ながらかみさんが聞いてきた。

「ねえ、このゴツいのは誰なの?」
「これがこの次の映画に出てくる敵の、たぶん親玉」
「へえー。じゃこの女の人は?」
「これは、ガミラスの戦闘空母の艦長」
「えー、知らないなあ」
「そりゃそうだよ。どちらも新キャラだから」
「ふーん。ねえ、この女の子も新キャラなの?」
「それは桐生さん。26話で出てたじゃん。
 真田さんや新見さんと一緒にコスモリバースをいじってた子
 今回の映画の、たぶんメインのヒロイン」
「えーっ、こんな子いたっけ?」
「いましたよ~。26話全部見たはずだよね?」
「真田さんとタラン兄ちゃん以外はどうでもいいから」
「えー」
「この人は誰?」
「それはバーガー」
「誰だっけ?」
「ドメルの部下で、七色星団で
 『こんな結末、認められるかよ!』って叫んだ人」
「ああ、あの人ね。生きてたんだ」
「そうみたいだね。」
「でもドメルは出ないんでしょ?」
「そうだね。もうお亡くなりになってるからね」
「タラン兄ちゃんも?」
「うーん、この映画の時点ではデスラーと一緒に
 宇宙を放浪してるんじゃないかなぁ。
 出るかどうかは微妙なところだね」
「そうなんだ。二人ともすごくいい声してたのにね。
 あ、いい声って言えば、あの人もいい声してたよね」
「誰のこと?」
「ほら、あの、秘密警察の」
「ああ、ギムレーか。あの人も独特の声してたよねえ」
「あの人は今度の映画に出ないの?」
「出ないでしょう。ガミラス本星戦で死んでるはずだから」
「そうなんだ」
「ところで、古代と雪と沖田艦長も載ってるんだけど」
「うーん、森雪がなんだか悪人ぽい顔してるわよねぇ」
「えぇー」

相変わらず馬鹿な会話をしている夫婦です。
このときの話はここで終わったんだが、その後でふっと思った。

ギムレーが生きていたら・・・

今回の敵、ガトランティスのメダルーザに搭載されている
「火焔直撃砲」って、旧作では
ガミラスの "瞬間物質移送機" (2199では "物質転送システム" )の
技術供与で完成したって設定があったような気がする。
公式設定なのかゲーム設定なのか、
はたまた単なるファンによる妄想設定なのかは知らないんだけど。

旧作ではデスラーがガトランティスに亡命してから出てきたので
矛盾はないんだが、今回の場合はどうだろう。
"ガトランティスが独自開発した" のだろうか。

これからは妄想になる。
"ガミラスからの技術が流出していた" とするならどうだろう。
だとしたら流出させていたのは誰か。

ここでギムレー君に悪役になってもらおう(笑)。
彼が密かにガトランティスに通じ、ガミラスの機密を漏らしていたとする。
ガミラス本星戦でも死亡せず(明確に死亡した描写はなかったし)
密かに脱出してガトランティスに合流し、
ダガームの遠征軍に身を寄せている。

そうなるとギムレー君の再登場も可能だし、必然性も出てくる。
そして何より、バーガー君の「真の仇」としての役割があるしね。

ドメルを陥れ、死刑判決に持ち込み、
さらにヤマト迎撃にわずか5隻の艦隊しか与えず、
間接的にドメルを死に追いやった元凶・ギムレー。
バーガー君が真に憎むべきはこの男だろう。

ギムレーもあんなにさんざん悪行を働いたのだから
本星戦みたいにあっさりお亡くなりになるのではなく、
バーガー君にしっかりと倒される方が盛り上がっていいんじゃない?。

「ギムレー、てめえだけは許さねえ!」って叫ぶバーガー君を
スクリーンで観たいものだ。


ああ、妄想がはかどるねえ。
ヤマトの続編についてああだこうだと妄想を巡らすことができるなんて
ちょっと前までは考えられなかったよ。
いい時代になったものです。

長生きはするもんだね。


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